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不揃いなお皿が可愛い! 味のトラッドが待つアレスティへ。

  • 2023.8.9

この2~3年、新しいレストランがオープンするとシェフは人気テレビ番組『トップシェフ』出身者、ということが多いパリ。彼らが目指し、提案する料理のコンセプトは似ていることが少なくなく、この手の料理、ちょっと飽きてきた!こう思う食いしん坊たちのために、いま、ビストロやブラッスリーがオーセンティックな料理の21世紀バージョンで巻き返しを図っている。良い素材を使ったシンプルな料理は、間違いなくおいしい!

19世紀末のままの内装と超手頃な価格で食事ができることで有名なブイヨン・シャルティエ。この店を体験ずみなら、これからはフォーブル・モンマルトル通りの7番地を通り過ぎて13番地へ。ここに「Alesti(アレスティ)」といって、プロヴァンス地方で“準備する”という意味の店名で新しいタイプのブラッスリーがオープンしたのだ。ちなみにこのアドレスの中庭には劇場の「Nord-Ouest(ノール・ウエスト)」がある。ここはエディット・ピアフが『愛の賛歌』を捧げたボクサーのマルセル・セルダンと初めて出会った場所ということだ。

ブラッスリー・アレスティ。エスカルゴやパン・ペルデュなどパリならではの味が待つ。photo:Victoire Terrade

オーナーのジュール・グルファルが提案するのは、どこか郷愁を感じさせつつ、いま風のビストロ料理である。可能な限りパリ近郊から取り寄せた、環境に優しい生産者の素材を用いている。廃棄物を出さずに調理することを心がけているのは、もちろん。すべて自家製!をオーナーは強調する。シェフはニコラ・ジャン。ブラッスリーのベーシックな料理にクリエイティブタッチを少しだけ加え、内容とボリュームの割にはお手頃感のある価格で時代人の胃袋を満足させている。前菜はレンズ豆のサラダ、ウフ・マヨネーズ、エスカルゴ、生ハムとメロンなどシンプルさが魅力のオンパレードだ。メインはビーフ・タルタル、チキンのロースト……とブラッスリーらしい。デザートを担当するのはウージェニー・ドールという21歳の若きパティシエールである。レモンタルトやムース・オ・ショコラといったクラシックなお菓子がメニューに並ぶ。この店ではブロカントで掘り出したヴィンテージのお皿を使用しているので、料理が運ばれてきた時から、その懐かしい風合いの模様にまず目が喜んでしまう。  

前菜は4ユーロ〜。ウフ・マヨネーズ、ソーシス・ド・モルトー、ポワロー・ヴィネグレットなどブラッスリー食満載だ。photo:Victoire Terrade

メインは14ユーロ~、デザートは8ユーロ~。平日のランチタイムメニューは前菜と本日のメインとカフェで20ユーロ。photo:Victoire Terrade

ワインに加え、カクテルの種類もとても豊富。前菜をいくつかと、飲みもので軽い食事もいいかなあ……という気にもなってくる。デザートメニューの下には、冷たい食後酒が2種。クープ・コロネル(6.5ユーロ)はウォッカとレモンシャーベット、トルゥ・ノルマン(6.5ユーロ)はカルヴァドスにりんごサイダーのシャーベットである。これは味わってみなくては!

左: カクテルのエスプレッソ・マルティーニ。中: ジン・トニックは4種。右: デザートのパヴロヴァの後方が食後酒のコロネル。photos:(左・右)Mariko Omura、(中)Victoire Terrade

2フロアからなる130席の広いブラッスリーである。コンテンポラリーな内装を担当したのはオール・リミット・アルシテクチュール。インテリアが話題を呼んだイタリアンレストランDarocoを手がけたデュオで、アレスティではブロカントなどの掘り出し物が見られる巨大な棚が1階から2階へと続く吹き抜けが圧巻だ。ランチ、ディナー、アペリティフでこの新しいブラッスリー空間を楽しもう。

カラフルなフォルミカの椅子が並ぶ店内。バー後方、2階まで続く棚が見ものだ。photos:(左)Mariko Omura、(中・右)The Travel Buds

Brasserie Alesti13, rue du Faubourg Montmartre75009 Paris営)12:00〜15:00、19:30〜24:00(月~水)12:00〜翌1:00(木〜土)12:00〜16:00、19:30〜24:00(日)無休www.alesti-paris.fr@brasserie_alesti

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