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ルーカス・ドン監督が語る!カンヌでグランプリ受賞の話題作『CLOSE クロース』の魅力【sweetムービーインタビュー】

  • 2023.6.28

Lukas Dhont

ルーカス・ドン

Lukas Dhont 1991年6月11日、ベルギー生まれ。初長編監督作『Girl/ガール』(18)で、第71回カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を受賞。本作は同映画祭のコンペティション部門で最高賞に次ぐグランプリを受賞した。写真は同映画祭でのひとコマ。


初長編監督作『Girl/ガール』(18)がカンヌ国際映画祭で「ある視点」部門に出品され(これだけでも相当すごいこと)、新人監督賞にあたるカメラドールを受賞。

そして2作目になる本作『CLOSE/クロース』は、同映画祭の本丸ともいえる、コンペティション部門に選出され、見事最高賞次点のグランプリを受賞されたほか、第95回アカデミー賞では国際長編映画賞のベルギー代表に。

成功の階段を一気に駆け上っているルーカス・ドン監督は、間違いなく20年代を代表する若手監督のひとりに数えられている。

「前作の『Girl〜』が世界で評価されたことで、僕は様々な初体験をすることができました。

それが、『CLOSE〜』を作るうえでは非常に役に立ったと思います。

逆に、前作がこれだったら、デビューできてなかった。自分の子どものころ封印していた記憶に触れないといけない作業があり、心の準備が必要な物語ですから。それがまた色んな国で評価され、オスカー候補になったのは誇らしいですね」

本作は大親友同士の2人の少年レオとレミが、「ゲイなの?」とからかわれたことをきっかけに、全く別々の心的反応を示す物語。子どものころにこういう経験をしたことがある、という人は男女共に少なくないはず。
それとともに、未熟な時期だけに正しく対応できなかったことから、記憶の奥底においやる、ということも多い問題だ。

「私も似たようなことがあって、レオのように相手を傷つけてしまったことがあります。

もちろんこの映画のような悲劇は起きませんでしたが、起きる可能性もあった。親密な人間関係を壊すことは、大人になったらそうそうあることではありません。

でも、子どもは後のことを考えずに行動してしまうだけに、知らず知らずのうちに関係自体を壊してしまう可能性がある。しかも、その影響はじつは大人になってからの行動にも出てくるし、いつまでも残ってしまうものなんですよ」

監督、32歳にして仙人のような悟り……。でも、本当にごもっとも。だからこそ、この映画は主人公の世代はもちろん、かつて子どもだった人達にも観てもらいたい。

「この経験がある人にとっては、心のアザに触れるような作品です。

でも、子ども達の親密な関係に対してギャアギャア言うのは、社会の問題。これまでの社会が勝手に決めつけて構築してしまった価値観や偏見がそうさせてしまうんです。

だからこそ、この作品がその解毒剤的な役割を果たしてくれればいいな、と思っています」

『CLOSE /クロース』
story:レオ(E・ダンブリン)とレミ(G・D・ワエル)は、いつも一緒の大親友。ところが、クラスメイトからからかわれたことで、2人の関係は急速に変わっていき……。
監督:ルーカス・ドン/出演:エデン・ダンブリン、グスタフ・ドゥ・ワエル、エミリー・ドゥケンヌ ほか/配給:クロックワークス、STAR CHANNEL MOVIES/公開:7月14日より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

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■プロフィール
よしひろまさみち

『スウィート』のカルチャーページでもおなじみの映画ライター・編集者。日本テレビ系『スッキリ』ではレギュラーで映画紹介を務める。

text_MASAMICHI YOSHIHIRO
web edit_RIRIKA MIURA[SWEETWEB]
※記事の内容はsweet2023年7月号のものになります
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