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ショーマンシップを持った稀有な4人、演出家が語るふぉ~ゆ~の魅力

  • 2023.6.28

現在発売中の「anan」2354号・CLOSE UPにて、福田悠太さん、辰巳雄大さん、越岡裕貴さん、松崎祐介さんからなるジャニーズの4人組グループ・ふぉ~ゆ~を取材しています。7月1日よりシアタークリエで開幕する舞台『SHOW BOY』に主演する彼ら。近年は主演舞台に加え、冠番組やライブツアーなどますます活動の場を増やしています。今年結成12年目となるふぉ〜ゆ〜の、止まらない躍進の理由とは。ananwebでは、本誌では書ききれなかった、関係者の方々への取材から見えてくるその魅力を、さらに深堀りします。今回は舞台『SHOW BOY』原案・演出 ウォーリー木下さんにうかがいました。

この先絶対、日本を代表するエンターテイナー集団になると信じています。

舞台『SHOW BOY』原案・演出 ウォーリー木下さんは、2018年のふぉ~ゆ~主演舞台『年中無休!』で初めて彼らの舞台を手掛け、その翌年の『SHOW BOY』で再び邂逅。4人それぞれのキャラクター性を生かしながらも、さらなる魅力を引き出した『SHOW BOY』は、今や彼らの代表作に。

人を楽しませるショーマンシップを持った俳優が4人も揃っているんだからすごいです。

――舞台『SHOW BOY』を初めて拝見したとき、4人の持ち味に加え、彼らの面白さや可愛らしさ、4人が集まったときに生まれる不思議なパワー、いろんな魅力が詰まった作品だと思いました。この作品を作るに至った経緯を伺えますか。

ちょっと思い出しながらですが(笑)。そもそも最初は、東宝の演劇プロデューサーの方から、「ふぉ~ゆ~っていう面白い人たちがいるんだけれど、まだあまり日の目を浴びてない。でも、とても魅力のあるグループだからウォーリーさんと組ませてみたい」とお話をいただいたんです。そのとき上演したのが劇団カクスコ(1987〜2002年まで活動した男性6人からなる劇団)の『年中無休!』という作品です。

ちゃんとお芝居ができる4人組だから、それをまず見せようということで選んだのですが、そのときから、将来的にはもっと総合芸術的なエンターテインメント作品でふぉ~ゆ~の魅力を全部出したいねって話は出ていたんです。それで、『年中無休!』の後に、もう一回彼らとやることが決まった時に、僕の方から「完全なオリジナル作品をやらせてください」とお願いして『SHOW BOY』に至った感じです。2作目にして、すでに彼らの代表作になるようなものにしたいというのは、僕の中では決めてたと思います。

――それはどういう想いからだったんでしょう?

彼らの人となりが好きになったんですね。最初の時点から、僕はこの出会いは特別なものだと感じていましたし、これから先も一緒に舞台を作っていけたらいいなと思っていました。こんな言い方はおこがましいですが…もし、次に自分がやるなら、彼らがもっと輝く舞台を作ってあげたい、と思った記憶があります。

――彼らのどこにそこまで魅了されたんでしょう。

基本的に、4人とも人たらしだと思うんです。いい意味で人懐こくて、人が好きで、人のことをすぐ信用する。こういう業界に長く身を置きながらも、偉そうにもしないし、手を抜くということもしない。彼らのそんなところがとても新鮮に感じました。

『年中無休!』の創作に入る最初の段階で、彼らと企画会議みたいなことをしたんです。自分たちがやりたいことをただ上げてもらう、というものだったんですが、その時、4人がまるで学生みたいなノリで、あんなことしたい、こんなことしたいって言い合っては考えて、みんなで「それ面白いね」みたいに盛り上がって…。その雰囲気が僕に合っていたのもあるのかもしれません。

僕は演劇の中でも、ショーの要素のあるエンターテインメント作品が好きなんですが、それができる人…ダンスや歌、芝居はもちろん、それ以上に人を楽しませるショーマンシップを持った俳優というのは、けっして多くない。彼らって、ものまねもやればタップもやる…リアルでは体験していませんが、昔のボードヴィル(歌や踊り、お笑いなどさまざまな要素を織り交ぜた演劇や軽演劇)芸人さんみたいな匂いを感じます。しかもそういう人が4人揃っているんですからすごいですよね。

そして、やっぱり4人のキャラクターがカラフルで、そのバランスもいいんですよ。ちょっとニヒルな人もいたり、ひょうきんな人もいたり、天然の人もいたり…バラバラなんだけれど、4人が揃うとグループとして、ちゃんと人の信頼を得られるような塊としての力もある。すごいことだと思います。

――ウォーリーさんからご覧になった、4人それぞれの魅力についても伺えますか?

