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【漢字】「満天星=まんてんぼし」ではありません!実は読めない漢字3選

  • 2023.7.8

7月になりました。7月を代表する行事と言えば、「七夕(たなばた・シチセキ)」ですね。一般には、「織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)が、1年に一度だけ、天の川で出会う日」として知られていますが、中国由来の「乞巧奠(キコウデン・キッコウデン)」の風習と、日本の神を待つ「棚機津女(たなばたつめ)」の信仰とが融合したもの、と言われています。奈良時代から行われ、江戸時代には民間にも広がりました。庭前に供物をし、葉竹を立て、五色の短冊に歌や字を書いて飾りつけ、書道や裁縫の上達を祈ります。
そこで今回は「星を含む漢字で、読めないかもしれないもの」を紹介します。ただし、空の「星」とは限りませんのでご注意を。

1.「箒星」

最初は、「箒星」です。「帚星」とも書きますが、同じ読みをします。「箒」「帚」ともに、常用漢字外ですが、何と読むか分かりますか?

今の時代、一般家庭では、道具の「箒(ほうき・ははき)」を見ることが少なくなくなりましたからね。正解は「ほうきぼし・ははきぼし」でした。「ははき」は「ほうき」の古い形です。この「箒星(帚星)」とは、「彗星(スイセイ)」のこと。「楕円(ダエン)軌道を描いて運行し、太陽に近づくと明るく輝くガス雲の尾を発生する小天体」です。この「ガス雲の尾」が「ほうき」に似ています。この「彗星」も普通に読めば「スイセイ」ですが、「ほうきぼし・ははきぼし」と読むことができます。
なお、似たイメージの「流星」と混同しがちですが、こちらは、「微小天体が地球の大気に突入し、摩擦熱によって光を放つ」、いわゆる「流れ星」のことなので、これとは違います。ちなみに1986年(昭和61年)に地球最接近した、「ハレー彗星」をご存知でしょうか? 次の接近は、計算上では2061年だそうです。

2.「海星」

次は、「海星」です。何と読むかおわかりですか? そのままの音読み(カイセイ)ではなく、ここは当て字として、読んでください。ヒントは「海の星」ですよ。

正解は、「ひとで」でした。「浅海から深海の岩礁や泥底に生息するヒトデ綱に属す棘皮(キョクヒ)動物の総称で、体は扁平で、五本またはそれ以上の腕を持つ」、あれです。「海の星」とはロマンある言葉だと思いますが、キリスト教で、イエス・キリストの母である聖母マリアは、古来、「海の星の聖母(ステラ・マリスの聖母)」と呼ばれてきました。「海星」「ステラ・マリス」などを冠した名前の多くは、ここから来ているのでしょう。「ひとで」とは直接の関係ありませんね。

3.「満天星」

最後は、今回一番の難問「満天星」です。一見すると、けっして難しそうには見えないのですが、「マンテンセイ」でも、「マンテンのほし」でもありません。実は、「植物」です。手元の辞書では、「春、新葉とともに白い壺形の花を下向きにつけるツツジ科の落葉低木。倒卵形の葉は秋に紅葉して美しい。山地に自生し、観賞用にも植えられる」とあります。特にヒントとなるのは、「ツツジ科」「秋に紅葉して美しい」でしょうか。

正解は、「どうだんつつじ」でした。この植物名を「満天星」と表記するようになったのは、「こぼれた霊水がこの『どうだんつつじ』にかかり、まるで『満天の星』のように美しく見えた、という中国の故事から来ているそうです。余談ですが、私が住んでいる県の学習塾チェーンに「満点の星」というものがあります。「満天の星」と掛けているのでしょうか。おもしろいネーミングだと思います。

いかがでしたか? 現在の暦の7月7日は、梅雨の真っ只中にあるため、例年「星」の見えない夜空となりがちですが、童心に帰って、短冊に今年の願い事など書いてみてはいかがでしょうか。では、今回はこのへんで。

《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新字源」(角川書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「難読漢字辞典」(三省堂)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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