1. トップ
  2. お仕事
  3. ビジネスパーソンが経済学より「お金学」を学ぶべき理由

ビジネスパーソンが経済学より「お金学」を学ぶべき理由

  • 2023.7.28

2023年7月26日、経済学者・中山智香子さんの新著『NHK出版 学びのきほん 大人のためのお金学』(NHK出版)が発売された。中山さんは、「NHK100分de 名著」 で、ベストセラー『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』の解説を担当し、大きな反響を呼んだことで知られる。

本書で中山さんは、「市場」「資本」「投資」などお金の必須知識を教えつつ、「ミクロ経済学」や「マクロ経済学」ではなく、お金の起源を探る「お金学」を教養として紹介している。中山さんは、「これからの大人、特にビジネスパーソンは、経済学よりもお金学を勉強したほうがいいのでは」とも考えているという。

「お金のあり方」が変わる?

なぜ今、大人は「お金学」について学ぶべきなのか。中山さんの専門である経済思想史では、お金は「すごく難しいファクター」として考えられていて、その注目度は近年さらに高まっているという。たとえば、ビットコインの登場は、お金のあり方を根本から問い直す必要を突きつけるものだったとされる。

このとき中山さんは、「人びとにはお金を通してできること・やりたいことがあるのに、それを既存のお金のシステムでは支えきれていない」と感じたという。その状況が変わらない限り、たとえ現行の仮想通貨が勢いを失っても、新しいお金の形態が生まれること自体は止めようがないとされる。

人々の需要を既存のシステムが支えきれていないということは、既存の経済学を学んでも現実に対応できないことが増えていくということでもある。そのため、これからの大人、特にビジネスパーソンには、経済学よりもより根本的な部分を学ぶ「お金学」が必要になってくるという。

本書は、私たちが当たり前だと思っているお金に対する考え方を一変させてくれる。学んだそばから子どもに教えたくなる、まったく新しいお金の教科書として使える1冊だ。

【目次】
はじめに
第1章 おカネの超・基礎知識
第2章 おカネって、どうやって生まれたの?
第3章 おカネへの欲望が止まらない
第4章 「新しいおカネ」の誕生
第5章 おカネは自己責任?
第6章 おカネとの関わり方を変えてみる
一歩先に進むためのお金学のブックガイド30冊

■中山智香子さんプロフィール
なかやま・ちかこ/1964年、神奈川県生まれ。東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。専門は経済思想史。早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学、ウィーン大学大学院経済学研究科博士課程修了。著書に『経済戦争の理論 大戦間期ウィーンとゲーム理論』( 勁草書房)、『経済ジェノサイド フリードマンと世界経済の半世紀』(平凡社新書)、『経済学の堕落を撃つ 「自由」vs「正義」の経済思想史』(講談社現代新書)、『ブラック・ライヴズ・マターから学ぶ アメリカからグローバル世界へ』(共編、東京外国語大学出版会)など。「NHK100分de名著forティーンズ」(2022年8月) では、バルファキス『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』の解説を担当。

元記事で読む
の記事をもっとみる