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夫が妻の「奨学金を返済」はOK?ダメ?夫婦でも贈与税がかかるケースとは

  • 2023.7.12
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夫婦だからといって気軽にお金のやり取りをすると、最大55%の贈与税がかかるおそれがあります。一度でも贈与とみなされる行動を取れば、税金の支払いからは逃れられません。多額の税金を払わなければならない事態にならないよう、3つのNG行動に気をつけましょう。

■NG行動1 保険料を代わりに払う

夫婦だからといって配偶者の保険料を代わりに払うと、多額の贈与税がかかるかもしれません。

たとえば、夫が妻の個人年金保険の保険料を払っていたとしましょう。契約者が夫でも妻自身でも、実際に保険料を夫が払っていたなら、夫から妻への贈与とみなされるおそれがあります。

気をつけたいのが、贈与とみなされる金額は毎年払う保険料や毎年受け取る年金ではないことです。贈与税には年間110万円の非課税枠があるため、「保険料や年金が年間110万円以内なら税金はかからない」と考えるかもしれません。

しかしこれは誤りで、年金の受け取りが始まる年に、これから年金を受け取る権利をまとめて贈与されたとみなされます。

たとえば年金として毎年50万円ずつ受け取るとしても、受け取りが始まる年に一括で受け取った場合の金額が500万円なら500万円を受け取る権利を贈与されたとみなされ、最初の年に53万円もの贈与税がかかってしまいます。

■NG行動2 住宅ローンの返済を肩代わりする

お金のやり取りだと思っていなくても、借金の肩代わりは贈与とみなされます。

たとえば、共働き夫婦がペアローンを組んでマイホームを買ったあと、妻が妊娠による体調不良で仕事を辞めた場合、夫は妻の分も住宅ローンを払おうと考えるかもしれません。しかし、夫婦だからという理由は通用せず、贈与税がかかるおそれがあります。

気をつけたいのが、肩代わりした返済額ではなく、住宅ローン残高が贈与税の対象になる可能性があることです。妻が住宅ローンをまったく返済しておらず、就業も未定で返済の目途が立っていないといった場合は、妻の住宅ローン残高をすべて夫が肩代わりしたとみなされるかもしれないのです。

仮に住宅ローン残高が2,000万円で、夫から妻への贈与とみなされると、贈与税は695万円にものぼります。

■NG行動3 奨学金を肩代わりする

奨学金の肩代わりも贈与とみなされるため、肩代わりした金額が年間110万円を超えれば贈与税がかかります。

たとえば、結婚を機に夫の奨学金200万円を妻が貯金から返済したとすると、9万円の贈与税がかかります。

税務署は年末調整などから個人の所得を知っており、不動産の登記情報にも目を光らせています。家庭内のことだからバレないと考えるのは危険なので、夫婦でもお金のやり取りは慎重に行いましょう。

また、夫婦でも年間110万円までなら贈与税はかからないので、どうしてもお金のやり取りが必要なときは贈与契約書を作り、贈与の証拠を残すことが大切です。その上で、受け取ったお金から本人が保険料を払ったり、住宅ローンを返済したりするとよいでしょう。

文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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