こっしー(越岡さん)はすごい努力型の人ですね。昔はもうちょっと自分自身に向かうストイックさが強かった気がしますが、最近はとくにオープンマインドになってきていて、そこもいいなと思っています。周りを動かそうとする気持ちもあるし、周りを受け入れようとする力もあり、それが素晴らしいなと思っています。

まっちゃん(松崎さん)は、よく言われていることですけれど、真面目なんですよね。役についていつも考えているし、考えることを諦めない。そのくせ舞台に上がると、本能的な爆破力で突っ走るって、ここまで考えてきたことどうした? って思うこともあるんですが(笑)。でも、そこの切り替え方もすごく、ドラスティックにやるのはかっこいいです。

福ちゃん(福田さん)は、つねに座組全体のことをすごく考えてくれる頼れるリーダーでありながら、決してユーモアを忘れない。だからなのか、みんなが福ちゃんとお芝居をしていると楽しそうなんです。きっとそれは福ちゃんが、周りが演じて気持ちいいって思う方向に持っていっているからなのかなと思います。

辰巳くんは、観客が、その役に感情移入できる芝居を作るのがとてもうまいし、探究心の塊です。自分の魅力と台本と演出の大事なところを伝えるためのコントロールの巧みさは、天性のものがあると思いますね。ある種、4人の中で一番エンターテイナーとしての素質を持った人かもしれません。

――『SHOW BOY』は、豪華客船を舞台に、現実が思うようにいかずに燻っている4人の成長を描いた作品です。前半は4人それぞれの物語が描かれていく中で、少しずつそれぞれの人生が重なり合い、最終的に4人が邂逅して…という展開です。前半に焦らされるぶん、4人が集合したときのパワーがすごいですよね。

実は4人それぞれがソロの仕事で忙しいので、稽古のことも考えてそういう構成にしたんだと思うのですが、結果的にいい展開になったなと思います。4人が揃う場面は、広げようと思えばいくらでも広げられるくらい、作っていても本当に楽しいです。

ひとりひとりキャラクターが魅力的ですけれど、やっぱり4人が集まったときの爆発力が素晴らしくて、今これだけ多くの人に喜ばれているのは、やはりそこなんですよね。大袈裟かもしれませんが、全員が集まったときの特別感っていうのは、僕がテレビで見ていたSMAPさんを思わせるワクワク感に近い。お互いがお互いに影響を受けながら輝いていく、その関係性も素敵ですよね。

――今回、『SHOW BOY』は3演目となりますが、今年はどんな公演になるんでしょう。

ネタバレになるのであまり言えませんが、初演から4年経ちますので、やっぱり今の彼らに合ったものにしようとは思っています。セリフ自体が変わらなくても、見せ方でセリフのニュアンスが変わって伝わったりもしますから、そこまで大きな変化は感じないかもしれませんね。ただ、今の37歳のふぉ~ゆ~としての『SHOW BOY』がお見せできるんじゃないかと思っています。

――あらためて今後の彼らに期待することを伺えますか?

僕は本当に、この先絶対、彼らが日本を代表するエンターテイナー集団になると信じています。この先も守りに入ることなく、攻めの姿勢で突き進んでほしいです。もちろん、その道中を僕もご一緒できたら最高ですし、そうじゃなくても彼らにしかできない新たな道を切り拓いていってほしいなと思っています。

【お話を伺った方】
ウォーリー木下
うぉーりー・きのした 劇作家、演出家。1993年、神戸大学在学中に劇団世界一団(現sunday)を結成し、役者の身体性を重視した演出が評判を呼ぶ。’02年には、言葉を一切発しないノンバーバルパフォーマンス集団・THE ORIGINAL TEMPOを立ち上げ、’09年には英国・エジンバラ演劇祭にて5つ星を獲得。その後、スロベニアや韓国、ドイツなどと国際共同製作を行い、海外からも高い評価を得ている。また近年は、毎年静岡の街中でおこなわれるストリートシアターフェス「ストレンジシード静岡」をはじめ、さまざまな演劇祭でフェスティバルディレクターを務めるほか、一昨年の東京2020パラリンピック開会式の演出でも大きな話題に。

Information

『SHOW BOY』
7月1日(土)〜27日(金)日比谷・シアタークリエ 原案・演出/ウォーリー木下 脚本/登米裕一 出演/福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介、高田 翔、高嶋菜七、小松利昌、瀬下尚人(CONVOY)、中川翔子ほか 全席指定1万500円(税込) 大阪、愛知でも上演あり。
問い合わせ:東宝テレザーブ 03-3201-7777

取材・文 望月リサ

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