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「健全なエゴイズム」を取り入れる方法とは ?

  • 2023.7.9

他者をないがしろにせずに、自分を優先することは可能だ。それには健全なエゴイズムを身につければいい。つまり、利己主義と利他主義のバランスを取ること。ウェルビーイングが関係している場合には自分の要求を最優先できるように。

仕事が殺到してもうへとへと。いまの望みは、がんばったご褒美に家に帰って心穏やかな一晩を過ごすこと、それだけ。ところが、予想外にこれから一杯飲みに行こうと友人たちからの誘いが舞い込む。いまの疲労レベルから見れば、今日は休みたいと一言伝えて断ればすむことだ。しかし友人たちをがっかりさせるという心配と罪悪感があまりに強く、身体の声を無視して、すぐに誘いに応じてしまうーー。

自分より他人を優先するとこんな事態になる。自分の欲求より他者の欲求を優先すると言ったほうがより正確だろう。これを改善するには、メンタルヘルスの専門家が「健全なエゴイズム」と呼ぶものを取り入れることが大切だ。昨年11月7日に雑誌『サイコロジー・トゥデイ』に掲載された記事のなかで、アメリカの認知科学博士スコット・バリー・カウフマンは、健全なエゴイズムをこう定義している。「自分自身の健康、発展、ウェルビーイング、自由に健全な配慮をする姿勢」。自己中心主義や純粋なエゴイズムとは全く異なり、むしろ利己主義と利他主義の適切なバランスを見つけ、必要な場合、すなわち自分のウェルビーイングが懸かっているときは、自分を優先することを指している。行動様式を変革するための大原則をふたりの心理学者が解説する。

罪悪感を持たずに「ノン」と言う

なかには「ノン」と言うのは挑戦に等しいという人もいる。ノンと言えたとしても、今度は後悔に苛まれたり、相手にとって受け入れやすい返答をするために自分を正当化する理由を考えなければと頭を悩ませたり。至極当然だ。なぜならこのメカニズムは幼少の頃に植えつけられたものだからだ。ノンと言うと、嫌われたり、拒否されたり、見捨てられるのではないかと不安になる。「成人でこうした思考パターンが見られるのは、幼少期に人に受け入れられるためには“完璧”でなければならないと思い込まされた人たちです」と、神経心理学専門の心理学者マリー=エステル・デュポンは言う。「自分の欲求を表現することができなかった人や、自己主張することへの恐れから感情的虐待を経験した人もそうです」

罪悪感を持たずに断ることができる、それは健全なエゴイズムの基本原則のひとつだ。そのためには、他者を失望させることを引き受ける必要がある。他者の欲望や欲求、ファンタズムを満足させるのは自分の責任ではないということを受け入れるのだ。「相手がどう感じるかは尊重しなければなりません。ですが、相手がどう思うかは別のことで、気にする必要はありません」とデュポンは話す。「実際のところ、相手がこちらの限界を尊重できないなら、そういう人の視点を気にかける意味などあるのでしょうか?」

自分を知る

自分の限界を尊重してもらうために、まずは自分のいわゆる「基本的な」欲求を見極めなければならない。自分にとって最も重要なことは何か? 絶対に譲れないこととは? 答えは人それぞれだ。休息、娯楽、情動的・物質的安心感、認められること、定着、誠実さ、あるいは精神性……。次の段階では、欲求と欲望を区別するよう心がけてほしい、と臨床心理士のリュシル・ブルダンは呼びかける。基本的欲求は万人に共通するが、それを満足させるやり方は千差万別だ。たとえば、愛情欲求は誰でも持っているが、言葉で愛を伝えてほしいという人もいれば、ロマンチックな行為を求める人もいる。

自己を知るためのこのプロセスの次なるステップでは、当然ながら、自分の心の声を聞くことを学び、自己や自分の能力の理想化されていないイメージを受け入れることが求められる。最後には、単純に無理だからという理由だけで断ることができるようになるはずだ。

自分の欲求に自分で応える

健全なエゴイズムを養うことは、同時に「自分は自分自身の欲求に対する唯一の責任者であり、そしてそれに応じることのできる世界でただ一人の人間であることを理解し、肝に銘じることでもある」、とブルダンは強調する。実際には、救済者と犠牲者の役割から抜け出さなければならない。「救済者は他者の欲求を満たすことに専念して自分の欲求を知らない」と臨床心理士は定義する。「犠牲者も自分の欲求を知りません。他者が自分の欲求を見抜き、自分の代わりにそれに応えてくれるのを期待しているのです。自分を忘れるあまり最終的にはどちらも、内側あるいは外側に向かって破裂してしてしまう。そして、非難や軽視といった行動、さらには本物のエゴイズムの扉を開いてしまう」とブルダンは続ける。

柔軟さを見せる

自分の限界を尊重してもらうことは、他者を忘れ去ったり、軽んじることではない。同じように、強い意志を持って自分の欲求に忠実であることは、あらゆる提案を断固として拒否するという意味ではない。健全なエゴイズムとは、それぞれが満足できるように、妥協の可能性を閉ざさず、柔軟な姿勢を見せることを心がけるということなのだ。

相手が友人でも恋人でも、対人関係においては「あなたにとって絶対に譲れないものは何か、時間を取って考えるようにしましょう。そうすればいい人の振りをせずに済みます。そしてそれ以外のことに関しては、柔軟に対応するようにしましょう」と前述のデュポンはアドバイスする。また、自分の欲求と他者の欲求は違うということを受け入れるのも必要だ。彼女はこう結論する。「健全なエゴイズムは、他者と共存する能力のひとつです。つまり、相手の行動様式は自分のそれとは違うということを容認しつつ、自分を大切にする能力なのです」

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