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転職活動は自己分析から始めてはいけない…10回転職したプロが伝授「年収アップのために最優先すべきこと」

  • 2023.7.20

転職を成功させるにはどうすればよいのでしょうか。10回転職したキャリアコンサルタントの森田昇さんは「転職に事前準備は絶対に欠かせません。逆に言えば、事前準備さえシッカリできていれば転職は成功したのも同然です」と言います――。

※本稿は、森田昇『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を再編集したものです。

転職の事前準備は最低3カ月

「1日10分、スマホをポチっとするだけで年収アップします!」

というのは詐欺案件かFX自動売買ツールの案内ですが(まったく勝てないので騙されないように)、転職活動自体は事前準備さえ済んでしまえば1日10分、スマホをポチるだけでできます。転職エージェントの紹介案件や、転職サイトで意中の企業を検索して応募ボタンを押すだけですからね。

とはいえ、これはあくまで事前準備が済んだ後の、書類選考や面接といった応募以降の話。転職の事前準備には相応の時間がかかります。まず①転職の目的を「今、ここ」で考えた後に、②自己分析と③会社選びの判断軸を決定、そして④応募先の選定までが転職の事前準備です。慎重に考える必要がありますし、すぐに応募できる体勢を整えるためにも最低3カ月はかけてください。

あなたの手の中のナンバー3。
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転職は事前準備が9割

私たちの普段の仕事と同じように、転職も事前準備で9割決まります。もし、転職にそこまで興味がない人でも、転職活動の事前準備だけは実施することをおススメします。今の会社の待遇があなたにとって本当に適切なのかが分かりますから。「履歴書や職務経歴書まで書け、なんならジョブ・カードも(知らない?)」、というわけではありませんのでご安心ください。事前準備だけで十分です。

準備不足のまま転職活動に取りかかった場合、どんな問題が起きるでしょうか。「思っていたより時間がかかってしまった」だけならいいですが、最悪なのは「転職したのに年収がダウンした」です。厚生労働省による「令和3年雇用動向調査結果の概要」では、転職で賃金が減少した転職者の割合は2021年で35.2%となっており、この数字は、転職で賃金が増えた転職者の割合とあまり変わりません。これらはすべて準備不足によって起こってしまうトラブルなので、きちんと準備ができていれば避けられます。

転職の目的を見失わないために

事前準備として最初に行う、転職における目的を見失ってしまうこともよくあります。この本では年収アップにフォーカスしていますが、それだけが転職の目的ではないですよね? 時間的自由や空間的自由といったワークライフバランスもあったと思います。

事前準備が疎かだと心に余裕が持てません。必死に目の前の書類作成や面接といった作業をこなしていくだけだと、よく考える時間もないので「苦労して転職活動したのにブラック企業へ入ってしまった」という、目も当てられない事態に陥ってしまうこともままあります。

こういった事態を避けるためにも、事前準備は絶対に欠かせません。逆に言えば、事前準備さえシッカリできていれば転職は成功したのも同然です。なにせ、転職は事前準備が9割ですから。

ビジネスマンは、リストを行うために書き込み
※写真はイメージです
転職のスケジュール感は3分割にして考える

転職にかかるおおよそのスケジュール感を3分割すると、

1.事前準備(3カ月)
2.応募から選考(2カ月)
3.内定から退職(1カ月)

多少の増減含め、おおよそ6カ月見込みです。大手転職サイトが3カ月以内で決められると謳っているのは、事前準備ができた後の話だからです。事前準備の期間が転職活動の半分を占めると覚えておきましょう。

「2.応募から選考」をたった2カ月で終えられるのか、不安になる人もいるかもしれませんが、それ以上は時間をかけられません。メンタルが持たないからです。たとえメンタルが強固な人でも、書類選考や面接後に届くお祈りメールを何度も受け取ると精神的に参ります。妥協や譲歩、我慢と諦めから転職条件が緩くなっていき、ついには年収アップすら手放してしまいます。冷静さを失わないためにも事前準備は入念に行い、実際の行動は早く終えましょう。

これが、ヘッドハンティングやリファラル採用といった、最近流行の転職方法でしたらもっと早く決まります。しかし、そういったスカウトがあった場合でも、のるかそるかの判断軸となる事前準備は、通常の転職時と同様に3カ月かけるのが無難です。

短縮するのはあくまで「2.応募から選考」以降の期間だけです。

SNSに期待するのはやめるべき

スカウトのことを説明しますね。ヘッドハンティングとは、経営幹部や専門職といった、事業運営に欠かせない優秀な人材を他社からスカウトする採用手法のことです。このようなハイクラスな人材は引く手数多なため、転職サイトを使っても企業が見つけるのは困難です。そのため、ヘッドハンティング会社や転職エージェントに依頼して、独自のルートで人材を探し出します。所属している会社にダメージを与える意図もある引き抜きとは違い、ヘッドハンティングは純粋に人材を必要としての手法です。

