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騒ぐ、長時間居座り…飲食店が迷惑客を“出禁” 効果と売り上げへの影響は?メリット&デメリットをコンサルタントに聞く

  • 2023.8.1
迷惑客の出入りを禁止することで、迷惑行為の抑止につながる?
迷惑客の出入りを禁止することで、迷惑行為の抑止につながる?

神奈川県内にあるマクドナルドの店舗が7月下旬、店内での迷惑行為を理由に、近隣中学校の生徒の来店を禁止する内容の張り紙を掲示し、話題となりました。店が掲示した張り紙には、「迷惑行為でスタッフが身の危険を感じることがある」という内容も書かれており、SNS上では「中学生が悪い」「マクドナルドの対応は間違っていない」「出禁はしょうがない」などの意見が上がっています。

飲食店が、迷惑行為をした客の出入りを禁止した場合、迷惑行為の抑止につながるのでしょうか。飲食店が迷惑客の出入りを禁止するメリット、デメリットについて、飲食店コンサルタントの小倉朋子さんに聞きました。

模倣犯が登場する可能性も

Q.そもそも、飲食店ではどのような迷惑行為が多いのでしょうか。

小倉さん「今年は、回転ずし店や牛丼店などで、客がテーブル上にある調味料やトッピング類を不衛生に使ったり、じか箸で食べたりする行為などが相次いで明らかとなりましたが、飲食店では『他の客の迷惑となるような大声で話す』『食事が終わった後も長く居座る』など、客本人が気付いていない迷惑行為は日常茶飯事です。

また、店舗内の商品ではなく、店外から持ち込んだ飲食物を店内で食べたり、ドリンクのみで1日中居座ったりするなどの行為があります。

他には、女性の従業員に対して個人的に声を掛けたり、ストーカー行為に及んだりするケースのほか、店内をわざと汚したり、料理に異物を混入させて賠償を求めたりするなどの古典的な迷惑行為も依然としてあります」

Q.飲食店が客を出入り禁止にするケースは多いのでしょうか。

小倉さん「具体的な統計はありませんが、一度の迷惑行為で、客が出入り禁止になることは少ないと言えるでしょう。客が度が過ぎる行為を繰り返したり、警察に相談しても行為が収まったりしないなどの経過を経て、店が客の出入りを禁止することはあります。

また、一度の迷惑行為でも、度が過ぎれば出入り禁止にするケースはあり得ますし、例えば、迷惑行為がSNS上に拡散されて大きな問題となることで、店が出入り禁止にするケースもあります。

このほか、SNSなどでの拡散はなくても、他の客への迷惑につながる、有り余る行為だと判断し、店側が出入りを禁止したケースもあります」

Q.迷惑行為をした客を出入り禁止にするメリット、デメリットについて、教えてください。店の売り上げに影響が出る可能性はありますか。

小倉さん「回転ずし店などでの客の迷惑行為が注目されて以降、店側が迷惑行為を行った客に毅然(きぜん)とした態度を取ることに対して、世間が理解をするようになったと言えます。そのため、有り余る行為に及んだ一部の客を出入り禁止にしたという理由で、店の売り上げの減少につながることはほとんどないでしょう。

マクドナルドの店舗が7月下旬、度重なる迷惑行為をした中学生のほか、その学生が通う中学校のすべての生徒を出入り禁止にし、話題となりましたが、世論の声は、おおむね好意的なものでした。店の姿勢を見せることで、他の客に共感されることもあります。

一方、話題となることで、迷惑行為の模倣犯が出ることがあります。また、飲食店の株価が下落したケースもあります。しかしこうしたデメリットは、飲食店がどのような迷惑行為を受け、その行為がどういった形で明らかになったのかによって変わります」

Q.迷惑行為をした客を出入り禁止にする措置は、迷惑行為を減らすのに有効なのでしょうか

小倉さん「ケース・バイ・ケースと言えます。迷惑行為が世間に周知されることで、先述のように、模倣犯が出ることがあります。一部の客への出入り禁止をあえて公表しない店は多く、世間的によく知られている有名店やチェーン展開しているブランドなどではない限り、出入り禁止が他の客に周知されないため、迷惑行為の減少につながらない場合もあります。

一方、店舗内の張り紙や公式サイトを通じて、出入り禁止の事実を明記して店側の姿勢を公にする店もあり、その場合は、当該店舗における同様の行為は減少します。ただし、表現次第で世間の受け止め方が変わるため、注意が必要です」

Q.客と飲食店が心掛けなければならないことについて、教えてください。

小倉さん「日本には、『お客さまは神様です』という言葉があります。しかし、その言葉はお客さまに感謝をするという意味で、決してへりくだるという意味ではないと私は考えます。また、従来は客側も節度を守り、飲食店という公共の場において、他人や店に迷惑をかけない振る舞いを心掛けていたので、両者が心地よく過ごすことができていました。

しかし、現代社会では、飲食店に限らず、相手の立場を考えて振る舞えない人が増えたと言えます。店と客が対等な立場であるという前提に立てば、店に対しては、店の考えに基づいた毅然とした対応が求められて当然です。基本的には、信頼関係を崩さないように互いに敬意を持つことはもちろん、迷惑行為により、日本の飲食店ならではのきめ細やかな対応が損なわれるのは避けなければなりません。

海外と違い、日本の飲食店では、サービスの対価として従業員にお金を支払う、いわゆる『チップ制度』が導入されていないため、どうしてもお互いのモラルに頼らざるを得ませんが、店としてのスタンスをきちんと決めておくことが必要な時代になったと言えるでしょう」

オトナンサー編集部

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