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行平あい佳さん・青柳翔さん、年齢を重ねることに「迫り来る恐怖」と「楽しみ」と

  • 2023.7.17

2017年から俳優活動を始め、ドラマ『リバーサルオーケストラ』など、話題作に次々出演する行平あい佳さん。劇団EXILEとしての活動に加え、7月期の日本テレビ系ドラマ『CODE-願いの代償-』や舞台など、さらに活躍の幅を広げる青柳翔さん。旬な二人がこの夏公開の映画『セフレの品格』でW主演を務めます。俳優人生のターニングポイントや、年齢を重ねることへの思いなどを二人に伺いました。

映画を創る喜びを思い出した(行平)

――お二人の歩みで、ターニングポイントを迎えた瞬間はいつですか?

行平あい佳さん(以下、行平): 城定秀夫監督作品の映画『私の奴隷になりなさい 第2章 ご主人様と呼ばせてください』(2018年)の、オーディション日ですね。このオーディションに合格し、主演に選んでいただきました。
この作品をきっかけに多くの作品に出演させていただけるようになったのも、転機となりましたが、何より城定監督と出会えて「映画の現場はこんなに楽しいんだ」と思えたのが、私にとって大きなできごとでした。

朝日新聞telling,(テリング)

――それまでに撮影現場を「楽しい」と思えなかった時期がある、ということでしょうか。

行平: 助監督時代ですね。大学卒業後、フリーで助監督をしていたのですが、撮影現場の忙しさに追われて「いかに早く撮り切るか」と、仕事として割り切るような態度で現場に臨むようになってしまっていたんです。新しいものを創造したい、と思う熱量がどんどん減っていって。その後、事務所に入り俳優としてオーディションを受けました。城定監督の現場はすごくスマートだけど、クリエイティブ。映画を創る喜びを思い出せたことが、嬉しかったし、ありがたかったです。まさに私の人生が変わった瞬間でした。

青柳翔さん(以下、青柳): 僕は、北海道から俳優を志して上京したときですかね。21歳の頃かな。上京し、その後こういう仕事に就くことができて、初めて親に認めてもらえたような気がしました。その第一歩となった上京は、自分にとってターニングポイントだったと思います。

――「親に認めてもらえた」と感じたとは、どんな言葉で?

青柳: うーん、そんなに言葉に出して褒め合うような家族ではないので、特に何かを言われたということはないんですよね。ただ、7年くらい前、実家に帰ったときに衝撃的なことがあって。実家は北海道なので、玄関の前に、雪や冷気の吹き込みを防ぐ小部屋のようなものがあるんですよ。玄関フードというんですけど。そこに、僕が出演した映画のポスターが貼ってあったんですよ。

朝日新聞telling,(テリング)

行平: えー、素敵!

青柳: それが、なぜか選挙事務所などに貼るような政党応援ポスターも隣に貼ってあって(笑)。勘弁してくれ、と言って剥がしました。

行平: 剥がしたんですか!

青柳: 寒い中、必死で剥がしましたよ。玄関フードに、選挙ポスターと並んで貼られていたら違和感があるでしょ……。まあ、恥ずかしかったのだけど、親は僕の出演を喜んでいてくれていたんだな、と。

年齢を重ねることに恐怖はあれど「悪くないよね」

――行平さんは8月で32歳を迎えられます。年齢を重ねていくことに不安を感じる女性もいますが、行平さんは30代に入ったとき、どのような心境でしたか?

行平: 30歳になった瞬間は、あまり以前と変わらないような気がしたものの、だんだんと……。表現が難しいのですが「女の子としての華のような時期が終わっていくのではないか」と怖く感じることもありました。世間一般が思い浮かべる“女の子”の時期を過ぎると、体調も、体質も、少しずつ変わっていく。“女の子”を終えて、これから“女性”として、私は本当に人生を楽しみながら生きていけるのか……。そんな恐怖が、ひしひしと足音を大きくして近づいてくるような。この2、3年の間、コロナ下も相まって、これからどのように生きていくかをすごく考えています。

朝日新聞telling,(テリング)

――青柳さんの場合はいかがですか。現在38歳ですが、年齢を感じる瞬間はありますか。

青柳: もちろん、あります。以前に比べて、体が思うように動かない。反射神経が鈍くなっている。そういう肉体的な衰えはすごく感じますよ。32歳くらいの頃からかな。もともと運動が好きだったのですが、年齢を重ねることで「できたはずのことが、できなくなっていく」感覚はある。

行平: そういう感覚も、俳優としては、これから演じる作品にきっと生かせるのでしょうけどね。

朝日新聞telling,(テリング)

――年齢を重ねていくことで確実に、変わるもの、失っていくものはある。逆に得るものもある。これからの人生を送る上で、どのようなことが大切だと思いますか?

行平: 失っていく恐怖のようなものは感じつつも、あまり深刻に捉えずにいたいですね。体や心の変化に合わせて、生活も少し変えてみようかな、といった、ちょっとしたポジティブさは忘れずにいたい。

青柳: 焦るのではなくて、なるべく年齢を重ねることを「悪くないよね」と捉えたいなと思う。さっき「そろそろ白髪も生えてくるよね」と聞かれたので、僕は「そうなんですよ。早く坂本龍一さんみたいになりたくて、楽しみなんです」と答えました。かっこいいじゃないですか。早く年を取りたい、とまでは思わないけれど、年相応に、作品とともに成長していきたいです。

行平: 「年齢」や「変化」は、誰もが大なり小なり向き合っているテーマ。私もまさに当事者なので、先輩方から話を聞いて、30代の過ごし方を模索しているところです。飾らず率直な思いを共有しあいながら、これからの生き方を考えていきたいですね。

●行平あい佳(ゆきひら・あいか)さんのプロフィール
1991年生まれ。東京都出身。早稲田大学を卒業後、フリーの助監督として2年間、撮影現場で働く。2017年から俳優活動を開始。2018年、城定秀夫監督作品の映画『私の奴隷になりなさい 第2章 ご主人様と呼ばせてください』の主演に抜擢。近年の主な出演作に、映画『「アララト」誰でもない恋人たちの風景vol.3』『いつか、いつも……いつまでも。』『百合の雨音』、日本テレビ系ドラマ『リバーサルオーケストラ』など。

●青柳翔さん(あおやぎ・しょう)さんのプロフィール
1985年生まれ。北海道出身。2009年に舞台『あたっくNo.1』で俳優デビュー。2011年、劇団EXILEのメンバーとなる。2012年、映画『今日、恋をはじめます』で第22回日本映画批評家大賞新人賞を受賞。WOWOW「アクターズ・ショート・フィルム 2」では初めて監督に挑戦した。近年の主な出演作に、映画『孤狼の血 LEVEL2』、Netflixシリーズ『今際の国のアリス』、日本テレビ系ドラマ『日本統一 関東編』など。

▼スタイリスト: Seki Toshiaki
▼ヘアメイク: Shirogane Kazuta(TENT MANAGEMENT)

■塚田智恵美のプロフィール
ライター・編集者。1988年、神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後ベネッセコーポレーションに入社し、編集者として勤務。2016年フリーランスに。雑誌やWEB、書籍で取材・執筆を手がける他に、子ども向けの教育コンテンツ企画・編集も行う。文京区在住。お酒と料理が好き。

■岡田晃奈のプロフィール
1989年東京生まれ、神奈川育ち。写真学校卒業後、出版社カメラマンとして勤務。現在フリーランス。

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