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幻の牛肉“見島牛”を食す!各地の希少な食材を楽しめる「八芳園」のプレミアムウィーク

  • 2023.6.26
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存在すら知らずにいた食材や料理との出会いに「世の中には、こんなにおいしいものがあるのか!」と感動した経験はありませんか? 八芳園内のレストラン「ENJYU(えんじゅ)」では、まさにそんな感動が味わえる「プレミアムウィーク」が開催されました。第1回となる今回は、“幻の牛肉”と呼ばれる「見島牛」が登場。山口県萩市・見島の食材を中心とした特別すぎるメニューをいただいてきました。

 

 

ENJYUのプレミアムウィークとは

この「プレミアムウィーク」とは、八芳園内のレストラン「ENJYU」にて、年に数回、限られた期間のみ行われるイベントです。シェフ自ら、全国各地で眠る希少な食材や至高の素材を探し出し、それらを使用した特別メニューを味わうことができるのです。

今回は、山口県の最北端に位置する日本海の秘島・見島(みしま)の食材を中心に、萩市のおいしいものが集結しました。2023年6月21日(水)~26日(月)の6日間のみ開催され、さらには、1日12食限定。この期間の短さや提供できる数に限りがあることから、いかに希少な食材ばかりなのかがわかります。

【第1回 「プレミアムウィーク」開催概要】 ※要予約

開催日:2023年6月21日(水)~26日(月) ※1日12食限定

内 容:山口県萩市・見島の食材を中心に使用したプレミアムウィーク特別メニューとドリンクペアリング

価 格:50,000円(税・サービス料込み)

時 間:18:30~21:00

幻の牛肉「見島牛」って?

「見島牛(みしまうし)」と聞いても、いまいちピンとこない人も多いかもしれません。正直なことを言うと、筆者も存在すら知りませんでした。

この「見島牛」というのは、山口県・見島で大切に飼育されてきた牛で、運よく西洋の牛との交配を免れた日本在来牛。国の天然記念物に指定されているため、限られた雄牛だけが島外に搬出され、食用として飼育されます。そのため、流通するのは1年で数頭ほど。ゆえに“幻の牛”と呼ばれているのです。

美しい景色とともに、最高の食事を

ENJYU店内へ一歩入ると、最初に感動を与えてくれるのが、開放感たっぷりな窓とその向こうに広がる八芳園の日本庭園。四季折々の美しい景色が出迎えてくれます。

椅子に腰を掛け、庭を眺めていること数分。萩市の蔵元・澄川酒造場の日本酒「東洋美人 醇道一途 亀の尾」がグラスに注がれました。

そうなんです。このコースは、料理ごとに「ENJYU」のソムリエが選び抜いたという一杯をペアリング。身も心もすべて任せて、おいしいものをゆったりと堪能するという、至福の時間がはじまります。

うっとりが続くコース料理

一品目は前菜の盛り合わせで、4品あります。最初にサーブされたのは「水茄子とユッケの巻き寿司」。てっぺんには赤シソの泡、中には水茄子とユッケ。巻き寿司という身近なものでありながら洗練された姿に衝撃を受けますが、お寿司にふりかけてあるのは、山口県の県民食ともいえる「井上商店」のふりかけとのこと。わかめがたっぷりと入ったソフトタイプのアレですね。

もはや、日本人にとっても定番的な存在のふりかけということで、一気に親近感が湧きます。シェフから「子どもの頃を思い出してかぶりついてください」という一言を受け、そのまま口に運ぶと、各素材の食感の重なりが楽しく、赤シソの酸味がほどよく広がります。初夏を思わせるさっぱりとした巻き寿司でした。

そして前菜は、「特選和がらしのミニバーガー」、「須佐湾の狗母魚(エソ)コロッケ」、「萩港から届いた特選雲丹の牛出し巻き」と続きます。

ニクイことに炭水化物を使わず、素揚げした芽キャベツに、見島牛のミンチをサンドした「特選和がらしのミニバーガー」。アクセントとなる和がらしも、もちろん萩のものを使用しています。

高級食材でありながら骨が多く食べにくいことから、釣り人にとっては敬遠されるエソ。そのエソを、なんと6時間もの手間暇をかけてやわらかく炊き直したという「須佐湾の狗母魚(エソ)コロッケ」。パセリのソースとともにいただきます。

一口目からエソの旨みと香ばしさが口中に広がり、コロッケというより魚のフライのようなおいしさ。ふんわりと甘みも感じ、何個でも食べられそうな軽さのあるコロッケでした。

前菜最後の品は「萩港から届いた特選雲丹の牛出し巻き」です。特選雲丹という文字に心躍りますが、注目すべき部分は、そこだけではありません。出汁には、なんと見島牛を使用しているのです!

