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「83×87」を5秒で解けますか? 2桁の計算が得意になる“インド式計算”を解説!

  • 2023.9.15

「インドでは2桁同士の掛け算を覚える」というのは聞いたことがある方は多いでしょう。

近年、インドではIT分野の発展が著しく、それはインド人が数学が得意だからとも言われています。

「インド式計算」と呼ばれる計算方法も有名ですが、これは何も全て暗記しましょうということではありません。

今回はそんなインド式計算に挑戦してみましょう。

問題

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筆算の計算をしていては、さすがに5秒で答えを出すのは難しそうです。

しかし、インド式計算を知っていれば、簡単に計算をすることが可能です。

 

まずは答えを確認しておきましょう。答えは7221です。

解説

インド式計算は、なにも2桁の掛け算を暗記している必要はありません。日本で習う九九ができれば大丈夫です。

ただし、ポイントになるのは、「どの計算パターンなのか」という見極めです。

2つの数字の組み合わせによって、どのような計算をしないといけないか、それを知っている必要があります。

今回の83×87という問題は以下のような特徴があります。

①2つの数の十の位が同じ(今回は8)
②2つの数の一の位を足すと10になる(今回は3+7=10)

この条件に当てはまる問題であれば、同じような計算で答えを出すことができます。

それでは、計算手順を見ていきましょう。
※カッコ内に書いている計算は、今回の83×87の問題の計算方法です。

【手順1】
十の位の数と、それより1大きい数を掛ける。
(十の位は8なので、8×9=72)

【手順2】
一の位同士をそのまま掛け算する。
(3×7=21)

【手順3】
手順1、手順2の数を順に並べると答えになる。
(72と21から7221が答え)

如何でしょうか。計算自体は九九の計算しかしていません。

本当にそうなるの?という方は、以下の問題も挑戦して、確認をしてみましょう。

練習問題
(1)26×24
(2)93×97
(3)61×69

ここでは(1)のみ解説します。

【手順1】
十の位は2なので、それより1大きい数を掛ける。
(2×3=6)

【手順2】
一の位はそのまま掛け算する
(6×4=24)

【手順3】
手順1、手順2の数を順に並べると答えになる。
(6と24から624が答え)

答え
(1)624
(2)9021
(3)4209

まとめ

2桁の掛け算を一瞬で計算するという「インド式計算」。

今回紹介したのは「十の位が同じで、一の位の和が10になる」という2つの数の掛け算です。

そんな決まった場合しか使えないなら、使い道がないんじゃない!?と思われるかもしれませんが、この条件を満たす計算は全部で81パターンあるのです。

81パターンというのは、九九と同じです。小学生のときに苦労して覚えた九九と同じだけの計算が、やり方一つ覚えるだけで簡単にできてしまいます。

これを使えば、あなたも計算マスター!

【補足】数学的な証明

以下では、今回の計算が成り立つ数学的な証明をしています。興味がある方は、ぜひ数式で確認をしてみください。

①2つの数の十の位が同じ。
②2つの数の一の位を足すと10になる。

この条件を満たす2つの数を10a+b、10a+(10-b)とする。(a,bは1桁の自然数)

このとき
(10a+b)(10a+(10−b))
=100a²+10a(10-b)+10ab+b(10-b)
=100a²+100a-10ab+10ab+b(10-b)
=100a(a+1)+b(10-b)

よって、
上2桁は「十の位の数と、それより1大きい数の掛け算、a(a+1)」、
下2桁は「元の数の一の位の掛け算、b(10-b)」
となっていることがわかります。


文・監修:SAJIMA

日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」。

編集:TRILLニュース