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一生育て続けられる人生の定番。「RLTチェア」に見るReally Life Toolsマインドとは

  • 2023.7.27

グローバル視点を持つ「日本のキャンパー」だからつくれるギアがある

長い海外生活から日本のものづくりのすばらしさを実感

機械やAIには真似できない、長年の経験や五感がものをいう職人の技を大切にしているRLT。ひたすらにカンナで削って滑らかに仕上げるチェアの肘掛けは、その触り心地に虜になる人続出!

2022年4月に発売を開始した「RLTチェア」を皮切りに、高いデザイン性と実用性、何よりも使い込むほどに味わい深くなる変化が楽しめるギアで、早くもリピーターが付いている「リアリィライフツールズ」(以降、RLT)

代表の鈴木啓介さんは、30年以上の経歴を持つキャンパーであると同時に、前職ではドイツ・アメリカで14年間暮らした経験もあるのだそう。グローバルな視点で俯瞰しても、やはり日本のものづくりはすばらしいと実感したと言います。

キャンパーとしての経験、グローバルな視野、日本人の感性。それらが合わさったブランドの魅力に迫ります。

ドイツ時代は、スイスやイギリスなど欧州各地をキャンピングカーでまわったり、ニュージーランドにトレッキングに出かけたりと海外の素晴らしい自然を体験してきた鈴木さん。写真はそのころの相棒であるフォルクスワーゲン

RLTがものづくりで大切にしている5つのこだわり

RLTのものづくりにおいて大切にしている軸は、次の5つ。

1.日本のものづくりにこだわる
職人たちとの対話を重ねて、ストーリーのある商品を作る。

2.性能にこだわる
コンピューターによる強度解析や現場でのテストを重ね、安全性も考慮しながら性能を最大限に発揮し、困りごとを解決する。

3.デザインにこだわる
「機能を持たない装飾はできるだけしない」をコンセプトに、シンプルな中にも理由が詰まった形状を目指す。

4.社会貢献にこだわる
可能な限り地域のすぐれた素材を使い、製造においては障がい者就労施設とも協力しながら、地域産業の発展につながることをめざしている。

5.多様性を認め合い、働きやすい環境にこだわる
いろいろな人種に出会い、ともに仕事をしてきた海外経験から、「さまざまな違いを認められるようになりたい」「みんなにとって働きやすい環境を作りたい」というこだわりを、企業の目標としても掲げている。

これら5つのこだわりを核に据えたアイテム達は、ブレがなく、不思議と同じ世界観を纏っています。チェアを中心に、RLTのコンセプトが形になった商品たちを見ていきましょう。

腰痛持ちでもキャンプが楽しめる!?「RLTチェア」とは

ハンモックから着想を得た、「持ち主の体に合わせて育つ」イス

RLTのデビュー作であり、代表作のRLTチェア。即完売が続く人気の理由とは…

座っていることが多いキャンプにおいて、腰痛持ちの人は楽しみに行っているはずなのに、なぜか苦行を強いられる気分になることもあるのではないでしょうか。

同じように腰痛に悩んでいた鈴木さんが考えたのは、「とにかく座り心地がいい、腰痛持ちでもキャンプが楽しめるチェア」。芸術大学の教授や木工作家とともに、2年の開発期間をかけて完成させた傑作は、分解できる木のフレームをガイロープでつなぎ合わせ、ハンモックのようにシートをかけるというまったく新しい形状。

一見するとシンプルなデザインですが、シート、フレーム、ガイロープ、留め具…すべてに考え抜いたこだわりが詰まっていました。

ミルスペックの「アーミーダック」で体をサポート!

生なり・ブラック・抹茶の3色。シートのみの販売もしており、着せ替えも楽しめる

RLTチェアの肝とも言えるシートは、愛知県知多半島で作られている高密度な帆布。もともと、米軍で弾薬を運ぶ際に使用されていたもので、「アーミーダック」とも呼ばれているそう。

ナイロンでは焚き火の近くで使えないからと、綿にこだわってさまざまな生地で試作を繰り返した結果、一般的な帆布よりはるかに強度のあるこの生地に行きついたのだとか。

高密度なゆえに、最初の座り心地は浅く感じますが、使っているうちに持ち主の体に合わせてじわじわと伸び、包み込むようにフィット。まさに「育てるチェア」です。

その年、そのタイミングで最高のものを。一期一会の木材は、まるでワイン!?

伐採し、積み上げられた支障木。この中からRLTチェアにふさわしい木を選別。コナラやケヤキのほか、ヤマザクラなどの貴重な木が出ることも

フレームに使われている木も、普通の製材とはひと味もふた味も違います。岐阜県高山市を中心に、「支障木」と呼ばれる、山に道路を作る際に切り倒され、通常なら朽ち果てるだけの木の中から広葉樹を厳選。

自然のままに育った木の中から、その年、その時にもっとも良質なものを選んでいるため、樹種も木目の表情もさまざまです。ワインのヴィンテージを感じさせるバックグラウンドにワクワクすると同時に、余計に愛着も湧きそう!

