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申ジエプロが【国内女子ツアー30勝】なのに永久シードをもらえない理由とは?【数字でスゴさを読み解く国内女子ゴルフツアー】

  • 2023.6.28

国内女子ツアー第17戦「アース・モンダミンカップ」では、申ジエプロと岩井明愛プロによるプレーオフに持ち込まれましたが、1ホール目でバーディを奪ったジエプロに凱歌が上がりました。これでジエプロは国内女子ツアーで30勝を挙げたことになります。

ツアー30勝と言えば、永久シードを獲得するはずですが、今回は与えられませんでした。一体なぜGETできなかったのでしょうか。

Getty Images

◆申ジエプロの目標30勝以上

アース・モンダミンカップで国内女子ツアー30勝目を飾った申ジエプロ。永久シードを獲得か!? と思いきや、日本女子プロゴルフ協会のホームページを見ると、申ジエプロのツアー優勝回数は28回になっています。一体なぜ? と思う人も少なくないでしょう。実は、ジエプロが国内初優勝を飾った08年のヨコハマタイヤPRGRレディスカップと10年のミズノクラシックは公式記録としてカウントされていないのです。

と言うのも、前者はジエプロがまだ単年登録をする前だったため、ツアーメンバーではなかったからです。そして後者はUSLPGAの資格で出場していたからだです。したがって、どちらも通算の優勝回数には数えられませんし、獲得した賞金も生涯獲得賞金額には加算されません。

したがって、ジエプロが永久シードを獲得するにはあと2勝必要となります。厳しい言い方ですが、規則は規則なので従うしかありません。ただ、この件について、ジエプロは次のように語っています。
「自分の目標はあくまでも30勝以上なので、メンバーではないときの優勝回数について考えたことはありません。むしろ、通算の優勝回数が減ることによって、もっと頑張りたいという原動力になります」。
永久シードを獲得できる30勝はあくまでも通過点であり、もっと先を目指しているジエプロにとって、28勝とか30勝という数字は大きな問題ではなかったというわけです。

まあ、アース・モンダミンカップのプレーオフでのプレーを見ると、永久シードは時間の問題という気がしますよね。舞台となった18番パー5の第3打です。ピンまで残り85ヤードある状況でしたが、バックスピンを計算して87ヤードを打ち、しっかりとピンそば1メートルにボールを止めたわけですからね。バーディを奪うためのち密な計算力とそれを実現するショット力はしばらく衰えないでしょう。

◆あと1勝に泣いた吉川なよ子プロ

せっかくなので、これまで永久シードを獲得したプロを紹介しましょう。果たして何人いると思いますか?

正解は6人です。樋口久子プロ(69勝)、涂阿玉プロ(58勝)、不動裕理プロ(50勝)、大迫たつ子プロ(45勝)、岡本綾子プロ(44勝)、森口祐子プロ(41勝)と、さすがレジェンドの名前が並んでいます。このうち、まだ試合に出場しているのは不動プロのみです。

ちなみに、わずかに30勝ラインに届かなかった選手がいます。29勝を挙げた吉川なよ子プロです。29勝目を挙げたのは彼女が46歳のときでしたが、55歳までツアーに出場。その間、2位に終わった試合も1試合ありましたが、あと一歩届きませんでした。

その次に惜しいのがアン ソンジュプロの28勝です。18年に年間5勝を挙げ、賞金女王にも輝きましたが、19年を最後に国内女子ツアーには参戦していません。コロナ禍の影響がなければ、残り2勝を挙げていたと思われるだけに残念です。

通算20勝以上を挙げている選手で、今年もシード選手としてツアーに出場しているのは、ジエプロと、全美貞プロのみです。日本選手では、17勝の鈴木愛プロと16勝の上田桃子プロがシード選手では最上位になります。以前よりも試合数は増えたものの、そう簡単には永久シードは獲得できないようですね。

取材・文/山西英希

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