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「自転車で回れば見つかる」メガバンクやネット銀行では出合えない高金利定期預金で利息を確保

  • 2023.7.12

国内の金利にも上昇の兆しが見え始めた今、漫然と預金を続けているとチャンスを逃す。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏さんは「自分の足を使って探せば、メガバンクやネット銀行にはない高金利定期預金が見つかる可能性がある」という――。

市街地に止められた自転車
※写真はイメージです
2年前は0.5%でも、輝いて見えた

ここ最近の物価上昇、そして株価の上昇もあって、これはいよいよ、国内金利にも上昇の兆しが見えてきたといわれています。

金利上昇時には、漫然と預金に預けていると、残念な目に遭うかもしれません。

実際、私は米ドル預金に漫然と預け、アメリカの急激な利上げ(米ドル金利上昇)によって、残念な目に遭っています。

今回は、金利上昇の兆しの中で、ぜひとも心がけるべき、預金の選び方がテーマです。

約2年前、私は米ドル預金を探していました。

しかし当時、アメリカの金利は非常に低く、米ドル定期預金1年物の金利は0.1%程度と、円建て預金と、さほど変わらない水準でした。

そんな中、3年物ではありましたが、金利0.5%の米ドル預金を見つけたのでした。

これは0.1%からすれば5倍の水準と、円建て預金の低金利にはもちろんのこと、米ドル預金の低金利にもうんざりしていた私は、その魅力に大いに引かれました。

今思えば、0.5%でも低金利には変わりませんが、当時の私には、非常に輝いて見えたのでした。

なので、私はすぐさま、手持ちの米ドルをかき集め、3万米ドルを預け入れたのでした。

グングン上がる金利を、ただ眺めるだけ……

しかしその後、新型コロナによる景気低迷からの回復、ロシアのウクライナ侵攻による食料・資源の価格高騰等を受けて、世界的なインフレ懸念が高まり、アメリカはいち早く、利上げを始めます。

約2年前、2021年夏には0~0.25%だったアメリカの政策金利は、2022年春ごろから引き上げられ始め、わずか1年余りで、現在、5~5.25%の水準となっています。

それに伴い、米ドル預金の金利も、見る見るうちに上昇していきました。

私が預けた当時、1年物で0.1%程度だった米ドル定期預金は、預けてから半年もたたないうちに見る見る上がり始め、今現在、なんと5%に迫る金利水準となっています。

しかし外貨定期預金は原則、中途解約はできません。

なので私は、今となっては何の魅力もない、この0.5%で我慢するしかありません。

これまで、グングン上昇していく金利を歯ぎしりしながら眺め、そして満期まであと1年もあるので、これからも悔しい思いを続けることになります。

儲け損ないほど、悔しいものはない

今回の金利上昇で、私は損失を出したわけではありません。

むしろ、アメリカ(米ドル)の金利上昇により、相変わらず超低金利の日本(円)との金利差から、ドル高円安が進み、為替差益を得ています。

にもかかわらず、「今預ければ、金利5%弱なのに」と、私が預けた預金金利0.5%の約10倍もの金利を見ては、「儲け損なった」との悔しさの方が、はるかに勝ってしまうのです。

この「損するよりも、儲け損ないの方が悔しい」との心理状況は、いくら投資経験を重ねても、なかなか克服できないものだと痛感しております。

そして、意味のないこと、むしろ心理的に有害と分かってはいても、こんなことも考えてしまいます。

今預ければ金利5%弱なのに、かつての金利0.5%で拘束されていることで、年間で差し引き4.5%(5%-0.5%)分の金利を儲け損ねている(※)、と。

※現在の金利を5%として計算

預入金額が3万ドルなので、儲け損ねた金利は1350ドル(3万ドル×4.5%)。

税引き後でも1000ドル以上なので、現在の為替レートで14万円以上。

このように、しっかり円換算もしてしまうことで、儲け損なった金額がよりリアルに感じられ、余計に悔しい思いをするという、残念な状況となっています。

そんな状況に、今さらながら、3年物の(相対的に高い)金利に惑わされずに、金利上昇リスクを考慮して、手堅く半年物や1年物で様子を見ておけばと、後悔しきりです。

もし3年物に預けるにしても、全額(3万ドル)を一気に預けるのではなく、金利上昇リスクを考慮して、たとえば1万ドルずつでも、様子を見ながら預けるべきだったと、ただ漫然と預けたことに、反省しきりです。

預金通帳を見て頭を抱えた女性
※写真はイメージです
米ドル預金と円預金、アメリカと日本との違い

さて、ここまでは、金利上昇による、米ドル定期預金での失敗談でした。

それでは、この失敗の教訓は、そのまま、円建て定期預金にも当てはまるのでしょうか?

すなわち、今回の米ドル定期預金での失敗を踏まえ、円建て定期預金でも、金利上昇リスクを考慮して、1年物以下の短いタイプで様子を見ておくのが賢明なのでしょうか?