真鍮色の特性ガイロープでテンションを張る新構造!

フレームの組み立てに使われるのはオリジナルガイロープ。靴ひもを結ぶように簡単に組み立て・分解ができる

一般的なローバーチェアのように、パタンと折り畳むこともできれば、完全に分解して細長い収納袋にしまうこともできるのは、ガイロープでテンションを張っているから。

そのガイロープもRLTのオリジナルで日本製。色は真鍮色を別注で作ってもらっています。やわらかい手触りからは想像もつかない、1本で340kgの引っ張り強度というのも驚き!

完全に分解するとこんなにコンパクトに。一番右のオリジナル収納袋(100x140x900mm)にすっぽり収まります

金具はできる限り真鍮で、「自分好みに育てる」楽しみを付与

肘掛け部分や脚裏など、細部に使われている真鍮。一緒に年月を過ごすほど、表情が豊かになる

フレームの足裏の保護パーツや留め具などには真鍮を使用。それは、経年変化が楽しめる真鍮を「自分好みに育ててほしいから」だと言います。細かな部分までオリジナリティが出てくるのは、長く使う道具の醍醐味ですね。

真鍮部品は、規格品のネジ類を除いては、愛知県内の信頼できる加工会社に依頼と、ここでも「社会貢献」を大切にしています。

「一座惚れ」という言葉があるなら…このチェアはまさにそれ

パーツごとのこだわりを深堀りしてきましたが、このチェアに実際に座ってみると、目の詰まった帆布がしっかりと腰を支えてくれ、もたれかかっても前かがみになっても安定していて、とにかく体や腰が楽。さらに、肘掛けが一般的なチェアよりも短いのですが、これが、座ったままでテーブル周りや焚き火周りをいじるのにとてもいい!腕の可動域を邪魔しないのです。

極上の座り心地はもちろん、キャンパー目線もしっかり取り入れられているのが感じられるデザインに、座っただけで「あっ、そうか!」と衝撃が走ること請け合い。常連さんからも、「キャンプで使うとすぐ寝ちゃう。悪い椅子だよ~」とニコニコしながら愛情を持って言われるそうです。

そんな才色兼備のこのチェアは、「グッドデザイン賞2022」も受賞。60年以上もの伝統ある賞が認めた機能美は必見!

フラットバーナーの安定感を向上させる五徳

手前が黒皮鉄、奥がステンレス。ステンレスは使い込むうちに真鍮のような色合いになってくる

チェア以外にも人気商品はいろいろ。たとえば、スノーピーク「フラットバーナー」用の五徳は、「もう少しこうだったら」という愛用者ならではの目線で生まれたカスタムギアです。

鈴木さん自身もフラットバーナーを愛用していますが、オリジナルの五徳では、マルチグリドルや小さなヤカンなどがツルツルと滑ってしまって不安定だったそう。さらに、五徳の前にスノーピークのIGTスリムに載せる真鍮天板を作っていましたが、オリジナルの五徳は外さないと天板が載せられない、という課題も…。

コンピューターによる強度解析。性能や安全性もRLTが大切にしていることの一つ

IGTスリム用の真鍮天板。オリジナル五徳(写真奥)だと出っ張りがあって天板を載せるために五徳を外す必要があるが、RLTのフラットバーナー用五徳なら装着したままスライドしてテーブルにできる

「育成要素」ももちろんありの器具栓ホルダー

こちらもスノーピークのガスボンベで感じる「あるある」を解消した商品。「オリジナルの器具栓ホルダーが短すぎてボンベの取り付けに苦労する」「火力調整のつまみが操作しにくい」といったストレスを解決するために、オリジナルより30mm長くした器具栓ホルダーです。

さらに、紛失しやすい蓋をつり下げておける穴もついてさりげなく便利。こちらは強度的にも問題がないので、真鍮を採用。育てる楽しみもしっかりあります。

余裕を持ってボンベが取り付けられる長さ。こちらは鈴木さんが実際に使っているもので、うっすらと緑青が浮いているのも味!

真鍮製自在金具+真鍮カラーのガイロープ

真鍮色のガイロープと真鍮の自在金具の組み合わせ。他にないカラーでさりげなくオリジナリティが出せる

RLTチェアにも使われているガイロープを、自在金具とセットで販売。芯がふわふわでテンションをかけやすく、引っ張り強度も高いので、テントやタープを張るのにも安心して使えます。

また、特注の真鍮色はサイトのアクセントにも。編んだガイロープとカラビナのセットは、ハンガーフック代わりやテントの目印などに人気です。

ハンガーフック代わりに使ってもおしゃれな真鍮色のガイロープとカラビナのセット。リピーターも多いそう

「一生育てたいこだわりのツール」に出会えるブランド

徹底したコンセプトが根底に流れるギアたちは、どれも育てがいがあり、一生付き合いたくなるものばかり。流行ではなく、定番になるデザインも使うほどに愛着が湧きます。将来的には「モノ」だけではなく「コト」も提供できるようなブランドになっていきたいというRLT。全国のイベントにもできる限り参加していくそうなので、ぜひ本物に触れてみて。

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