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世界からお届け!SDGs通信 ソウル編。廃材をアートに生まれ変わらせるスカルプチャー作家

  • 2023.7.23
世界からお届け!SDGs通信 ソウル編。廃材をアートに生まれ変わらせるスカルプチャー作家、イ・ソンジュン

ステンレス食器やカトラリーでアップサイクルアートを制作

韓国で広く使用されているステンレス製のごはん容器やボウル、スプーンやフォークなどのカトラリー。スカルプチャー作家のイ・ソンジュンは、これらを廃業した飲食店や古道具店から集めてアート作品に生まれ変わらせている。

「“自分ひとりだけでも資源の消費を抑えたい”と思ったことをきっかけに、使われなくなったものや捨てられたものに関心を持つようになりました。韓国のステンレス食器は特定のブランドもなく、ステン器、ステンスプーン、ステン箸と呼ばれています。こうした身近なアイテムを活かして、創作活動を行っています」

韓国全土で幅広く個展やグループ展を開催しており、ウシやウマ、ゾウなどの野生動物、オオワシや小鳥たちなどの動物オブジェは子どもたちにも人気が高い。大型の作品には、数千個におよぶ廃ステンレス食器が使用されているという。

彼が伝えたいメッセージは“日常の価値”。「特別であることだけが価値ある人生なのではなく、私たちの普遍的な日常にこそ価値があるということを、作品を通じて伝えていきたいと願っています」とその想いを語ってくれた。

廃ステンレス食器を切削して形を整え、溶接したイ・ソンジュンの作品
廃ステンレス食器を切削して形を整え、溶接してオブジェを作っていく。
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スプーンや箸で作られた小型の作品も。「鳥になった花」2017。
世界からお届け!SDGs通信 ソウル編。廃材をアートに生まれ変わらせるスカルプチャー作家、イ・ソンジュン
社会によって定められた水平の基準とは異なる傾きがあることを表現し、さまざまな形の日常の価値を伝える作品。「坂道のカボチャ」。60×80×80(H)cm、2021。
世界からお届け!SDGs通信 ソウル編。廃材をアートに生まれ変わらせるスカルプチャー作家、イ・ソンジュン
豚は韓国で幸福や金運を象徴する。容器のフタに刻まれた「福」「寿」、李氏朝鮮時代の銅銭「常平通寶」の文字を活かした「Symbiosistence―pig」。75x40x110cm(H),2012。
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ステンレス容器から生まれた、躍動感あふれる馬の巨大オブジェ。「Symbiosistence – horse」。250x110x270cm(H),2014。

Information

Lee Song Joon

イ・ソンジュン/ステンレス彫刻家。2009年から廃ステンレス食器を使った創作活動を開始。第14回ソウル美術大賞展・ソウル美術協会理事長賞(2016)、第17回ハンマウム美術大賞展・大賞(2018)、第7回ソリプルART for ART大賞展・最優秀賞(2022)ほか受賞歴多数。

HP:https://www.leesongjoon.com/
Instagram:@songjoon_lee

profile

藤田麗子

ふじた・れいこ/ライター&韓日翻訳家。韓国エンターテインメント誌、医学書などの編集部を経て、2009年より韓国在住。訳書に『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(ダイヤモンド社)、『悩みの多い30歳へ。』(CCCメディアハウス)など。

Instagram:@reiko351

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