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「パパ活」は不倫に当たるのか?妻から慰謝料を請求されたら支払い義務は?弁護士に聞いた

  • 2023.7.28
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「パパ活」は不倫に当たるのか?妻から慰謝料を請求されたら支払い義務は?
「パパ活」は不倫に当たるのか?妻から慰謝料を請求されたら支払い義務は?

近年、一部女性の間で広まっているとされる「パパ活」。男性と食事やデートをし、その対価として金銭を得る行為です。中には高額な報酬を目的に性行為を伴うケースも。しかし、仮に「パパ」の妻から「不倫」として慰謝料を請求された場合、女性側に支払いの義務は発生するのでしょうか。芝綜合法律事務所の弁護士・牧野和夫さんに聞きました。

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Q.ずばり「パパ活」は不倫に当たるのでしょうか。男性の妻から慰謝料を請求された場合、女性には支払い義務は発生しますか。

牧野さん「パパ活で『不貞行為』を行えば、男性の妻から慰謝料を請求された場合、女性に支払い義務は発生するでしょう。男性が既婚者だと知っていた場合はもちろん、知らなかった場合であっても、少し注意すれば知ることができた――つまり過失があったとして、女性に慰謝料支払い義務は発生すると考えられます。

また、考えにくいケースではありますが、男性が既婚者だと知らなかった、かつ知り得なかった場合には、過失がなかったとして慰謝料支払い義務は発生しないでしょう」

Q.「不貞行為」とはどのようなものを指しますか?不倫や浮気とは別のものでしょうか。

牧野さん「一般的によく言われる不倫や浮気は、法律用語ではないため、個人によって考え方に差があります。しかし『不貞行為』については、1973(昭和48)年の最高裁判例で次のように定義されています。

『配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない』

要するに『既婚者が他人と性的な関係を結ぶ』ことを言います」

Q.「性的関係」とは、いわゆる「本番行為」をするという意味でしょうか。

牧野さん「『性的関係』は、性交渉のほか口腔(こうくう)性交などの性交類似行為を指します。性的関係がない場合は、法律的に『不貞行為』ではありません。しかし性行為の現場を確認することは難しいので、性的な関係をうかがわせる場合(例えば二人きりで長時間ラブホテルで過ごすなど)も不貞行為があったと認められています。

不貞行為は、犯罪ではありませんが、民法第752条の貞操義務(配偶者以外と性的な関係を持たない)違反とされて、民法第709条の『不法行為』に当たります。配偶者がいるのに不貞行為を行った場合には、配偶者に対して損害賠償責任を負います。気を付けるべきことは、不貞行為の相手方の女性も、配偶者に対して損害賠償責任を負うということです。

以下に、民法709条の『不法行為による損害賠償』を引用します。

『故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う』

Q.では、性的関係がなければ、パパ活をしたとしても不法行為の損害賠償責任を負わないということですか?

牧野さん「パパ活には、性的関係がない場合もあるでしょう。例えば、デートをする、手をつなぐ、LINEやメールを交換する、などです。これらは、先述した性的関係には当たらないため、法律上の『不貞行為』ではありません。しかし、そこから不貞行為へと発展してしまう恐れは十分にありますので、危険な行為と言えるでしょう」

Q.恋愛感情がなかったとしても、性的関係があると「不倫」と認定されうるのでしょうか。

牧野さん「恋愛感情がなく性的関係がある例には、男性が性風俗店へ行って肉体関係を持つ、などがあります。たとえ恋愛感情がなかったとしても、貞操義務違反の行為により『婚姻共同生活の平和』が害され、それにより妻が精神的苦痛を受けた場合には、先述の『不法行為による損害賠償』を請求できます。パパ活もこれと同じことが言えます」

Q.不貞行為の慰謝料は、どのくらいの金額が一般的でしょうか。

牧野さん「侵害された婚姻関係の年数にもよりますが、おおむね数十万円から数百万円前後が慰謝料の一般的な相場です。繰り返しますが、不倫相手の女性も精神的損害の賠償責任を負います」

Q.もし慰謝料請求に関する妻からの連絡を無視し続けると、どうなりますか。

牧野さん「妻の代理人の弁護士から慰謝料の請求の内容証明郵便が届いたり、最悪の場合には裁判など法的な措置を取られたりする恐れがあります」

Q. 別居しているなど、すでに夫婦関係が破綻(はたん)していた場合でも、不貞行為で慰謝料を請求されることはありますか。

牧野さん「すでに夫婦関係が破綻していた場合には、『婚姻共同生活の平和』が害されていないので、不貞行為として慰謝料を請求されることは考えにくいでしょう」

多くの危険がはらむ「パパ活」。思わぬケースが人生を狂わせるかもしれないので、知っておいてくださいね。

(LASISA編集部)

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