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ガラス作家・山野アンダーソン陽子さんが大切にしている、道具の本。『改訂 徒然草』

  • 2023.8.8
出典 andpremium.jp

朽ちながら余白を持って使っていくもの。

『徒然草』は中学生の頃からの愛読書。当時の庶民の生活に密着して書かれていて面白いんです。私はガラス食器を作っていますが、食器というのはそれだけで存在するものではありません。ものは人間の行為から生まれ、道具も用途という行為が生むもの。その行為が『徒然草』のあちこちに描かれています。ものが生まれる端緒を比喩で表現している箇所では、完成したものだけで語っていない。また、ものは新品が最終形ではなく、使うところに余白があって、そして朽ちていくところが美しい、と読み取れます。道具は人間が主体。整っていることより、人間がいかに朽ちながらも余白を持って使っていけるかが大切だと受け取れる。道具についての章ではありませんが、自分の考えと共鳴する箇所です。

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『改訂 徒然草』 著 吉田兼好 訳注 今泉忠義 (角川ソフィア文庫)

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山野アンダーソン陽子 Yoko Andersson Yamano
ガラス作家。ストックホルム在住。11月に広島市現代美術館、来年1 月に東京オペラシティ アートギャラリーでプロジェクト「Glass Tableware in Still Life」の巡回展開始。同名の本が9 月にtorch pressから刊行予定。

illustration : Shapre text : Akane Watanuki edit : Wakako Miyake

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