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【夏木マリさん×土屋太鳳さん】年齢もキャリアも超えてリスペクトし合う2人のタッグが実現!

  • 2023.6.19
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ダンサーとしての顔を持つ女優。そんな共通項を持つ夏木マリさんと土屋太鳳さんが夏木さん演出の舞台「印象派NÉO」でタッグを組むことに。年齢もキャリアも超え、「表現」を通してリスペクトし合うふたりの奥深いトークをお届けします。

すごい表現力を持った人。まさに私の探していた人でした(夏木)

出典: 美人百花.com

――優れた表現者は同じように優れた表現者を瞬時にキャッチするセンサーを持っているのだろう。夏木さんが〝土屋太鳳〟の存在を知ったのは、7年前に発表されたオーストラリアのシンガー・ソングライター・シーアの「アライヴ」日本版MV。そこでダイナミックなダンスを披露する土屋さんに〝ひと目ぼれ〟し、自身が演出を手がけるコンセプチュアルアートシアター「印象派NÉO」出演のラブコールをした。

夏木「大胆なのに繊細さがあり、その中から色や景色が見えてくる。そんなダンスを見てすごい表現力を持っている人だなと。でも、私はそれまで太鳳ちゃんのことを知らなくて。ダンサーさんだろうと思ったら俳優さんで、こんなに踊れる俳優が日本にいるの?って、まさに私の探していた人だったんです」

土屋「『アライヴ』は演出家の方に『ダンサーとして踊るのか女優として踊るのか』と厳しく問われた作品。『女優として踊ります』って泣きながら答えたのですが、その時、女優としての自分を改めて自覚して、意識して踊ることができました。なのでマリさんがそれを観て何かを感じ、オファーをくださったっていうのはすごくうれしかったですね」

マリさんは佇まいが素晴らしい。立っているだけでカッコ良くてズルいです(笑)(土屋)

出典: 美人百花.com

――その後、ふたりは初めて出会い、共演を果たすのだが、それぞれどんな印象を持ったのだろう。

土屋「本当にいらっしゃるんだ!って」

夏木「(笑)」

土屋「マリさんはちょっとファンタジーだったりキャラクターの強い役柄も、リアルに人間らしく見せてしまう力があるではないですか。お会いした時はこんなすごい方が本当にいらっしゃるって気持ちでした。あと佇まいが素晴らしい。今日の撮影もそうでしたが、立っているだけでカッコ良くてズルいです(笑)」

夏木「太鳳ちゃんはふんわりして見えますけど、根性が据わっている。意外に大胆です」

土屋「確かに強いかもしれないです。失敗するかもしれないと思いながらも結構やっちゃいます」

夏木「強いってことは優しいってことですからね。そこの振り幅をちゃんと持っていらっしゃって、この仕事をするために生まれてきたような人だと思います。私なんかはね、その逆。この仕事に向いてない、才能がないって絶望して。踊れもしないのに踊りたいって欲求だけで30年前にこの『印象派』という舞台を始めたんです。ですから、太鳳ちゃんとは資質的には真逆なんですよ」

――でも、ふたりには表現を極めようとする人だけが持ち得る力や、本質を見抜く感性の共通言語を感じる。それがお互いを刺激し、引き合っているように見えるのだが。

夏木「私が見たいのはダンスの形ではなくて、踊る人が何をイメージして踊っているのか、その人の背景が見えるようなダンス。そういう意味で太鳳ちゃんのダンスはとても〝土屋太鳳〟らしく個性的だった。だからこそ、この人とやってみたいと思ったんですよ」

土屋「私はどんな人も踊りたいと思った瞬間、表現者になると思っていて。マリさんも、ご自分を『才能がない』とおっしゃったけれど、踊りたい欲求を持った時、すでに表現者としての意味が生まれたんじゃないかなと……って、ちょっと何が言いたいかわからないけど、とにかくマリさんが大好きです(笑)」

俳優さんとして完璧だからこそちょっと壊してみたい(夏木)

