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20年以上にわたる内戦を経て生まれた「南スーダン」ってどんな国?

  • 2023.8.7
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南スーダンと聞いて最初に思い浮かぶのは「内戦」ではないでしょうか。なんと南スーダンは、2011年にスーダンから独立するまで、20年以上にわたり内戦をしていました。とはいえ、現在も治安が安定しているとはいえず、地域紛争が各地で起こっている状態です。今回は、そんな南スーダンの基本情報、首都ジュバの観光スポットや国立公園、人気のスポーツをご紹介します。

 

 

南スーダンの基本情報

正式名称「南スーダン共和国」は、北部はスーダン、東部はエチオピア、西部は中央アフリカ、南部はケニア、ウガンダ、コンゴ民主共和国に接する世界で最も新しい国です。2011年7月、スーダン共和国の南部が独立して成立しました。面積は64万平方キロメートルで、日本の約1.7倍の大きさです。

ナイル川が国土を南北に貫くように流れ、平原やサバンナが広がっています。南のウガンダとの国境は3,000m級の山が連なっていて、ナイル川流域には世界有数の湿原も。

ディンカ族 ©️Richard Juilliart / Shutterstock.com

人口は1,106万人(2019年)でディンカ族、ヌエル族、シルク族、ムルレ族、バリ族など多くの民族が暮らしています。公用語は英語ですが、アラビア語のほか、多くの部族語が使われています。宗教はキリスト教、イスラム教、伝統宗教です。

南スーダンの国旗の黒は「国民(黒人)」を、白は「平和」を、赤は「自由のために流された血」を、緑は「国土」を、青は「ナイル川の水」を表しています。さらに、金色(黄色)の星は「イエス・キリストの生誕地ベツレヘムの星」とされ、南スーダン国民の団結を象徴。

国名の「スーダン」はアラビア語のビリャド・エス・スーダン(黒い人の国)に由来します。

南スーダンに行くには?

©️Frontpage / Shutterstock.com

日本から南スーダンへは直行便が就航していません。行き帰り最低2カ所で乗り換える必要があります。日本から首都ジュバへ行く場合、エチオピアのアディスアベバを経由するのが主なアフリカルートです。

しかし、2023年7月現在、南スーダンは全土に危険情報として渡航中止勧告(レベル3)または退避勧告(レベル4)が発出されており、渡航は止めてください。やむを得ない事情により入国する場合は、ビザが必要です。

2023年1月、駐日南スーダン大使館が開館していますが、ビザについては準備中であるため、日本では取得はできません。米国、英国、フランス、ドイツ、ノルウェー、ベルギー、スイス、トルコ、ロシアなどの南スーダン大使館で、事前にビザを申請・取得する必要があります。

加えて、入国に際して、有効なワクチンの接種証明書(必要回数接種後、2週間の状態を証明する書類)もしくは入国72時間前のPCR陰性証明書の提示が必須です。

なお有効なワクチンはWHOホームページをご参照ください。

何もしない贅沢を、サンセットが絶景な「ホワイトナイル川」

ホワイトナイル川とは、南スーダン、スーダンを流れるナイル川上流の主流です。南スーダンのマラカールの南方で合流するソバト川の水が増水期に白く濁ることから「ホワイトナイル」と名づけられました。

また、エチオピア北西部のタナ湖の南、標高1,800mの泉が水源となっている「ブルーナイル川」もあります。この2つのナイル川はスーダンの首都ハルツームで合流し、ナイル川本流をつくるのです。

首都ジュバでも、ホワイトナイル川を眺めることができます。川沿いのレストランで飲み物片手に、ゆっくり過ごすのもいいかもしれませんね。地元の人たちが川で泳ぐ姿が見られる可能性もありますよ。

ホワイトナイル川のサンセットは絶景! ナイル川の水面が夕陽色に染まる様子を自分の目で見てみたいですね。

季節によって表情が変わる、ランドマーク「ジェベル・クジュール(Jebel Kujur)」

首都ジュバの空撮

ジュバのランドマーク「ジェベル・クジュール(Jebel Kujur)」。この山は乾季には埃をかぶった岩のように見えますが、雨が降ると緑豊かな丘に変貌を遂げます。かつては街から遠く離れた自然の中にありました。しかし、2005年以来、都市開発によりジェベル・クジュールの風景は変わりつつあります。2017年末には安全上の理由で登山も禁止に。

とはいえ、細長い独特の形をしたジェベル・クジュールはジュバのどこからでも見えます。1983年〜2005年にかけてジュバの紛争地域だったジェベル・クジュールを眺めながら、この国の歴史に思いを馳せたいですね。

シロミミコーブの大移動で有名な「ボマ国立公園」

コーブの仲間

アフリカといえば野生動物ですよね。南スーダンには6つの広大な国立公園があり、「ボマ国立公園」もそのうちのひとつ。南スーダン東部に位置する同公園は1986年に設立されました。

有名なのがシロミミコーブの群れの大移動。年に1度スーダン南部の草原を1,600kmにもわたり移動します。さらに、ライオンやヒョウ、チーター、ゾウ、キリン、シマウマ、ガゼルなど多くの野生動物が生息。世界で貴重な野生動物の楽園になっています。

また、ボマ国立公園には、ムルレ族、ジエ族、キチェポ族、トポサ族、アヌヤク族、ヌエル族といったさまざまな民族が暮らしています。それぞれが持つ独自の文化や習慣もユニークです。

残念ながら南スーダンには世界遺産はありません。しかし、同公園は候補地のひとつになっています。

絶滅危惧種のスーダンチーターに会えるかも!?「バンディンギロ国立公園」

※画像はイメージです

ホワイトナイル川近くの森林地帯に位置する、1992年に設立された、面積1万平方キロメートルの国立公園です。4月〜10月の雨季になると、ボマ国立公園からバンディンギロ国立公園へ、モンガラガゼルやゾウなどが移動してきます。

※画像はイメージです

また、公園内にはライオン、リカオン、ブチハイエナなども生息。運が良ければ、絶滅危惧種のスーダンチーターを見ることができるかもしれませんよ。スーダンチーターは、黒い背側の斑点が最も広範囲で分離していて、後脚に斑点がないのが特徴です。

同公園は世界で最も観光客の少ない国立公園のひとつになっていますが、南スーダンの治安が安定していけば、訪れる人が増えそうですね。

南スーダンで人気のスポーツは?

昨今、注目を集めているのがバスケットボールです。2023年2月、最新FIBAランキングでは104位ですが、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」に初出場を決めました。

2023年8月25日(金)~9月10日(日)に行われる「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」では、「南スーダン×プエルトリコ」8月26日(土)、「南スーダン×中国」8月28日(月)の試合が予定されています。ぜひチェックしてみてくださいね。

【参考】

JUBA IN THE MAKING

[All photos by Shutterstock.com]

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