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なぜ泣くことで脳のストレスが解消されるの?涙活のススメ|脳を休める⑥

  • 2023.8.6
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なぜ泣くことで脳のストレスが解消されるの?涙活のススメ|脳を休める⑥
出典 FUDGE.jp

たくさん動けば身体が疲れるように、脳にも疲労は蓄積されるもの。しかし、疲れ具合やそもそも疲れているのかどうか判断する術を知らない人も多いのでは? 実は疲労でも働けないパンク寸前の脳を、自覚なく酷使しているケースも。脳の疲れの原因とその休め方について、脳生理学と脳科学の側面から解説します。

なぜ泣くことで脳のストレスが解消されるの? そのメカニズムについて解説。涙のすごさを知れば、泣く頻度が変わりそう!?

教えてくれたのは…

セロトニンDojo代表 東邦大学医学部名誉教授 有田 秀穂先生

医師・脳生理学者。セロトニン研究の世界的権威として、セロトニンの分泌に効果的な身体運動を含んだヨガプログラムを日本ではじめて認証。著書に『脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣』(青春新書インテリジェンス)など。

早稲田大学理工学術院教授 枝川 義邦先生

脳科学者。研究分野は脳神経科学、人材・組織マネジメント、マーケティングと多岐に渡る。2017年度ユーキャン新語・流行語大賞を「睡眠負債」にて受賞。著書に『「脳が若い人」と「脳が老ける人」の習慣』(明日香出版社)など。

涙は“共感脳”がトリガー

人が涙を流すとき、大人であれば他者に共感して泣く「情動性の涙」を流すことが多いといいます。他者に共感すると脳が反応し、指令を出してストレスを抑制するというわけ。その後、涙が出て泣くことで緊張状態から脳が解放されるという仕組みです。そしてそのメカニズムは、なんと偶然発見されたのだとか!

「被験者に泣ける映像を見せた実験で、内側前頭前野──頭の位置で言えば、仏様の眉間にある白毫(びゃくごう)の奥にあたる脳の部位が、泣く10秒ほど前から急激に興奮して血流が増えることを発見しました。つまりこの実験で、脳の特定部位が、誰かが喜んだり悲しんだりしている様子を見てその気持ちに共感すると激しく興奮し、その結果“涙が出る”ということがわかったのです」

他者に共感して感情が高ぶると、その上昇と逆行するように視床下部にあるストレス中枢が一気に鎮まるといいます。この仕組みを知ると、ストレスを抑制するには「泣くこと」がポイントになるものの、そのためにはまず“共感脳”をつくることが必要に。気持ちが疲れているときほど感動センサーを作動させて、機微に触れるようにしましょう。

眠るより短時間でリフレッシュ

通常、睡眠で脳疲労を解消しようとしたら睡眠時間が7〜8時間は必要になりますが、泣けばそれよりはるかに短い時間で、脳のストレスを解消することが可能に。「泣ける映画をフルで観ても1時間半程度。もし、自分がどこで泣けるのか“涙のツボ”が分かっている場合であれば、もっと早く共感脳をつくることもできます。たとえ寝ていなくても交感神経から副交感神経に一瞬で切り替えられるのが、涙のすごいところ」

また、“泣く”という行動自体は、一見すると非常に激しく血圧が上がっているように感じますが、実際にストレスが抑制され癒しの脳に切り替わると、脈は下がって気分が安定し、疲労感も取れるのだから不思議。泣いた後に“すっきり気分”ならリフレッシュ完了!

共感の涙が出るまでの脳の働き

なぜ泣くことで脳のストレスが解消されるの?涙活のススメ|脳を休める⑥
出典 FUDGE.jp

illustration:Kaoru Konagai edit&text:Kaoru Bansho re-edit:Yuri Iwata[press lab]
※kiitos. vol.21(2021年9月21日発売)より抜粋。

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