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空想に満ちたフィリップ・スタルクのパリをカルナヴァレ美術館で。

  • 2023.7.6

2年前にリニューアルオープンしたマレ地区のカルナヴァレ美術館。昨年以来、初夏から10月にかけて庭園でゲストシェフによるディナーがとれるようになった。2シーズン目はFabula(ファビュラ)で、ジュリアン・デュマがシェフだ。彼が美術館の見事な18世紀の庭園にインスピレーションを得た食事ができ、カクテルバーも備え、翌朝2時まで営業している。マレのど真ん中、かつては庶民が足を踏み入れることなどできなかった立派な個人邸宅のフランス庭園でほろ酔いのパリ体験ができる。

左: エントランスホールを陽気に彩るのは、その昔パリを彩った看板の数々。右: 有名なキャバレーであるル・シャ・ノワールの看板はアドルフ・レオン・ウィレット (1857-1926)作。1881年頃。© musée Carnavalet – Histoire de Paris

左: パリの名所で見かける案内板のもじり。右: ロウ人形でおなじみグレヴァン美術館のコーナーを覗き込むとフィリップ・スタルクの姿が見える。美術館のサイトからスタルク本人が語る展覧会のガイドをダウンロードしてから展覧会へ! photos:Mariko Omura

美術館では8月28日まで『パリは空想科学(パタフィジック)、フィリップ・スタルク』展が開催中だ。「パリはオペラのための舞台装置でしかない。そして、もちろんすべてが幻影なのだ」と語るスタルク。その昔アルフレッド・ジャリが定義したパタフィジック哲学に興味をもった芸術家や作家たちが、20世紀半ばにコレージュ・ド・パタフィジックというグループを結成。過去にはボリス・ヴィアンやレーモン・クノーといった会員がいて、またフィリップ・スタルクもそのひとりである。彼のクリエイションにインスピレーションを与え続けているパリ。この展覧会で、彼はパリが包み込んでいる謎と、彼が隠し続けているパリの仕事における謎をポエティックに展開している。パリの歴史を物語るカルナヴァレ美術館がひとりのクリエイターの視点による歴史と虚構が交差するパリを展示する初めてのこと。この会場では、パリ市内を歩いても見ることのできない神秘を感じることができる。各セクションにはスタルク自身による解説が掲げられ、来場者を彼の世界へと招き入れる。どれが真実?どれがフィクション?来場者はときに狐につままれてしまう。

1980年代、スタルクはフランス政府がらみの仕事をいくつか手がけている。1983年はエリゼ宮内のダニエル・ミッテラン大統領夫人の寝室、そして大統領執務室。1985年は文化大臣の執務室だ。photo:Gautier Deblonde / Paris Musées_Musée Carnavalet- Histoire de Paris

左: 斬新な家具にはじまり、時を正確に示さない時計……コストの名前とスタルクの名前を同時に世界に知らしめたのは「Café Costes」(1984〜1994年)。右: さほど広くない会場は少々奇怪で幻想的な雰囲気に包まれている。会場構成を担当したのはL’Atelier Maciej Fiszer。photos:Mariko Omura

パッサージュ・パノラマ内、かつて19世紀の製版アトリエがあった場所に2014年にオープンしたカフェレストランCaffé Stern。そこにスタルクが築いたシメールの世界にここで浸れる。photos:(左)Gautier Deblonde / Paris Musées_Musée Carnavalet- Histoire de Paris、(右)Mariko Omura

左: コレージュ・パタフィジックのためのフィリップ・スタルクによるデッサン『L’As』(2021年)。右: コレージュ・パタフィジックの会員証を展示。photos:(左)© Jean-Louis Losi、(右)Mariko Omura

『Paris est pataphysique. Philippe Starck』展開催中~2023年8月27日『Musée Carnavalet - Histoire de Paris』23, rue de Sévigné75003 Paris開)10:00~18:00休)月料:13ユーロwww.carnavalet.paris.fr/en

 

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