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【歴史コラム】廃位した王の妻が辿った壮絶で悲しい結末

  • 2023.7.18
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朝鮮王朝では、王妃の存在はその死後に贈られる諡(おくりな/死後の尊号)により、永遠に記録されることとなる。しかしながら、15代王・光海君(クァンヘグン)の正室は通称で「廃妃・柳氏(ペビ・ユシ)」と称される。彼女の夫が廃位という不運に見舞われたため、彼女自身も諡を受ける機会を奪われてしまったのだ。

では、柳氏がこの世を生き抜いた様子はどのようなものだったのか。彼女にとっての試練は、8歳若い女性が義母となったことであった。これは、光海君の父である宣祖(ソンジョ)が再婚した結果であった。その宣祖の新妻であり、柳氏の義母となったのが仁穆(インモク)王后だ。

宣祖の最初の正妻であった懿仁(ウィイン)王后が1600年にこの世を去った際、宣祖はすでに50歳であった。それでも彼は2年後に、たった18歳の仁穆王后と再婚した。そのときに柳氏は26歳。突如として現れた8歳年下の義母との付き合い方に苦悩し、不幸にも彼女と仁穆王后の関係は良好ではなかった。

しかし、その対立に終止符が打たれるときが訪れた。それは1608年、宣祖が崩御し、光海君が王として即位したからだ。柳氏は正式な王妃となり、夫の権威を背に、王宮での自由な行動を取ることができるようになった。彼女はこの一時的な春のような喜びを心から満喫したことだろう。

1623年、反逆の勢力がクーデターを起こし、光海君は王位を追われることとなった。それが柳氏の人生の終焉の始まりとなった。柳氏と光海君は、息子とその妻と共に、江華島(カンファド)へと流刑となった。

『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』ではチョン・ジュノが光海君を演じた(ドラマ『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』より。DVD好評リリース中・U-NEXTにて見放題配信中 〔写真=Licensed by KBS Media Ltd.(C) 2019 KBS. All rights reserved〕)
悲しすぎた結末

その船上で、柳氏は夫である光海君に自害を迫った。「生きて恥辱を受けるより、潔く死を選びましょう」と。彼女は死によって自身の羞恥を逃れようとした。しかし、光海君は応じなかった。彼には生に対する執着が強すぎた。

その選択は、悲劇の連鎖を引き寄せることとなった。江華島に着いた後、息子夫婦の脱走計画が露見して2人は死罪となった。
その後、息子たちの死に打ちひしがれた柳氏は、後を追うように自らの命を絶ってしまった。結末はあまりにも悲しすぎた。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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