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ひとつ「ずつ」?それともひとつ「づつ」?正しいのはどっち?

  • 2023.6.26

数量や割合について数える際にしようされることもある「ずつ」や「づつ」。 これは、どちらを使うのが正しいのでしょうか?

先にあったのは「づつ」とされますが、時代に合わせて「ずつ」に変化した言葉なのだとか。

そこでここでは、「ずつ」と「づつ」はどちらを使うのが正しいのか、もしくは使い分ける必要があるのかを解説します。

「ずつ」と「づつ」の意味と漢字表記

 

「ずつ」「づつ」は、どのような言葉なのでしょうか? ここでは、その意味と漢字表記について見ていきましょう。

「ずつ」と「づつ」の意味

基本的に、「ずつ」と「づつ」は同じ役割の言葉です。 「ずつ」と「づつ」は、数量や割合を表す名詞や副詞、一部の助詞などに用いられる言葉です。

ある数量を当分に割り当てる際に用いるものであり、それぞれの数を指す言葉として使われています。

「ずつ」と「づつ」の用い方

「お菓子を1個ずつ(づつ)配る」のように、それぞれの数を人数に合わせて割り当てるような場面で活用されます。

また、一定量に限って繰り返す意味も持っています。 例えば「1枚ずつ(づつ)ページをめくる」のように、特定の行為を連続して繰り返す際に用いられることもあります。

「ずつ」と「づつ」の漢字表記

「ずつ」や「づつ」は、ひらがな表記するのが一般的ですが、実は漢字表記することができます。 その際は「宛」と書きます。

つまり「1個宛」や「1枚宛」と表記することで、それぞれ「いっこずつ(づつ)」「いちまいずつ(づつ)」と読むことができるということになります。

「ずつ」と「づつ」、どちらが正しい?

 

ここまで「ずつ」と「づつ」は、同じ意味の言葉としてきました。 しかし、どちらを用いるのが正しいのでしょうか。 もしくは、どのように使い分けていくのが正しいのでしょうか?

基本的には「ずつ」を使う

「ずつ」と「づつ」の使い分けに関しては、基本的には「ずつ」を用いると考えていただいて構いません。 これは、1986年7月1日に文化庁(当時の文部科学省)が告示した「現代仮名遣い」の内閣告示・内閣訓令に根拠としています。

この内閣告示では、現代仮名遣いの書き表し方について書かれています。 その中で、『「じ」「ず」を用いて書くことを本則』とすると書かれています。 「ぢ」ではなく「じ」を使うこと、「づ」を使うのではなく「ず」を用いるのを基本とするということになります。

つまり、「づつ」を使ってもいいけど、基本的には「ずつ」を使ってね。という事です。

昔は「づつ」を用いていた

この内閣告示もあって、現在では多くの人が「ずつ」と表記しています。 しかし、もともとは「づつ」の方を用いる方が一般的であったとされています。

転機となったのは、戦後の1946年に出された「現代かなづかいの実施」という内閣訓令です。 その中で、「ず」を新かなづかいとし、「づ」は旧かなづかいとされました。 この経緯から、次第に「づつ」という表記は少なくなっていきました。

ちなみに「づつ」という表記が間違っているというわけではありません。 1986年の「現代仮名遣い」の内閣告示でも「ずつ」と表現するのは本則であって、絶対とはしていません。 むしろ、『「じ」「ず」を用いて書くことを本則』とするの後には、『「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする』とあります。

ですから、自分はこちらの方が好みなので、という理由やなんとなくで「づつ」と書いても全く問題ないということになります。

「ぢ」や「づ」の使い分け

 

「ずつ」や「づつ」だけではありません。 他にも、「ず」と「づ」と表記することもあれば、「ぢ」を「じ」と表記することもある分かりにくい表現はあります。 では、それらの言葉はどのように使い分けるのが良いのでしょうか?

連続して同じ音が続く場合

基本的に連続して同じ音が続く場合は、その前の文字をそのまま続けて後ろにも用いるのが一般的となっています。

例えば「続く」は「つづく」が正しい表現であり、「つずく」とはなりません。 「縮む」のふりがなが「ちじむ」ではなく、「ちぢむ」となります。

2つの言葉が組み合わさったことで生じた濁音

また、2つの言葉が組み合わさったことで生じた濁音などの場合も、例外として「じ」よりも「ぢ」を用いることがあります。

例えば「そこ」と「ちから」が組み合わさったことで濁音が生じる場合は「そこじから」とはならず「そこぢから」となります。 このように、2つの言葉で生じた濁音の場合は原型となる文字をそのまま使うというのが通例となるのです。

分解できない言葉の場合

分解できない言葉に関しては使い分けせず、両方用いることもあります。

例えば「融通」、この言葉はどちらを用いることも可能で、「ゆうずう」でも「ゆうづう」でもいいとされています。 熟語としてすでに成り立っている言葉などは分解することができないため、どちらでも表現することが可能というわけです。

まとめ

「ずつ」と「づつ」は意味も発音も同じということもあって、どちらを使うのが正しいのか分かりにくくなる語のひとつです。

一般的には、「づつ」ではなく「ずつ」と表記するとされていますが、これは内閣からの告示に基づくとされています。 だからと言って「づつ」と書いても決して間違いではありません。

その一方、「続く」のように、「つずく」ではなく、「つづく」となるのが正解とされることもありますのでご注意ください。

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