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続編あるよね? 原田ひ香の最新刊『図書館のお夜食』の"その後"が気になる......!

  • 2023.7.13
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『三千円の使いかた』や『ランチ酒』など数々のヒット作を生み出してきた原田ひ香さんの最新刊、『図書館のお夜食』(ポプラ社)は、謎めいた夜の図書館を舞台にした物語。2023年6月21日に発売され、1週間で3刷の重版がかかる人気ぶりだ。

主人公の樋口乙葉(おとは)は、東京の大学を出て、本に関係する仕事がしたい一心で就職活動に挑んだものの全滅。地元・東北に帰り、契約社員として書店に就職した。ところが、ある事件をきっかけに、身も心も疲れてしまう。そんな時、匿名の書店員として投稿していたSNSに一通のDMが届く。それは、東京の郊外で「夜の図書館」を営んでいるという謎の人物からの、仕事のオファーだった。

その図書館は、すでに亡くなった作家の蔵書を集めた、いわば本の博物館で、夜7時から12時まで開館しているという。「勤務時間は午後4時から深夜1時までで休憩1時間、給料は手取り月15万円、ボロアパートだが寮に無料で住める」という条件に、「怪しい」と思いながらも惹かれた乙葉は、オンラインで面接を受け、あっさり採用される(ますます怪しい)。

夜の図書館には、姿を現さないオーナーに代わって業務を取り仕切るマネージャーの篠井(ささい)、読書が「できなくなった」蔵書整理係の正子、本の仕事にほかのスタッフほど熱意を傾けられない図書館員のみなみなど、それぞれに事情を抱えた人々が働いている。彼らの仲間として迎え入れられた乙葉は、予想外の事件に遭遇しながら、「働くこと」の意味を考えていく――。

血のにじむようなツイートを見ていて...

ツイッターで「書店員や書店、図書館司書など、本に関わる人のアカウントを中心にフォローしている」という原田さん。本書を執筆したきっかけの一つは、昨今の出版不況によって生活が成り立たなくなり、熱意のある書店員が仕事を辞めざるを得ない現状を見聞きしたことだという。ポプラ社のウェブマガジンWEB astaでは、「それを改善する! 社会を変える! とかいうことは、私のような一介の作家にはとてもできないことです。でも、血のにじむようなツイートを見ていて、なんとか、そういう人が出てくる作品が書けないか、と思っていました」と、本書に込めた思いを綴っている。

タイトルにある「お夜食」は、図書館にあるカフェで供される「まかない」のことで、井上靖の『しろばんば』に出てくるカレーや、『赤毛のアン』の「パンとバタときゅうり」のサンドイッチなど、名作に登場する料理を再現したメニューだ。さまざまな事件に遭遇するたび、これらのお夜食が登場人物たちの心を癒し、物語のエッセンスになっている。

さらに、なぜオーナーは姿を現さないのか、そもそも図書館の経営はどうやって成り立っているのか、篠井とオーナーの関係は? といった謎も絡んできて、単なる「お仕事小説」とは一味違った読み口がある。読み進めるうちに謎は明かされていくのだが、読了してなお「この後どうなる?」と、乙葉たちのその後が気になって仕方がない。本書を読んだ人からは、「まだまだ読みたい!」「続きがあるという事でいいんですよね...??」「こんなに続編を書いて欲しいと願う作品にはなかなか出逢えない」と、続編を待ち望む声が寄せられている。

■原田ひ香さんプロフィール
はらだ・ひか/1970年 、神奈川県生まれ。2005 年「リトルプリンセス 2号」で第 34 回 NHK 創作ラジオドラマ大賞受賞。2007年「はじまらないティータイム」で第 31 回すばる文学賞受賞 。『 三千円の使いかた 』で宮崎本大賞受賞。著書に 『老人ホテル』『財布は踊る』『古本食堂』『一橋桐子 76の犯罪日記』『ランチ酒』『三人屋』などがある。

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