一方、リファラル採用とは、自社の社員に友人や知人を紹介してもらう採用手法のことです。企業理念や文化を理解している社員がリクルーターとなり、人柄をよく知る友人や実力を把握している知人を紹介するため、企業と応募者の間で採用のミスマッチが起こりにくい利点があります。離職される可能性が低いことから、近年広まりつつあります。

将来的な転職希望者の中にはヘッドハンティングやリファラル採用されるために、頑張って人脈を作ったりLinkedInやTwitterといったSNSで実績や考えを発信したりする人もいます。これは遠回りなので今すぐ止めましょう。

誰かに必要とされるのは嬉しいし気持ちいいし格好良いですが、評価されるまで長期間ひたすらSNSを頑張るといった受け身の姿勢より、自分から応募した方が短期間で決まります。断然早いです。

人脈を作るならさっさと転職したい旨を伝える、SNSで発信するなら意中の企業にDMを送る、という攻めの姿勢で、やると決めたら「今やる、すぐやる、さっさとやる」の勢いで応募しましょう。応募したい会社選びや意中の企業をどう決定するのか、その判断軸を決めることが転職の事前準備ですから。

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転職の目的は今のあなたが最も欲しいもの

「転職活動はまず自己理解から始めましょう」といった就職活動時の進め方はしません。転職活動で最初に行うのは自己分析や企業リサーチではありません。過去の振り返りやキャリアの棚卸しも後回しです。

転職の事前準備として最優先で行うのは、転職で実現したい最優先事項を決めることです。「今、ここ」で起こっていることだけを見つめて、過去の感情や未来への思考で判断せずに、冷静に今のあなたが最も欲しいものを①転職の目的として決めましょう。

「今、ここ」にフォーカスする

転職で実現したい最優先事項、それが転職の目的です。年収アップ以外にも転職で得たいものがあるはずです。「年収が100万円アップした」「誰もが知っている有名企業に入れた」という結果だけで転職が成功したとは言えません。自分で考えた転職の目的に沿った判断をすべきです。

転職することで何を得たいのか。その目的を定めるコツは、過去の出来事や未来の希望よりも「今、ここ」にフォーカスすることです。

「今の会社の年収よりアップさせたい」
「今の会社の仕事より面白いことをしたい」
「今の会社の人間関係をリセットしたい」

といった「今、ここ」を基準に考えましょう。昔はこうだったのに、等と過去とは比較せずに、今の状態と比較してください。また、この先の人生はこうしたい、こうありたい、等と未来を見据えるのも大事ですが、それよりも今の状況から脱出することを優先してください。年収300万円からの脱出を。

事前準備の段階では、過去との関係性や未来への道筋を考える必要はありません。応募書類の作成、もしくは面接時に紐づければいいので、今どう感じているのか、何を変えたいのか、年収300万円から脱出したいのか、を優先してください。変えるのは「今、ここ」です。

昨日、今、明日、そして今、木製のブロックに焦点を当てることがコンセプトです
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悩んだ時に参考にすべき3つの選択肢

「今の状況を変えたいけど、もやもやするばかりで具体的に考えられない」「まとまらない」「なりたい将来も分からない」よく聞くセリフです。私もそうでした。悩みを言語化できず、自分の本当の気持ちが理解できない。そんな昔の私と同じだという人は、次の3択を参考にしてください。

森田昇『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)
森田昇『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)

1.年収アップ(①年収アップ、②有名企業への入社、その結果の③職場の温かい雰囲気と心地良い対人関係)。
2.やりたくてできる仕事(⑥やりがいがあるチャレンジングな仕事、⑧圧倒的なスキル、その結果の⑨管理職・マネジャー経験)。
3.待遇の改善(④フレックスタイムや裁量労働制等の時間的自由、⑤テレワークでの空間的自由、その結果の⑦ワークライフバランス)。

この中から今まさに最優先で改善したいポイントを選びましょう。それがあなたの転職の目的になります。

それでも悩む人は「1.年収アップ」を最優先にしてください。年収アップにこだわることで、実は残り2つも自然と手に入ります。年収アップのためには「3.待遇の改善」が必要となりますし、自ずと「2.やりたくてできる仕事」じゃないと理想の待遇を得られる企業からの内定は得られません。最優先はやはり「年収アップ」です。

森田 昇(もりた・のぼる)
キャリアコンサルタント、中小企業診断士
一般社団法人リベラルコンサルティング協議会代表理事、あさみコンサルティングファーム代表取締役、ProsWork取締役、S取締役。1998年、大学卒業後、IT企業に入社。サラリーマン生活20年間で10回の転職を経験し年収300万円からの脱出を果たす。この転職法を紹介した再就職支援セミナーをハローワークで100回以上開催、2000人の転職と再就職の支援をする。著書に『売れる!スモールビジネスの成功戦略』(明日香出版社)がある。

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