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リサイクルポリエステルは環境に優しい再生繊維。どんな商品に使われているの?

  • 2023.8.1
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環境に優しいリサイクルポリエステルとは

リサイクルポリエステルとは、廃棄されたペットボトルや繊維製品、フィルムクズを原料として作られたポリエステルのことです。一般的なポリエステルは、原料である石油や天然ガスを使い人工的に作られています。

一方、リサイクルポリエステルは再生原料を使っているため、原料の石油依存を削減し、消費エネルギーを抑えられるのが特徴です。またコットンのような天然繊維とも混紡しやすいので、幅広く活用できます。

ペットボトルがポリエステルになるまでの工程

ペットボトルがリサイクルポリエステルになるには、さまざまな方法があります。その中でも代表的なマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの工程を見ていきましょう。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは回収した素材をそのまま溶かしたり、粉砕して再度ペットボトルに利用したり、違う製品の材料として使ったりする方法です。

<マテリアルリサイクルの工程>
1.回収したペットボトルの色や異物の混入などをチェックしながら手作業で分別
2.回転式ハンマーで粉々にし、8ミリ角の薄いフレーク状にする
3.さらに粉砕・溶解し、ペレットと呼ばれる粒状にしていく
4.ペレットから新しい製品を作る

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは、使用済みの素材をガスや熱を利用した化学的な方法で分解し、新しい素材を作ります。化学的な分解や高温での熱分解を行うため、異物や汚れが付着していたり、異なる種類のプラスチックが混在していたりしてもリサイクルが可能です。

ただし高い設備や技術、コストが必要という懸念点も。しかし使用済みのペットボトルを原料レベルまで戻すことができるので、新しいペットボトルを作る場合は原料から合成するよりも天然資源の節約につながります。また、安定した品質を保つことができ、衛生面もカバーもできます。日本では、ケミカルリサイクルができる工場がまだ整っていないのが現状です。

リサイクルポリエステルのメリット・デメリット

リサイクルポリエステルは環境への負荷を抑制したり、加工しやすかったりといったメリットがある反面、コストや品質でのデメリットが。ここでは、リサイクルポリエステルのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

メリット①環境保全につながる

ペットボトルや繊維製品などをリサイクルすると、環境保全に貢献できます。日本国内では60秒間で100万本を超えるペットボトルが消費されています。廃棄物として処分したペットボトルを再利用すれば、ゴミの量を削減できるでしょう。

また新しいペットボトルの原料を採掘し、生産、供給、廃棄物までに製造される二酸化炭素は約370万トン。リサイクルによって製造される場合は96万トンなので、約40パーセント抑えることができます。製造や破棄の過程で使われる石油や石炭、天然ガスなどの原料も削減につながります。

メリット②加工の自由度が高い

リサイクルポリエステルは耐久性や伸縮性が高いので、さまざまな加工を施すことができます。形状安定性に優れているため、型崩れを起こしにくく、シワになりにくいのも特徴です。

さらに速乾性が高く吸湿性が低いため、さらさらの触り心地が続きます。サステナブル素材の原料はペットボトルとしているため、比較的安価で購入できるのも魅力です。

デメリット①コストがかかる

ペットボトルを回収するためのコストがかかってしまうのがデメリットです。すべて手作業で行うペットボトルの分別や、ゴミ回収のための人件費、ゴミ収集車の燃料費などが挙げられます。

またリサイクルポリエステルを作る工程は多く、高い技術力や設備も必要なのでその分コストもかかるでしょう。原料から新たに作るポリエステルよりも、リサイクルポリエステルの方が高価格の場合もあります。

デメリット②品質にばらつきがある

ケミカルリサイクルで作られた糸は新たに作られたポリエステルに近いですが、マテリアルリサイクルでは品質のばらつきが出てしまいます。回収から製造方法によって異物の混入があった場合、純粋なプラスチック製品としての品質は保てません。リサイクルするたびに、ポリエステルとしての品質が劣化することも多くあります。

ポリエステルは静電気が起きやすい特性があるため、ほかの生地に比べると肌への負担が懸念されます。また摩擦によって、毛玉ができやすいデメリットも。ポリエステルは繊維が強いからこそ、毛玉が取りにくいという欠点もあります。

リサイクルポリエステルを使用した商品

リサイクルポリエステルは丈夫で加工しやすい繊維のため、さまざまな製品に活用されています。普段使用している商品に記載されたタグを見てみるとリサイクルポリエステルが使われているかもしれません。

衣類

リサイクルポリエステルはTシャツやYシャツ、スウェットやフリースなどさまざまな衣類に使用されています。耐久性に優れているリサイクルポリエステルは、使用する回数が多かったり繰り返し洗濯したりする衣類にぴったりです。そのため医療やオフィスのユニフォーム、学生服などにも活用されています。

雑貨

リサイクルポリエステルは熱に強い素材なので、さまざまな加工が施されたグッズが製作されています。手間のかかる手入れも不要のため、ネクタイやリュック、ニット帽などアパレル雑貨の他、マスクやエコバッグ、ポーチ、シューズのソールなどにも使われています。

インテリア製品

カーペットやラグ、カーテンなども作られているリサイクルポリエステル。スウェーデン発祥の家具ブランドでは、テキスタイル製品を2020年までに通常のポリエステルからリサイクルポリエステルに移行しています。

エコマークとリサイクルポリエステル

エコマークは環境負荷を軽減し、環境保全につながると認めたれた商品につくラベルです。リサイクルポリエステルも環境保全に役立ちますが、エコマークをつけるには基準が設けられています。最後にエコマークについて、リサイクルポリエステルにエコマークがつく基準と共に見ていきましょう。

エコマークとは環境保全に役立つと認められた商品につくラベル

エコマークは生産から廃棄までの過程が環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられます。環境(Environment)および地球(Earth)の頭文字「e」を表した人間の手が、地球をやさしくつつみ込んでいるデザインで、「私達の手で地球を、環境を守ろう」という願いが込められています。

エコマークがつけられた商品を選んだり、関係企業が環境改善の努力を進めたりすることでサステナブルにつながっていくでしょう。

リサイクルポリエステルにおけるエコマークの基準

リサイクルポリエステルでエコマークがつく商品は、リサイクルポリエステル50パーセント以上の生地で化学物質の基準値を満たすものです。エコマークは商品によって環境負荷や材料が異なるため、種類や用途によって認定基準が異なります。また、ものだけではなくサービスも含まれるため、商品の認定基準は510もあります。

商品の資源採取・製造・流通・使用消費・リサイクル・廃棄の各段階において、主に4つの環境評価項目を検討。リサイクルのみと一部ではなく、商品のライフサイクルを通して環境への負荷を判断しています。

サステナブルなリサイクルポリエステルを活用し、地球を守ろう

リサイクルポリエステルは、ゴミとなるペットボトルや繊維製品を活用したサステナブルな素材です。天然資源が減少していく一方、二酸化炭素やゴミが増加している現代で、リサイクルポリエステルを利用することは持続可能な未来へとつながります。まずは、リサイクルポリエステルが使われた商品を選ぶことから始めてみませんか。

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