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秒で楽しむ動画の時代だからこそ、本に夢中で日が暮れた!っていう経験が大切。だいすけお兄さんが、「ヨンデミー」創業者・笹沼颯太さんと対談

  • 2023.7.13

だいすけお兄さんが、パパやママの代わりにさまざまなジャンルの専門家からお話を聞く「だいすけお兄さんのパパシュギョー!」。
第15回は、親子がおうちでできる読書の習いごと「ヨンデミーオンライン」を、東大在学中に開発した笹沼颯太さんがゲストに登場。子どもが読書好きになるコツと、そのための大人側の心構えについて、だいすけさんにレクチャーしてもらいました。本誌だけでは伝えきれなかったお話を、webでご紹介します!

大学の仲間と、児童書コーナーに通い詰め!

だいすけお兄さん(以下だいすけ) 笹沼さん、「ヨンデミー」を立ち上げるにあたって、最初に絵本や児童書をたくさん読まれたんですよね。

笹沼さん(以下笹沼) そうです。創業当時は、1~2か月で500冊くらい読みました。
大学2年生の3人で「ヨンデミー」を立ち上げたんですが、ひたすら図書館に通って、貸出が1人20冊までだから毎回60冊ずつ借りてきて読んで。

だいすけ すごいですね、大学生3人が、急に図書館の児童書コーナーに現れて。

笹沼 子どもでも親でもない大人が、もうめちゃめちゃ通って、っていう(笑)。
でも、子どもに本好きになってほしいときに、子どもに「読ませる」じゃなくて、子どもが「読みたい」になる必要があるわけじゃないですか。それって、「本って楽しい」って思わないと無理ですよね。
そう思うのって、やっぱりお気に入りの一冊と出会えるかどうか、それがまず最初のキーになると思ったので、「どういう本がその子にとってお気に入りの一冊になるのか?」をちゃんと研究しないと、と思って。

だいすけ なるほどねえ。

秒で楽しむ動画の時代だからこそ、本に夢中で日が暮れた!っていう経験が大切。だいすけお兄さんが、笹沼颯太さんと対談。【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・15】の画像1

すぐに読める短い本ばかりが増えている

だいすけ それだけの本を読んでみて、何か感想ってありましたか?

笹沼 そうですね、「短い本ばかりだな」って思いました、最近の本は。
今は動画時代で、15秒とか30秒とかでパッて楽しめるものにフォーカスが当たってるので、本もどんどん短いものばかりになっている。
でも、ある程度長い本を読み切った達成感、本に没頭する経験ってすごい大事だと思うんです。
本に夢中になって気づいたら日が暮れてましたとか、話しかけられても気づきませんでしたとか、そういう体験って、短い本だとなかなか得られないんですよね。
今は小さい頃から動画主体で、それこそ読み聞かせもYouTubeで見ていたりする。本よりもスマホの方が子どもの手に近いんですよ。でも、立ち上げたらもう10秒で楽しくなるって考えたら、そりゃあ子どもの手は伸びますよね。

だいすけ ねえ。気づいたらもうずっと動画を見ていたり。
でもやっぱり本を読む大切さを、子育て中の皆さんが感じられている。

笹沼 そう、逆にそういう時代だからこそ大切なこともあって。
動画ってまず、受動的ですよね。視覚的な情報もあって、なんとなく聞いてわかったつもりになる。
でも、会話って視覚的な情報はなくて、どちらかと言うと本に近いんですよね。

だいすけ なるほど。

笹沼 そして、大人になってコミュニケーションスキルで必要とされるのは、やっぱり言葉なんですよね。
動画がメインの時代だからこそ、言葉の力をつけるために、読書がどんどん大事になってくると思います。
たとえばジーンズを見たときに、その色が「青」なのか「紺」なのか「ターコイズブルー」なのか、言葉を知らなかったら選択肢は「青」しかない。となると、それ以上考えが深まらないですよね。
言葉をたくさん知っているからこそ、深く考えられる。
そうした言葉の大切さは変わらないのに、読書から離れていく子どもはどんどん増えている。

だいすけ そこをどう埋めていくのか、っていうことですよね。
みんな「本って大事だよね」とわかっていても、どうすればいいかがわからないから、そこから先が深まっていかない。

笹沼 おっしゃる通りです。

秒で楽しむ動画の時代だからこそ、本に夢中で日が暮れた!っていう経験が大切。だいすけお兄さんが、笹沼颯太さんと対談。【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・15】の画像2

「読め」と言う代わりに、大人が読んでいるフリ!