――「血管を隅々まで行き渡らせる」「内臓のフォルムが出る」「人生を体に落とし込みグルーブしていく」……などなど。身体表現を極限まで突き詰めてきたふたりの会話はもう異次元(笑)。でも、夏木さんは元々「まったく運動神経のない子」だったというから意外だ。

夏木「跳び箱も鉄棒も駆け足も全部ダメ。とにかく運動が苦手で体育の時間はよく休んでいました。ですからダンスも自己流。もちろん人一倍練習はしますけど、気分のままやっていて、そんな私から見たら太鳳ちゃんのダンスの技術は素晴らしい。しかも俳優さんでもあるから、ダンスだけやっているダンサーより(表現の)ボキャブラリーが豊富。こういう人って世界にいるようであまりいないんですよ」

――そんな土屋さんをプリンシパルとして迎える今作「印象派NÉOピノキオの偉烈」はコロナ禍で延期となり、数年かけてようやく実現した念願の舞台。その中で、あえて「〝土屋太鳳〟を壊す」とのこと。

夏木「俳優さんとして完璧な人だからこそ、ちょっと壊してみたいっていうね。みんなが知らない土屋太鳳の魅力とか、彼女が今何を考えているかとか、映像では見られないものが『ピノキオ〜』によって見えてきたら作り手として楽しいだろうなと。だから、今回はとても良いカップリングだと思います」

出会いが道を作るのだってすごく感じています(土屋)

出典: 美人百花.com

――壊す=挑戦のひとつが〝動かないダンス〟。動かずに何をどうやって表現するのか、ちょっと想像がつかない。

土屋「そうですね。私も、今までは動くことで表現し、動くことで自分を調整してきたので〝動かない〟というのは初めての挑戦。しかも、静止しているダンスっていちばん難しいらしくて。マリさんの元でどこまでできるかわからないけれど、本番までに自分自身の人生や生活で得たことを表現していけたらいいなと思っています」

夏木「昔、演出家の蜷川幸雄さんが若い俳優さんに『お前、つまんない人生を送っているから、そんなつまんない歩き方してんだよ、1回帰って出直して来い』って言ったんです。言われた方は困っちゃうと思うけど、自分を表現するってそういうことなんですよ。だから、本当に大変な仕事を選んじゃったなと。でも始めちゃったからには戻れない。ここまで来たらもう終われないっていう、そんな感じなんです」

――「戻れない道」はあらかじめ決まっている宿命であり縁なのかも。土屋さんも夏木さんに初めて会った日、ある予感がしたという。

土屋「夏木さんにお会いした時から、すでに〝ピノキオ〟の魂が生まれた気がしたんです。でも、そうでないと縁というものは結ばれないと思っていて、もしかしたら今お腹にいる赤ちゃんもずっと前から私を待っていたのかもしれない。さっき『踊りたいと思った瞬間、表現者になる』って言いましたが、何か、もしくは誰かと出会った時、すでに物語は生まれている。想いや出会いが道を作るのだとすごく感じています」

――先の見えない人生も、夢や理想を抱けば明日につながる道が広がっていく。ならば私たちは未来をもっと信じていいのかもしれない。ふたりを見て、そんな希望を感じた。

Information

印象派NÉO vol.4 The Miracle of Pinocchio「ピノキオの偉烈」

夏木さんがクリエイションする舞台「印象派NÉO」の童話シリーズ第4弾。「童話の中でもっとも残虐性があって愛を覚えるピノキオ」(夏木)に土屋太鳳が挑戦。新境地を見せる。

新国立劇場で上演するほか、国内、国外と4カ所(京都、北九州、高崎、シビウ)でも上演。

公式ホームページはこちら

掲載:美人百花2023年6月号「幸福美女図鑑」

撮影/土山大輔(TRON) スタイリング/瀬川結美子[土屋さん分] ヘアメイク/TAKU for CUTTERS@vow-vow(ヘア)、KENSHIROMA@vow-vow(メイク)[夏木さん分]、尾曲いずみ(ストーム)[土屋さん分] 取材・文/若松正子 再構成/美人百花.com編集部

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