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税金が6倍になる?親の家に誰も住まないなら知っておくべきこと

  • 2023.6.27

両親が亡くなった後、実家が空き家になる予定の人は、「空き家問題」について早くから準備しないと、税額が最大6倍になってしまうかもしれません。管理状態に大きな問題がある「特定空き家」に指定されると、固定資産税の「住宅用地の軽減」が受けられなくなるかもしれないからです。

■「固定資産税が6倍になる」対象の空き家が増える

「特定空き家」とは、空き家のうち、倒壊の危険や衛生面の問題がある建物で、自治体が指定します。空き家は持ち主だけの問題ではなく、環境や治安の悪化につながるなど、周辺に住む人にとっての迷惑物件となってしまうのです。

特定空き家に指定されると、持ち主は、自治体から改善のための助言や勧告を受けます。持ち主が状態を改善しないと、家の建っている土地の固定資産税を最大6分の1に軽減する特例を受けられなくなります。

固定資産税額は場所や広さによって異なりますが、最も空き家率の高い山梨県(2018年、土地統計調査)を例にとると、甲府市の2021年の小規模宅地200平方メートルの固定資産税の平均額は、特例を受けると1万2,506円のところ、適用されなくなると7万5,040円に増えてしまいます。

さらに2023年の法改正で、固定資産税の軽減を受けられない空き家に、将来特定空き家になるおそれのある「管理不全空き家等」が加わることになりました。

管理不全空き家とは、窓が割れていたり雑草が生い茂ったりしている家が当てはまります。

2024年には相続した不動産の登記が義務になり、空き家を相続して責任を問われるリスクが増すと考えられます。また、特定空き家を放置すると50万円以下の科料(罰金)が課されるおそれもあるので、今のうちに対策を考えておく必要があります。

■相続放棄は簡単にはできない

親が亡くなった後の家に自分が住まないなら、相続放棄したいと思うかもしれませんが、特定の財産だけを相続放棄することはできず、お金などの他の財産も相続できなくなってしまいます。また、相続放棄は親が亡くなってから3ヵ月以内に行わなければなりません。

たしかに、特定空き家に指定されないためには、空き家管理代行サービスに頼むなどの出費も必要でしょうが、だからといって相続放棄すればいいというわけではなさそうです。

相続が始まって(親が亡くなって)3ヵ月以内に相続放棄するか決めるのは難しいでしょうから、事前に方針を決めておいたほうがいいでしょう。

■国に引き取ってもらうにも条件がある

実家に買い手がつけば解決しますが、地方などではそう簡単には売れないでしょうし、2023年から相続した土地がいらない場合、国に引き取ってもらう制度ができましたが、どんな土地でも対象になるわけでなく、建物が建っていたり、抵当権が付いていたりする土地は断られてしまいます。

つまり、更地にしてからでないと引き取ってもらえないわけです。また、負担金を支払う必要もあります。

日本中で空き家問題が深刻になり、相続した空き家の管理や処分に悩む人が増えると考えられます。親が亡くなってからの実家に誰も住まない場合、早くから対策を考えておくべきでしょう。

文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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