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とにかく明るい安村「こんなにも笑いが起こるとは思っていなかった」 BGT出場秘話

  • 2023.8.5

「安心してください、はいてますよ」の決めゼリフでおなじみ、全裸ネタで一躍有名になったピン芸人のとにかく明るい安村さん。イギリスのオーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント(BGT)』で英語バージョンの裸芸を披露し、約3000人の観客を爆笑させて話題に。そんな異例の凱旋を果たした安村さんを直撃!

――BGTでのパフォーマンスは、とにかく終始笑顔で、堂々と振る舞っているように見えましたが、あまり緊張しなかったですか?

予選は、会場の雰囲気もイギリス人がどんな反応をしてくれるかも全く読めなかったので、さすがに緊張しました。でも準決勝や決勝は、予選で手ごたえを感じ、受け入れられた感触があったので、堂々と振る舞えた気がします。

――最初にステージに立った時の率直な感想を教えてください。

バスローブを着て、「ハロー、ロンドン!」とか言って大声ではしゃぎながらステージに立ち、パンツ一丁になったんですが、審査員も会場中の観客も誰も僕のことを知らない状態でネタを披露するのは久しぶりだったので、すごく興奮しました。英語も話せないし、まともにコミュニケーションもとれないから、通用するかどうか不安はありましたけど、まぁスベったらスベったでしょうがないし、どうとでもなれって感じでしたね。

――映画『007』のジェームズ・ボンドの真似や、スパイス・ガールズの大ヒット曲「Wannabe」に合わせてノリノリでダンスするなど、イギリスらしさを意識したネタを披露。「ドントウォーリー、アイムウェアリング」の決めゼリフに対して、審査員や観客たちが「パーンツッ!」と叫ぶ、異例の待遇を受けましたが、この反応はうれしかったですか?

最初は何が何なのかよく分からなかった(笑)。審査員のアマンダが「パーンツッ!」と言い出して、それがどんどん広がっていった感じで、準決勝の時には会場中が反応してくれて。3000人の歓声は凄まじくて、目の前で「パーンツッ!」と言われているような圧を感じましたね。でもステージ上では、なんでみんながそう叫んでいるかも分からず、イギリス人はテンション高いなぁぐらいにしか思っていなかったんです。だって日本で、「はいてますよ」と言った後にそんな反応されたことは一切なかったし…。それが実は「アイムウェアリング」は不完全な文章で、「ウェア」が他動詞なので、目的語が必要だということを日本に帰ってきてから知ったんです。全く予想していなかった反応だったけど、審査員や観客の人たちが「パーンツッ!」と叫ぶことでネタが完成したからこそ、あんなにウケたのかもしれませんね。

――たしかにあのやり取りがあったから、会場の一体感がどんどん強まった感じがしますよね。でも紳士淑女の国というイメージがあるイギリスで、スタンディングオベーションが起こり、審査員のアリーシャからも「あなたはおそらく全シリーズの中でも、私の一番のお気に入りの出演者だわ」と称賛された。これほどまでにウケたのは想定の範囲内?

いや、こんなにも笑いが起こるとは思っていなかった。イギリス人のノリの良さはもちろんあるけれど、こんなネタをするようなコメディアンはイギリスには存在しなかったから、文化の違いが相まって、その振り切った感じが良かったのかも。実は以前から「超新塾」のアイクぬわらと、アメリカで英語バージョンの裸芸を披露したらウケるかもしれないねって話はしていたんです。実際に、BGTのアメリカ版への出場も決まっていたのですが、コロナ禍でその話自体がなくなってしまって…。イギリスから帰ってきた後にアイクから、アメリカでは「パンツ」のことを「アンダーウェア」と言うから、アメリカだったら、これほどまでにウケなかったかもねと言われました。

――いろんな奇跡が重なり、日本人初の決勝進出を決めました。

“日本人初”という称号を手に入れたのは生まれて初めてなんで、率直にうれしかったですね。準決勝で敗れてワイルドカードで決勝に進めることになったんですが、準決勝で“おいしい負け方”をしていたから、もうそれで満足だったし。準決勝では上位3組まで残り、決勝に行けるのはそのうちの2組なんですが、僕のほかに、マジシャンの男の子とバレエダンサーの女の子が残っていて、視聴者投票で男の子がトップ通過した。そして残りの1枠を女の子と争うという展開になり、それを決めるのは審査員。もうこんなの絶対に女の子に軍配が上がるじゃんって思っていたら、案の定そうなった。僕はオーバーめに悔しがり、それもそれでウケて爪痕残せたから良かったぞ、と思っていたんです。その後、打ち上げで火鍋を食べていたら、マネージャーから決勝進出が決まったと連絡が来て、うれしい半面、決勝でやるネタないじゃん! って焦った(笑)。

――不安をよそに、決勝では、スパイダーマン、バットマン、スーパーマンなどの“スーパーヒーローネイキッドポーズ”を中心に披露し、最後に、QUEENのフレディ・マーキュリーのポーズで会場中の爆笑をさらいましたね。

決勝はアメコミ風のステージで、ダンサーもつけるということだったので、スーパーヒーローをテーマにしたんです。BGTのスタッフも協力的で、一緒にネタを考えてくれたおかげですね。その場で、現場の衣装チームがマントとかを作ってくれたんですが、スーパーマンの「S」を、僕の芸名の「TONIKAKU」の「T」にしてくれたりと超ノリノリで。あと、実は準決勝と決勝ではいたパンツには、ラインストーンがついているんです。あれも衣装チームからの提案で、パンツをそんなキラキラさせて卑猥にならないか!? と心配だったんですけど…。

――パンツは自前ですよね?

はい。僕がはいているパンツって、大事な部分が見えてしまわないように、実は前側が生地多めなんです。裸芸をやり始めた頃は、市販のパンツを前後逆にはいていましたが、今は特注で作ってもらっています。だから衣装チームにパンツを渡した時も、みんな普通のパンツだと思っているから、生地が少ない方にラインストーンをつけようとしていて、「違う違う、逆」って教えてあげて。そのパンツはその後出番がなく、家に眠っていますが、でも現場の方が面白おかしく僕を調理してくれたので、優勝はできなかったけれど、決勝で満足できるネタを披露することができた。決勝が終わって翌日空港で現地の人に声をかけられた時に、すごいことをしたんだなって、やっと実感が湧いてきました。

芸人たちがお題に沿った芸を披露する『有吉の壁』(日本テレビ系、毎週水曜19:00~)に出演中。7月より放送が始まった「Singing おしゃべり歌謡喫茶『うたフレ』」(BSよしもと、毎週土曜19:00~)レギュラー。“歌手と友だちに!”“歌手を身近な存在に!”をコンセプトに、ゲスト歌手とフレンドリーにおしゃべりをするトークバラエティのMCを務める。

とにかくあかるいやすむら 1982年3月15日生まれ、北海道出身。2014年、ピン芸人として活動開始。「全裸に見えるポーズ」の持ちネタを披露し、’15年『R‐1ぐらんぷり』で決勝進出。『有吉の壁』(日本テレビ系)など、数々のバラエティ番組で活躍。今年6月『ブリテンズ・ゴット・タレント』決勝進出で、再ブレイクを果たす。

※『anan』2023年8月9日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・天野誠吾 インタビュー、文・鈴木恵美

(by anan編集部)

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