【歴史コラム】『イ・サン』で洪国栄が就いた都承旨(トスンジ)って何?

テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『イ・サン』を見ていると、イ・ソジンが演じるイ・サンが国王になって彼が政治改革をどんどん行なっている。その際、側近として腕を振るっているのが、ハン・サンジンが演じる洪国栄(ホン・グギョン)であった。

彼はイ・サンの即位に貢献したという功績で大出世を果たしたのだが、役職も都承旨(トスンジ)になった。本当に重要な地位だ。とはいえ、視聴者は「都承旨はどのような役職なのか」と疑問に思うかもしれない。そこで、まずは朝鮮王朝時代の主な官庁について解説してみよう。

〔朝鮮王朝の主な官庁〕

○議政府（ウィジョンブ）……行政府の最高機関である。次の６つに分かれている。
1．吏曹（イジョ）……文官の人事などを担当する
2．戸曹（ホジョ）……徴税と財政などを担当する
3．礼曹（イェジョ）……儀礼・外交・科挙などを担当する
4．兵曹（ピョンジョ）……軍務と武官人事などを担当する
5．刑曹（ヒョンジョ）……法務・刑罰・奴婢管理を担当する
6．工曹（コンジョ）……建設土木・営繕などを担当する

○承政院（スンジョンウォン）……国王の秘書役で特に王命の出納事務を担当する

○義禁府（ウィグムブ）……王命に従って罪人を取り調べる

○司憲府（サホンブ）……官僚の不正を糾弾して風紀を守る

○司諫院（サガヌォン）……国王に諫言して政治の非を指摘する

○漢城府（ハンソンブ）……首都の司法・行政・治安などを担当する

国王の秘書的な役割

以上が朝鮮王朝時代の主な官庁だ。「義禁府（ウィグムブ）」「漢城府（ハンソンブ）」など韓国時代劇でよく耳にする名前も多いことだろう。

この中で、洪国栄が担った都承旨というのは、国王の秘書的な役割を務める承政院の長官のことだ。わかりやすく言えば、国王の秘書室長というわけだ。朝鮮王朝時代には大変重要な役職で、国王の一番近くで相談に乗る立場なのである。このように洪国栄は大役をまかされて絶大な権力を握っていったのだ。

文＝康 熙奉（カン・ヒボン）