笹沼 たとえばサッカーが好きな子なら憧れのサッカー選手がいたり、子どもが好きな分野には、たいてい憧れの存在がいるんですよ。
でも読書の場合って、これがいないんです。
とはいえ保護者の方自身がそうなるのは大変なので、たとえば図書館で本を黙々と読んでいる人とか、司書さんとか、本に夢中になっている人を子どもに見せてあげる。
作家さんのイベントに行くだけでも、子どもの読書に対する反応って変わります。
「あ、本で楽しんでいる人がいるんだ」みたいな。
あと、これは小ワザですけど、読んでなくてもいいので大人が本を開くフリをする。

だいすけ おおっ、なんか裏ワザ的な感じですね。なんですか、それ。

笹沼 たとえば、大人が観ているドラマを子どもも隣に座って観たりしますよね、内容がわからなくても。
本も同じで、たとえ読んでいなくても、大人が本を開いて置いてあれば、「なんだろう、これ?」って勝手に見たりする。
「読め」と言わずに開いているフリをする方が、ずっと子どもの関心を引いたりするんですよね。

だいすけ いやあ、なるほど。
本の楽しさへの気づきって、ちょっと角度を変えるだけで、本当に身近なところに見つかるんですね。

笹沼 そう、先ほどちょっとお話ししましたけど、子どもたちがなんで本よりもゲームやYouTubeをするかと言えば、一番近くにあるからじゃないですか。
だからスマホやタブレットよりも本を子どものそばに置く、本棚にもソファにも、子どもがパッて手に取れる場所に置いておくだけでも、全然違います。
玄関、トイレ、階段、寝室、家の中のどこにでも本を置いて、読書の習慣化に成功されているご家庭もありますね。

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本さえ楽しく読んでいれば、とりあえずOK!

笹沼 以前、「ヨンデミー」を1年半ぐらい継続された方のインタビューで、「初めて本当の意味で、子育てをしているって感じられるようになりました」というコメントがありました。
それまでは、「何をしなきゃいけない」「これで大丈夫かな」と、子育ての不安と焦りがすごく強かったけれども、今は「この子が本さえ楽しく読んでいれば、あとは大丈夫だ」って思えるようになった、という。
それこそ勉強とか、お子さんにやってほしいこと、やらなきゃいけないことはいろいろあって、でも本さえ読めれば、「この子が必要になったら自分で学ぶだろう」と思える。
言葉も思考力も、なんでもついてくる。だから、子どもが読書を楽しんでいればOK。
で、子どもは子どもで「楽しいから本を読む」って、そうしたらもうWin-Winなんですよね。
親も子もハッピーになれる。

だいすけ ハッピーになれる、いいですねえ。
僕自身も歌のお兄さんをしていたときに、現役の歌のお兄さんは一人しかいないという責任感から、気がついたらどんどん「こうしなければいけない」って息苦しくなっちゃった時期があって。
でも、東日本大震災があったときに、「歌を届けなくちゃいけない」じゃなくて、「自分自身が本気で歌うのが楽しくてしょうがない、その楽しさをまず届けたい、届けるんだ」って思ったら、まわりから「歌が変わったね」ってすごく言われました。
今のお話を聞いていて、ああ、あのときの感情、あれなんだなって思い出しました。
子育て中って、大人も自分たちが経験してきた素敵なことを思い出せる、子どもと一緒に楽しめるものをもう一回見つけられる期間でもあるのかなって。
それにどれだけ気づけるかが、本当の意味で子育てを知るっていうことにもつながるのかもしれませんね。

プロフィール
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横山だいすけ
よこやまだいすけ/NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」の歌のお兄さんを2017年3月まで最長9年務める。「子どもに良質の音楽を届けたい」という目標のもと、舞台、ラジオ、TVなど幅広く活躍。メ~テレ(名古屋テレビ)「ドデスカ!」(月~金曜6:00~8:00)木曜コメンテーター他、出演多数。YouTubeチャンネル「横山だいすけチャンネル」も配信中。

「だいすけお兄さんとまことお兄さんの世界迷作劇場2023-2024」全国ツアー開催中!
第12代体操のお兄さん・福尾誠さんとのW主演で話題の舞台が、大好評上演中です。

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笹沼颯太さん
ささぬまそうた/1999年千葉県生まれ。東京大学経済学部経営学科3年次に、子どもたちへ豊かな読書体験を届けたいと株式会社Yondemy を設立、代表取締役就任。

インタビュー/原 陽子 撮影/大森忠明 スタイリング/吉岡ちさと(だいすけさん) ヘアメイク/安藤千浪(だいすけさん)

だいすけさん衣装/シャツ23100 円、カバーオール35200 円、パンツ26400 円、ベルト13200 円、バンダナ1760 円/全てBLUE BLUE(HOLLYWOOD RANCH MARKET)

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