いえ、米ドル預金と円預金とでは、その商品性が違います。

原則として中途解約ができない外貨定期預金と違って、円建て定期預金は中途解約が可能です。

もちろん、中途解約時に適用される金利は、契約時の金利に比べてグッと下がりますが、いざとなれば(金利が急激に上昇すれば)中途解約をして、より高金利の預金に預け替えることができます。

外貨定期預金のように、(相対的に低くなった)金利に拘束されないことは、大きな安心ですね。

そして、アメリカと日本とでは、金利への対応が違います。

株価や物価の動きに対し、敏感に金利を反応させるアメリカと違って、日本の場合、30年以上前のバブル崩壊後から続く超低金利政策は根深く、金利の扱いにはかなり慎重です。

冒頭でも触れたように、日本においても金利上昇の兆しが見え始めているとはいえ、今後、アメリカのようにグングン引き上げられるとは考えにくく、当面は、今の超低金利は続く可能性は高いでしょう。

そんな理由から、円預金であれば、3年物や5年物といった長期タイプであっても、選択肢に入れてもよいでしょう。

当然、預入期間が長いほど金利は高いので、より高い金利を得られる可能性が高まります。

円預金であっても、諦める必要はない!

とはいえ、現在、メガバンクの定期預金1年物金利は0.002%。

そんな状況ですから、3年物や5年物でといった長期タイプではあっても、円建てである限り、1%を超える定期預金など、(投資信託とのセットや仕組預金などの特別なケースでない限り)あり得ない状況です。

しかし、そんな状況であっても諦めずに(ただ漫然と預けずに)、少しでも有利な預金を求め、真剣に選びたいものです。

その理由は、大きく2つあります。

1つは、ある程度まとまった資金があれば、たとえ0.1%単位でも大きな差となるから。

この地を這うような超低金利の世の中であっても、(1%超は無理でも)0.3~0.6%程度なら、探せば見つかります。

仮に金利0.5%であれば、300万円も預ければ、受け取れる利息は年間1万5000円(税引き後約1万2000円)。

これが5年物であれば、合計約6万円と、それなりの金額になりますね。

ただ漫然と預けていたなら、受け取れる利息は300円(0.002%の場合)もないわけで、その差は無視できません。

もう1つの理由は、情報収集力を身に付けるため。

少しでも有利な預金を探すには、各金融機関の情報だけでなく、世の中の金利動向(ひいては経済情勢)など、普段からアンテナを高く張っておく必要があります。

実際、これから金利が上昇するかどうかは分かりませんが、現在の物価上昇、そして歴史的な株価高値は、投資環境における大きな転換点であることは間違いありません。そんな中、来年から新NISAもスタートし、投資を始める人も多いでしょう(すでに投資をしている人も多いはず)。

そこで、預金選びで身に付けた情報収集力、そして経済情勢等への意識は、間違いなく投資にも役立つはずです。

なので、今の超低金利の世の中でも諦めずに、少しでも有利な預金を探す努力は心がけたいものです。

信用金庫・信用組合が見逃せない!

そこで、少しでも高い金利が望める預金を探すのなら、信用金庫や信用組合(以下、信金・信組)が見逃せません。

一般に、比較的高金利の預金といえば、ネット銀行や地方銀行のネット支店等が有名ですが、実は、意外と見逃されているのが、信金・信組なのです。

信金・信組とは、限られた営業エリア内で活動し、その地域の発展に寄与するための地域金融機関のこと。

なんだか特別な金融機関というイメージを持っている(そして近所にあってもスルーしている)人も多いかもしれませんが、基本的には、銀行と同じと思ってもよいでしょう。

なので、われわれは、銀行と同じように、信金・信組にもお金を預けることができます(※)。

※ただし、信用組合に預金できるのは組合員のみで、組合員資格は原則、営業エリア内に居住・勤務している人のみ。

そんな信金・信組の定期預金には、銀行よりも高い金利を付けるものも多く、私自身、預金はすべて地元の信金・信組に預けています。

私の地元の地域金融機関の金利は

それでは最後に、私の地元、大阪の信金・信組ではありますが、比較的高金利の預金を紹介します。


・大阪厚生信用金庫「セルフ夢IB定期預金」
1年物 0.30%
3年物 0.35%
5年物 0.40%

・大同信用組合「貯めーる定期」
1年物 0.32%
3年物 0.40%
5年物 0.45%
10年物 0.50%

・ミレ信用組合「IB定期預金ミレッチ」
1年物 0.55%
3年物 0.60%

※2023年7月6日現在

いかがでしょうか?

ぜひ、皆さんの地元にある信金・信組も視野に入れて、隠れた高金利預金を探してみてください。

ただ、限られた営業エリア内で活動する信金・信組の情報は、テレビや雑誌などで大々的に告知されることは少なく、「自分の足」で情報を取りに行く必要はあります。

私自身、定期的に自転車で地元を巡り、信金・信組の店頭ポスターなどをチェックしています。

そして、そんな地域金融機関ならではの情報収集法によって、地元への愛着も増すという相乗効果も得ております。

ちなみに、これは個人的な感想(感覚)ですが、口座開設・預金預入時にもらえる粗品が、メガバンクや大手地銀に比べて、信金・信組では、ちょっと「いいもの」をくれるような気がします。

先日は、100万円預けて、陶器製の小皿をもらいました。

これは、小規模ながらも、地域密着がポリシーの地域金融機関ならではの心意気として、さりげなくうれしいところです。

藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。

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