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仕事のやる気がなくユウウツ…デキる同僚にも嫉妬してしまいます【黒川伊保子】

  • 2014.9.9
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仕事は常に山積み状態、いつも課題に追われていて心休まることがない…。そんなお疲れぎみのお仕事女子、多いのではないでしょうか? そんな状態を改善する方法を、脳科学者の黒川伊保子さんに教えていただきました。

【質問】

メーカーに勤めて8年。20代のときよりも仕事の責任が増えてきて、それだけでもストレスなのに、体力的に疲れてしまって、毎日やる気が出ません。

しかも、同僚とのキャリアを比べるだけでなく、仕事が出来てうまく上司とコミュニケーションをとっている後輩に嫉妬してしまう。転職も考えるけれど、この時代、今の会社よりも給料のいいところに行ける確証もないし…。毎日がユウウツです。

(33歳・SE)

【回答】

「やる気がなくユウウツ」と言う事態には、原因が2つあります。1つは自分の脳の神経伝達状態がそうなりがちな状態に陥っているということ。もう1つは、外部環境です。通常、人は外部環境のせい(仕事のせい、家族のせい)にしがちですが、多くの場合、この2つの要因が絡み合っているのです。

きっかけは外部環境であっても、そのストレスが引き金となって自分の脳が「やる気がなくユウウツ」現象に陥り、周りとの関係をさらに悪化させているケースや、ダイエットのために脳が「やる気がなくユウウツ」現象に陥り、仕事の評価が下がってしまうケースもあります。

残念なのは、多くの場合、本人は自分の脳の変化に気付かず、周りへの不満でがんじがらめになってしまうこと。いずれの場合も、まずは、自分の脳を、その事態から救いましょう。

疲れやすく、他人が気になるという方のほとんどは、ビタミンとミネラル不足。ビタミンBやカルシウム、ナトリウム(塩)が不足すると、脳神経回路の伝達がうまく制御できず、「疲れやすい」「他人の言ったこと(評価)が必要以上に気になる」といった傾向を脳にもたらします。

以下の項目に心当たりはありますか?

・忙しいので、てっとり早い炭水化物(パン、ごはん、うどん)でお腹を満たしている

・胃も疲れているみたいで、肉野菜はがっつりは食べられない

・イライラや落ち込みを何とかするために、甘いものをつい食べてしまう

・健康のために減塩している

・ダイエットのためにコレステロールを取らないようにしている

・ダイエットのために、乳製品は、できるだけ豆乳で代替している

上記の食生活では、脳や神経系が欲しがっている、ビタミンB群、鉄分、カルシウム、それらを脳に運ぶ運び屋(アミノ酸、ナトリウム)が圧倒的に不足しています。

脳は疲れやすく、イライラしやすく、ほんのちょっとのことで落ち込みます。疲れやイライラはどうしても表情や態度に出るので、周囲にかすかな不安や不快感を与え、ちょっとした言葉かけをしてもらえなくなったり、ランチに誘ってもらえなかったり、会議で発言をスルーされたり、という事態を作りだします。

「デキる同僚」に嫉妬するのは、仕事で明確に負けたときじゃないはず。彼女や彼が、周囲に大切にされているからでしょう? 上司に可愛がられ、後輩に慕われているように見えるから。となると、その嫉妬も、そもそも、自分の脳が「疲れやすく、イライラしている」せいで、周囲が遠巻きにしているだけかも。

と言うわけで、そこから脱するための食事術。なんといっても、糖質&炭水化物イーターから、タンパク質イーターに変わりましょう。特に空腹時に「ほぼほぼ炭水化物だけの食事」(トーストだけ、おにぎりだけ、うんどんだけ)や甘いものを食べることは禁止。これは血糖値を急上昇させる行為。

血糖は脳のエネルギーなので、一瞬だけ脳は元気になりますが、ほどなく身体が血糖値を下げようとインスリンを大量に分泌し、今度は血糖値が急激に下がって脳のエネルギーが不足するため、だるさやヤル気のなさ、イライラを引き起こすのです。

しかも、低血糖に陥ったときには、脳が甘いものを要求してきます。つまりね、疲れたら甘いもの→30分は元気→その後、だるくなって、やがてキレそうになる→甘いものが食べたい!→疲れたら甘いもの→…という「甘いものループ」にはまってしまうのです。

しかもしかも、身体は血糖値を下げるときに、血糖を中性脂肪に変えているんですよ。つまり、「朝は炭水化物だけ&日中ちょこちょこスイーツ」という生活は、10年で10Kg太るという経年肥満を作りだします。

というわけで、今日からきっぱりタンパク質イーターに。朝ごはんの主役は、卵、大豆製品、乳製品、肉魚などに。野菜と果物も外せません。

もちろん、パンやごはんも添えてOKですよ。炭水化物は抜かなくていいのです。「いきなり、それだけ」は避けること。白米よりも雑穀米、白いパンより全粒粉のパン、うどんより蕎麦やパスタを選ぶ、より血糖値を急に上げない効果があります。

