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「空へ、海へ、彼方へ―ルイ・ヴィトン」展が冬のグラン・パレで待っている!

  • 2015.12.24
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グラン・パレで始まったルイ・ヴィトンの「ヴォレ・ヴォゲ・ヴォワヤジェ」展が、とても楽しい。なんだか早口言葉のようなフランス語のこのタイトルは、"空へ、海へ、彼方へ 旅に出よう"という意味。旅のメゾンであるルイ・ヴィトンが、1965年の広告で提案した言葉からとったそうだ。

左:展覧会はここから始まる。右:メゾンの歴史を代表して展示されているのは、帽子やランジェリーなどを収めるコンパートメントがついた1906年のトランク。ニコラ・ジェスキエールがバッグに使用しているモチーフのインスピレーション源となったマルタージュを、蓋の内側に見ることができる。


オリヴィエ・サイヤールがキュレーション、ロベール・カールソンが会場構成を担当というドリームチームによる展示は、創業から現在に至るメゾンの壮大な歴史を9章で紹介。この展覧会は、創造の自由とフランスの暮らしの美学をサポートするルイ・ヴィトンのステートメントだという。過去にルイ・ヴィトンにまつわる展覧会に登場したことがないトランクやバッグも並び、またモード史家でガリエラ美術館の館長であるオリヴィエ・サイヤールが選んだ美術館所蔵品のドレスなどもふんだんに展示されていて、見応えたっぷり。

左:会場を横切る巨大な帆にクルーザーの旅へと誘われる。右:1930年頃のジャン・パトゥーの海浜用コンビネゾン。手前は1901年と1954年のスティーマー・バッグ。船旅で洗濯物入れとしてデザインされたのがスティーマー・バッグで、後方に見える赤いバッグはニコラ・ジェスキエールによる新作バッグのシティ・スティーマー。

左:列車の旅。ガリエラ美術館所蔵のドレスが展示され、車窓には風景の映像が流れ、オリエント・エキスプレスで旅をしているような気分が得られる。右:飛行機の旅。重量の超過料金がかからぬよう特別に軽量のトランクが製造された。

20世紀前半、盛んになった車の旅のためさまざまなフォルムのトランクが考案された。壁に多数点かけられたモノクロ写真は、車の旅を撮影したジャック・アンリ・ラルティーグの写真。日頃あまり目にすることのできない素敵な写真ばかりだ。

広大な砂漠を再現した大遠征の旅の部屋。違和感なくミックスされて展示された新旧のトランクやバッグが、時代を超越して生き続けるルイ・ヴィトンの創造性を物語っている。


会場入り口に掲げられているのは、創業者ルイ・ヴィトンの肖像画。14歳の少年がジュラ地方の実家から2年がかりでパリに辿り着いたことから始まる、旅のメゾンの歴史の幕開けだ。肖像画は現代アーティストYan Pei Mingによる作品で、19世紀のクリエイティヴィティが継承され、発展を続けるルイ・ヴィトン展にふさわしい。会場構成はテーマ制で、展示品は時代もジャンルもさまざまミックス。プレタポルテのデザインに関わったマーク・ジェイコブス、現在関わっているニコラ・ジェスキエール、キム・ジョーンズたちが、ルイ・ヴィトンの大胆で革新的な精神からクリエーションのインスピレーションを得ていることがわかる展示といえる。

左:"荷造り木箱製造職人兼荷造り職人"というのが創業当時のルイ・ヴィトンの職種。顧客が旅に持って行く衣類などを収めるトランクを作り、さらにトランクにそれらを収める作業も行なっていたからだ。ダミエ、トリアノンといったモノグラム誕生前のモチーフのトランクも展示されている。右:毎日のお手入れに欠かせぬ品々を収めるための特別オーダー品。右に見えるのはクチュリエのポール・ポワレがオーダーしたトランク。海外での発表では、これにコレクションを詰めて旅をしたのだろうか。

1927年の香水『Heures d'absence』。余暇の時間。ルイ・ヴィトンが受けた特別注文の中には、絵画、読書、音楽など趣味の時間のためのトランクやバッグも事欠かない。


この展覧会、美術愛好家をとりわけ喜ばせている話題がひとつある。ギュスターヴ・クールベの「Chène de Flagey(フラジェの樫の木)」(1864)が展示されていることだ。この作品は長いこと日本の美術館が持っていたのだが、画家の出身地フランシュ・コンテの美術館がクールベ美術館の建築に際し、買い取ったもの。つまり、これまでパリで見る機会のなかったクールベの名作をここに来れば間近で鑑賞できる、というわけだ。

創業者ルイが生まれたのはモミを始め樹木が生い茂るジュラ地方。そしてトランク作りに木材は不可欠ということから、木はメゾンにとって象徴的存在。クールベの作品は第二室の「木」の部屋に展示されている。

展覧会を見終え、会場出口に向かう途中にアトリエ的空間が設けられている。テーブル上では、例えばアトリエでバッグの「ドラ」を作る手仕事の映像が流れ......その緻密で丁寧な作業に圧倒されるので、一見を。実際に職人がデモンストレーションを行うこともある。その周囲には、すぐに人だかりが出来てしまうが、職人が作業する後方の3面のスクリーンに同時進行で映像が映し出されるので、足をとめて眺めるのもいいだろう。ブティックではカタログはもちろん、イニシャルサービスもある「Volez Voguez Voyagez」と刻印したナチュラル・カーフのカードケースを限定販売中(140ユーロ)だ。なお、会場入り口では、まずアプリケーションをインストールすることをお勧めする。展示部屋によってはテーマに関わるフィルムを見ることができ、また、インタラクティブを楽しめるので、ぜひ!

左:アトリエ作業のフィルム、実演が見られるスペースが設けられている。右:「列車の旅」の部屋でアプリケーションを使って、ルイ・ヴィトンのトランクをパーソナライズしてみよう。色は2色、アルファベット3文字まで。イニシャルを入れたトランクの画像はシェアもできる。

「空へ、海へ、彼方へールイ・ヴィトン」展
会期:〜2016年2月21日
Volez Voguez Voyagez - Louis Vuitton
Salon d'Honneur/ Grand Palais
Square Jean Perrin
Avenue du Général Eisenhower
75008 Paris
入場料:無料
開館:10:00~20:00(月、木、日)、10:00~22:00(水、金、土)
休館:火曜

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