お金と女にだらしない父が原因で離婚したあおいさんの両親。あおいさん含めた4人兄弟は母と暮らしていますが、女手だけの子育てで不安いっぱいの母の心の隙間を埋めるように父の職場の後輩ピンちゃんが現れます。仕事で夜まで家をあけることが多い母に代わって子どもたちのめんどうを見てくれるのですが、彼が子どもたちに課すルールは理不尽で虐待に近いものでした。長女のあおいさんはストレスで10円ハゲができ、一度はピンちゃんとの別居話が出たものの、母の本心を知っているあおいさんは彼との同居を拒めず。ピンちゃんとの暮らしは続きますが、彼への反抗は母の地雷につながり、さらに母自身もピンちゃんの無言の圧力に怯えていました。
ピンちゃんの知らない過去の思い出話は、彼の前ではタブーとなっていました。
母の、無意識下のピンちゃんへの依存に子どもたちも同調し、あおいさん親子は彼が望む理想の家庭像を演じるようになっていたのですーー。
次女の勇姿を見届けるためにピンちゃんと一致団結。そこへ父がーー
そんなある日、次女あかりは運動会で鼓笛隊の指揮者に抜擢されていました。
その勇姿を家族全員で見るために、あおいさんはピンちゃんと場所取りへ。普段は嫌いな相手ですが、この日ばかりは協力関係に。
確保した特等席でピンちゃん、母、あおいさんの3人は、デジカメとインスタントカメラも用意してあかりのシャッターチャンスをうかがっています。
すると、あおいさんが観客の中に父の姿を見つけます。
「パパがいる…」と思わずつぶやいた言葉に母が警戒しますが、父の元へ行きたそうにしているあおいさんを見て仕方なく了承してくれます。
「会わない間にまた大きくなったなぁ」
久しぶりの再会で抱きつくあおいさんに父は笑顔で応えてくれます。求めていた温もりがそこにありました。
◇ ◇ ◇
子どもにとってはもちろんのこと、親にとっても子どもの運動会は一大イベントです。
ピンちゃんのことは嫌いなあおいさんですが、運動会という目的があるので次女の勇姿を写真におさめるため協力関係に。普段でもこんな関係性が続くといいのですが……。
著者:マンガ家・イラストレーター 鈴村五月
ベビーカレンダー編集部