ふんわりとやわらかく、口に入れるとジュワッとコクのあるお出汁が広がり、食べ進めるとウニの風味も重なります。優しい味わいでありながら、とってもリッチ。こんなに贅沢な出し巻卵は、ここにしか存在しないのではないでしょうか。

前菜だけでも満足してしまう充実っぷりでしたが、まだまだ食事は始まったばかり。

つづいてやってきたのは「フィレ肉のしゃぶしゃぶ コンソメジュレがけ」です。前菜でも少しいただいてはいますが、とうとう「見島牛」そのものを、真正面から受け入れる瞬間がやってきました。

「一番おいしい」というシェフこだわりの薄さにスライスしたフィレ肉を、低温の昆布水でじっくりと加熱し、鍋からあげる瞬間の見極めは、まさにプロのワザ。

臭みがない肉なので、氷水に落とす必要がなくそのままお皿に盛ることができるのだとか。コンソメジュレは、見島牛のダブルコンソメです。

器の下には見島牛、その上にコンソメジュレと香草が添えられおり、下からスプーンですくって全部を合わせていただきます。

初めて食べた見島牛は、やわらかな食感のあとに鼻に抜ける力強い肉の香り。脂っぽさはなく、噛みしめるたびに牛肉の旨みをダイレクトに感じます。シンプルだからこそ奥が深い……そんな印象を受けたのでした。

この料理に合わせたのは、ポリフェノールやビタミンが豊富な山口県の柿の葉茶に、エッセンスとして芋焼酎を合わせたお酒。

見島牛の余韻に浸っていると、海の中を思わせるような美しい盛り付けの「甘鯛の松笠揚げと姫サザエ 蕪ソース」が運ばれてきました。甘鯛の水揚げ量が、日本一の山口県。萩市がその大半を占めているのだとか。

甘鯛の松笠揚げは、鱗のパリッとした食感の後に、追いかけてやってくるようなふんわりジューシーな甘鯛の身。この食感のコントラストがたまりません。

姫さざえに箸を入れれば、一口ずつ食べられるように調理されており、この配慮がうれしいですよね。

さらにうれしいのが、いつも食べているさざえとは一味違う味わい。肝と山口県のあおさのりを合わせており、苦みはほぼナシ。添えられた玉ねぎやミョウガもよく合い、日本酒がすすみます。

ちなみに、この料理に合わせたお酒は「東洋美人 特吟 純米大吟醸 愛山」。蕪のソースには、この「東洋美人」の酒粕で風味付けをしているのだとか。すべてが計算され尽くされています。

「次にはどんな料理が出てきて、それがどんな味なのか」とワクワクが止まらないコース内容の中、かなり驚いたのが、続いての料理「見島牛香る打ち立てそば 柑橘の風味」です。

肉蕎麦のようなものを想像していましたが、実際に出てきたものは至って普通のお蕎麦。食べてみると、その意味がすぐに理解できます。最初の一口目はお蕎麦なのですが、そのあとに見島牛の味が口の中にグッと広がるのです! なんと、フードプロセッサーで見島牛を細かくしたところに、そば粉を練り込んだのだとか。上品なあごだしのお出汁に、見島牛の旨み。「不思議」という感情と「おいしい」という気持ちが、交互に行き来する人生初の味わいでした。

大きな衝撃を受けた蕎麦のあと、目の前には再び驚きの光景が。つづいてのメニューは「大地で焼き上げたスネ肉 カルボナード風味」です。“大地で焼き上げた”……その言葉の意味が、まさにこの土。

八芳園の庭園で採った青笹で見島牛を包み込み、萩の土で蒸し焼きにしているのだそう。

スネ肉といえばホロホロに煮込まれていることが多い中、蒸し焼きにすることで、素材そのもの味わいを強く感じることができます。ソースは、萩のたまねぎと、萩の地ビール「ちょんまげビール」で煮込んだカルボナード。

