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小島藤子さん・尼神インター誠子さん「悪い言葉をかける人より、味方を探す旅に出て」

  • 2023.7.15

舞台『明けない夜明け』で共演する、俳優の小島藤子さんと、尼神インター誠子さん。小島さんは近年、話題作に数々出演。誠子さんは本作が初舞台と、お二人とも新しい挑戦を続けています。年齢を重ねることへの思いや、一歩踏み出すときに大切にしていることなど、お話を伺いました。

「年齢にとらわれずにありのままで」(小島)

――小島さんは現在29歳で、今年30歳の節目を迎えられます。また、誠子さんは今年35歳になられます。年齢を重ねることへの変化や不安を感じますか。

尼神インター誠子さん(以下、誠子): 10代や20代の頃は「30歳になる頃には、何かが大きく変わるんだろうな」と思っていました。実際、私は30歳になるときに上京したんですね。コンビ結成10年目の節目に加えて、やはり年齢が決断を後押ししたのだと思います。「もう30代だ、どうしよう」と不安を感じていたわけではなく「いよいよ上京や。いくぞ。絶対売れるぞ」と意気込む気持ちでいっぱいでした。少しでも心が折れたり、隙を見せたりしたら負けると思っていた。闘志100パーセントでした。

小島: すごい。私は「年齢なんてないものだ」と思って生きてるんですけど……いま20代でしたっけ? 自分では10代くらいだと思ってたんですけど(笑)。

誠子: ね? 素敵な子でしょう。

朝日新聞telling,(テリング)

小島: ただ、この仕事をしていると、いただける役が年齢に応じて変わっていくので、いやが応でも意識する瞬間はありますね。結婚する役や、子どものいる役が最近増えたので。「そういう年齢になってきているんだな」と思い知らされているところです。

でも、私は年齢にとらわれずにありのままの自分でいたいし、そんな私を受け止めてくれる人たちと一緒にいないと、幸せになれないと思うんですよ。だから、あるときから、変に大人ぶるのはやめました。「もうちょっと大人になりなさい」と言われることもあるけど「私はまだ子どもなんです」と思いきり自分をオープンにするようになった。すると、誠子さんのように笑って「面白いね」と受け止めてくれる人に出会えたんです。

「もうすぐ30歳なんだから~」と言われることもありますよ。でも、そう言ってくる人は、自分自身が年齢によって焦っているのでは?とも思う。

誠子: そうそう、そういうことだよね。自分に対して思っていることを、他人に言うからね。私も、地元の友達に、なんの悪気もなく「結婚せえへんの?」とか言われますよ。そう聞きたくなる気持ちも理解できるけど。

小島: もともと「絶対20代のうちに結婚するんだ」と夢見ていた人が、焦りを感じて「早く結婚しよう!」と頑張るなら、わかるけどね。

朝日新聞telling,(テリング)

誠子: うん。それなら気持ちはわかる。でも全員がそういうわけではないからね。つくづく最近思うのが、人生は短いし、一度きり。時間も、自分のキャパも、限られている。世の中の人、全員に等しく向き合うことはできないので、やっぱり私にとっての(小島)藤子のように、自分にとって大切な人、フィーリングの合う人との時間に費やしたほうがいいよなあ。

「挑戦への反対意見は聞かない」(誠子)

――誠子さんは本作が初舞台。小島さんも、さまざまなジャンルの作品へと活躍の幅を広げています。30代前後になって、新しいことに挑戦したいと考えているtelling,世代の読者も多いですが、一歩踏み出すときに気をつけていることはありますか?

誠子: 考えすぎない。思いついたら、すぐにやる。考えすぎると懸念材料ばかりが浮かんできますから。あと、何か挑戦したことによって反対意見を言われても、聞かない。まじで聞かないですよ、私は。いじられたら「なんでやねん!」と明るく返しますけど、心の中では「わかってないなあ、時代は変わってるんだよ」と思ってる(笑)。

朝日新聞telling,(テリング)

小島: 最高!(笑)。私も、ちょっとした思いつきであっても、すぐにやってみるようにしています。それで失敗したとしても、やってみたことで得られる気づきがあると思うから。

私は「観てくださっている方がいるから、私たちはお芝居ができている」と思っているんです。だから、特にお芝居の場合は、私が挑戦したことで否定的な反応が返ってきたとしても「感想は、観てくださる方が自由に決めることだ」と割り切って、受け止めるようにしています。たとえ「全然うまくいってないよ」とか「前のほうがよかったよ」といった声をいただいたとしても。でも、どこかで私の挑戦を見て「いいね」と言ってくれる人がいるかもしれない。そう思えていれば、大丈夫。

誠子: ちょっと一歩踏み出したときや、自分らしさを表現してみたときに「いいね」と言ってくれる人を、見つけてほしいですよね。

小島: 自分に悪い言葉をかける人のほうばかり、気にかけてしまいがちですよね。いい思い出より、嫌な思い出のほうが記憶に残るじゃないですか。あれと同じだと思うんだけど。

誠子: そうそう。でも本当は、いい思い出も、素敵な味方も、たくさんいるはず。そっちを探す旅に出てほしいですよね。

朝日新聞telling,(テリング)

二人がこれから目指す道は……

――勇気の出るようなお話をありがとうございます。これからお二人が挑戦してみたいことや、目指したい自分について教えてください。

誠子: 料理がすごく好きなんです。俳優業も始めたことですので、これを機に、石田ゆり子さんのようなライフスタイルブックを出したい。

小島: 絶対に出してほしい! おネエ(誠子さん)がいないときに、稽古場でみんなと言ってたんだよ。インスタで発信している料理がすごくおいしそうだから、料理本を出したらいいのにねって。

誠子: ほんまに? 嬉(うれ)しい。夢なんですよ。レシピもコツコツ書き溜めていて。藤子に言ってもらえたら、実現するような気がしてくるなあ。藤子は?

小島: う~~ん。なんだろうな。……「いい女」になりたい(笑)。

誠子: もう十分、いい女やで。

小島: そう?(笑)。華があって、どこに立っていても人の目に留まるような……そんな存在感のある女性を目指したいですね。

●小島藤子(こじま・ふじこ)さんのプロフィール
1993年、東京都出身。2006年からモデルとしてファッション誌「ニコ☆プチ」などで活躍。2008年、ドラマ『キミ犯人じゃないよね?』で俳優デビュー。近年の主な出演作に、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、ABCテレビ『ガチ恋粘着獣』、東海テレビ『グランマの憂鬱』、映画『馬の骨』など。

●尼神インター・誠子(せいこ)さんのプロフィール
1988年、兵庫県出身。2007年、相方の渚と「尼神インター」を結成。2011年「第32回ABCお笑い新人グランプリ」新人賞。2017年に活動の拠点を東京に移す。エッセイ本『B あなたのおかげで今の私があります』(KADOKAWA刊)の執筆など幅広く活躍。

■塚田智恵美のプロフィール
ライター・編集者。1988年、神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後ベネッセコーポレーションに入社し、編集者として勤務。2016年フリーランスに。雑誌やWEB、書籍で取材・執筆を手がける他に、子ども向けの教育コンテンツ企画・編集も行う。文京区在住。お酒と料理が好き。

■岡田晃奈のプロフィール
1989年東京生まれ、神奈川育ち。写真学校卒業後、出版社カメラマンとして勤務。現在フリーランス。

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