1. トップ
  2. おでかけ
  3. 【日本の不思議スポット9】奇観!謎のベールに包まれた「吉見百穴」〜埼玉県比企郡吉見町〜

【日本の不思議スポット9】奇観!謎のベールに包まれた「吉見百穴」〜埼玉県比企郡吉見町〜

  • 2023.7.13

前方後円墳、前方後方墳、円墳、方墳といった大小さまざまな墳墓が点在する日本。中でも珍しいのが、埼玉県比企郡吉見町にある「吉見百穴(よしみひゃくあな)」です。この墳墓はどのような時代につくられたのでしょうか。そして、なぜこの場所につくられたのでしょうか。それらの謎に迫ります。

 

 

穴だらけ! カッパドキアを彷彿させる「吉見百穴」

写真提供:(一社)埼玉県物産観光協会

吉見百穴は古墳時代の末期にあたる6世紀末〜7世紀後半につくられた横穴墓群です。大正12年(1923年)に国の史跡に指定されました。

横穴墓とは、丘陵や台地の斜面を掘削して墓としたものですが、この横穴墓群の死者が埋葬された主体部の構造は、古墳時代後期の横穴式石室とほぼ同じです。穴の入り口は直径1mほどですが、内部はもう少し広くなっていることが多いのも特徴的。各横穴は玄室・羨道の2部分からなります。

また、219基もの横穴が分布する一帯は、凝灰質砂岩と呼ばれる比較的掘削に適した岩盤です。そのため、当時の人々は掘削するのに適した場所を探した結果、この場所に横穴墓をつくったと考えられています。

吉見百穴の発掘調査が実施されたのは明治20年(1887年)。その際、撮影されたわずかな写真のほか、勾玉、管玉、刀、鏃といった出土品は存在しますが、詳細な情報はほとんど残っていません。

第二次世界大戦中は地下工場に

第二次世界大戦中、この史跡は地下工場でした。その工場は飛行機の部品製造を目的としていたため、トンネル掘削により、十数基の横穴墓が壊されました。戦後は荒廃。現在は、トンネル内に入ることはできませんが、外から中を覗くことは可能です。

まさかのコロボックルの住居だった!? 「吉見百穴」ミステリー

吉見百穴を調査して知られるようになった、日本最初の人類学者といわれる坪井正五郎の主張や、興味深い噂話をご紹介します。

周辺は心霊スポットだといわれている

発掘した坪井正五郎が吉見百穴は墓ではなく住居だと主張した

同上の人物が朝廷に服さない地方豪族が住んでいたと予想

アイヌの伝承に残る、背の低い先住民族「コロボックル」が住んでいたという説も(!?)

吉見百穴は横穴墓だと確定しているため、住居説は完全に間違いですが、なかなか面白いですよね。

また、吉見百穴の横穴墓内には、国指定天然記念物の「ヒカリゴケ」が自生しています。ヒカリゴケは、コケ類の一種で黄緑色に光っているように見えることから、この名がつきました。一般的に中部以北の山地に見られるヒカリゴケが、関東平野に生育していること自体が、植物学上、極めて貴重だそうです。吉見百穴には「ヒカリゴケ」が見られる横穴墓もあるので、ぜひチェックを!

吉見百穴

住所:埼玉県比企郡吉見町大字北吉見324

電話:0493-54-4541

営業時間:8:30〜17:00(入園は16:30まで)

入園料:中学生以上300円、小学生200円、小学生未満は無料

休園日:年中無休

交通アクセス:東武東上線「東松山駅」から川越観光バス「免許センター行」で約5分、「百穴入口」下車徒歩約5分

JR高崎線「鴻巣駅」から川越観光バス「東松山駅行」で約25分、「百穴入口」下車徒歩約5分

勾玉づくり体験ができる「埋蔵文化財センター」や、ハイキングスポットも

八丁湖

吉見町埋蔵文化財センターは、ぜひ吉見百穴と一緒に訪れたいスポットです。吉見百穴構内にあり、町内の貴重な文化財の展示のほか、企画展なども開催しています。2023年7月現在、勾玉づくりも楽しめますよ。

さらに天気が良い日は、八丁湖公園を散策するのもおすすめ。人工湖と丘陵地帯からなる公園で、標高約38mの通称「ポンポン山」があります。標高が低く起伏が少ないため、子どもでものぼりやすいです。山道の途中には「高負彦根(たかおひこね)神社」も! ぜひプチハイキングをしてリフレッシュしてくださいね。

吉見町埋蔵文化財センター

住所:埼玉県比企郡吉見町北吉見321

電話:0493-54-9111

開館時間:8:30~17:00

休館日:年末年始

入館料:吉見百穴の入園券がない場合は、中学生以上300円、小学生200円、小学生未満は無料(吉見百穴の入園券を持っていれば無料)

交通アクセス:東武東上線「東松山駅」から川越観光バス「免許センター行」で約5分、「百穴入口」下車徒歩約5分

JR高崎線「鴻巣駅」から川越観光バス「東松山駅行」で約25分、「百穴入口」下車徒歩約5分

八丁湖公園

住所:埼玉県比企郡吉見町黒岩

電話:0493-63-5018(吉見町まち整備課)

交通アクセス: 東武東上線「東松山駅」から「鴻巣免許センター行」に乗車し、「百穴入口」で下車

[参考]読売新聞オンライン/古代人眠る漆黒の闇…吉見百穴(埼玉県吉見町)

[All photos by Shutterstock.com]

元記事で読む
の記事をもっとみる