3時間蒸し焼きにしたという見島牛は、あまり嚙む必要がないほどやわらかく、たまねぎの甘みがお肉のおいしさを引き立てています。

この料理には、もちろん「ちょんまげビール」を。フルーティーで苦みのないビールは、力強い味わいのこの料理にぴったりと寄り添ってくれました。

すべての料理のおいしさにすっかり酔いしれたそのとき、ついにやって来ました。「ランプとサーロインの焼きくらべ」。左がランプ肉で、右がサーロインです。一皿に2種類の見島牛が盛られており、筆者の人生史上最大級の贅沢な一皿と思われます……。

ランプは、スッと噛み切れるほどやわらかく、脂肪分が少なくあっさり。噛めば噛むほど豊かな旨みが広がります。

一方、サーロインはランプとはまた少し違い、トロッととろけるようなお肉にジュワッと広がる脂があまりにも贅沢で、口に入れた瞬間、思わず小刻みに震えてしまいました。

「見島牛」のおいしさは、雑味が一切なく上品であり「これぞ牛肉」といったクリアな味わいがあること。今まで自分の中にあった「おいしいお肉」の概念を大きく覆すような、新たな出会いをしてしまった気がします。

ペアリングは、永山酒造の「山口ワイン ヴィンテージ」。やはり赤ワインとの相性は抜群です。

とうとうコースも終わりに近づき、お食事がやってきました。見島牛を使用したカレーに、虎ふぐかつをトッピングした「見島牛と虎ふぐかつ」です。コースのお食事に、カレーというのもシェフの遊び心を感じますよね。

「口に馴染みのある味に仕上げた」というカレーは、贅沢な素材を使用していながら、肩肘張らずに食べられるホッとする優しい味わい。

見島の郷土料理でもよく使われるという貝「ぐべ」を使用したおみそ汁も一緒にいただきます。

すっかりお腹がパンパンになりながらも、運ばれてきた瞬間「キャッ」と心の声が漏れてしまったのが、このスイーツ「自家製ホイップジェラート 黒蜜のパンとともに」。

一見普通のスイーツに見えますが、当然のように「普通」では終わりません。実は、通常バターで焼くブリオッシュを、見島牛の牛脂で焼き、自家製ホイップジェラートにも牛脂を混ぜてしまったのだとか! もう驚きを通り越して「望むところだ!」という気持ちに。

サーロインの上質な脂のみを使用しているそうで、ブリオッシュを食べてみれば、外側はカリッと香ばしく、中はもっちり。そしてホイップジェラートは、濃厚でありながら軽く、フッと口の中で溶けていきます。後味には、ほんのり牛肉の香りを感じ、とことん見島牛を味わったという満足感が体中を駆け抜けていくのでした。

スイーツに合わせた飲み物は、夏みかんと梅を使ったジュースで、さっぱりと。コーヒーや紅茶じゃないところに「最後まで食事を楽しんでほしい」という気持ちが伝わってきますよね。

最後の最後に「小菓子と玄米茶」までいただき、とにかく盛だくさんすぎるコースが終了しました。

素材のおいしさがしっかりと感じられる繊細な味付と、一品一品丁寧に作られた美しく贅沢な料理たちに、ただただうっとりするばかり。シェフはこのコースを考案するにあたり、郷土料理もかなり勉強し、その土地ならではのおいしさを生かしたのだとか。

ラグジュアリーな体験とともに、旅心と食への好奇心が刺激されるENJYUのプレミアムウィーク。次回は、どんな食材を探し出し、どんな料理が登場するのでしょうか。今後も目が離せません!

【REATAURANT ENJYU】

住所:東京都港区白金台 1-1-1 八芳園内

電話:0570-064-128(代表)

受付時間:平日10:00~19:00、土日祝9:30~19:30

定休日:火曜日

※その他、八芳園の営業日に準ずる

 

営業時間:

水・木(ディナー3時間制)

18:00〜21:00、19:00〜22:00

 

月・金・土・日・祝

ランチ 2時間制

12:00〜14:00、13:00〜15:00

ディナー 3時間制

18:00〜21:00、19:00〜22:00

※ディナータイムは未就学児のご利用不可

※予約期限はご来店の前日まで

 

 

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