疲れが抜けるまでは、スイーツはいったん断っていただきたいのですが、どうしても、というのなら、16時までに空腹時を避けて。なお、乳製品と共に食べるスイーツ(プリン、シュークリーム、アイスクリーム)は、糖質と一緒に動物性タンパク質が取れるので、栄養学上、やや罪が軽いのです。

最も避けたいのは、炭酸飲料やジュースなどの糖質系の飲み物。目の前で絞ったフルーツジュース以外はビタミン摂取も期待できないので、単なる高糖質物件です。

以上を守りつつ、豚肉と鶏肉をしっかり食べて一週間も過ごせば、「疲れて、ユウウツ」が薄れていることに気付くはず。どうか試してみてくださいね。

なお、栄養ドリンクは、ビタミンやアミノ酸が取れて便利なようですが、糖質やカフェインで空元気を誘発するタイプのそれは、気をつけてくださいね。たとえて言えば、少ない燃料を盛大に燃やす感じなので、直後はよくても長い目で見れば、細胞が疲弊します。

女の賞味期限は意外に長い。自分の脳とからだは大切にしましょうね。

■共感してくれる人は必ずいると心得る

さて、ここまでのアドバイスで疲れやイライラが抜ければ、周囲に与える微妙な不快感がなくなるので、周囲が優しくなります。これだけで「自分より、周囲の誰かの方が大切にされている」と感じることが少なくなるので、軽い嫉妬なら抜けちゃうはず。

それでも嫉妬が残る人へ。周囲に認められないと存在意義がない、というのは、あなたの幻想ですよ。

人間の感性は、1つじゃない。だから、周囲のすべてに認められるのは不可能なのです。特に、人にない着眼点や発想のある人は、活躍する一方で、「あの人だけは我慢ならない」と思う人を一定数抱えています。

小堺一機さんは、以前ラジオでご一緒したとき、師匠の萩本欽一さんが「芸人は、世間に叩かれなければ、本気で好かれていることにならない」と言ってくれたと話してくれました。

マドンナは、スキャンダルが続いたとき「無関心よりずっとまし」と笑ったそう。その振れ幅の差はあれ、一般人も一緒です。叩かれる以上、才能があるのだな、と思えばいい。

一方で、人間の感性は、千差万別と言うわけじゃない。私どもの研究所で感性の分類をするときも、最大16種類くらいの分析軸しか使いません。つまりね、「あなた自身が一生懸命生きて手にしたノウハウや、あなた自身が絶対にいいと思って提案したこと」に共感してくれる相手は、必ずいる(しかも、けっこう少なからずいる)ということです。

趣味やプライベートな世界なら、その相手を探せばいいだけ。プロフェッショナルの領域では、周囲をよく観察して、周囲の人の感性に合わせてカスタマイズしたり、説明する方法を編み出せばいい。

脳の構造から言って、一人勝ちの人はいません。美人で気立てがよくて学歴も高く仕事が出来ても、単なる「便利屋さん」になっている人はたくさんいます。一方で、若き日に一般受けしなかった個性的な人ほど、「その人じゃなければだめ」なことを持ち、生き残っていたり。

というわけで、「社会的一般価値」や誰かと比べて、自分にマイナス点をつけるなんてナンセンス。自分自身を一生懸命生きて、自分の持ち味を上手に周囲に知らせてください。

それでも今の職場に希望を感じられなかったら転職もありですが、せっかくですから、今の職場で抱えている問題点を大胆に解消してみたらどうでしょう? その成果を、次のステップアップにつなげるのです。

たとえば、男尊女卑の観念が潜在する職場で悩み、転職を考えているんでいる女性にアドバイスしたことがあります。

「転職する前に、その事例を整理して、解決策をはかってみたら? たとえば、不満を表明する、冗談で返す、言うことを聞かないでみる…とかね。実験、実験。その実験データをもって、次の職場へ行けばいいのよ。男女間コミュニケーションに長けた人として、重宝されるかも」。結局彼女は、元の職場で、ダイバシティの担当者になり、出世してしまいました。

環境を変えても、考え方が変わらなければ、結局自分が活かしきれず、「上司は私をわかってくれない、あの人ばかりがいい思いをする」という事態に陥る可能性は高いと思います。

どうせやめる会社なら、自分を大胆に変えてみればいい。そうして、鮮やかに人生のスイッチを切り替えてください。

特集:黒川伊保子が教える、幸せを呼ぶ脳のつかい方

人生は一度しかないんですもの。誰かの価値観に自分を合わせて生きるのはもったいない。自分の存在価値を周囲に伝えられないのももったいないです。

毎週金曜更新

(安田光絵)

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