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動かないと寝たきりに!? 高齢者が「廃用性症候群」を予防するポイント

  • 2015.12.15
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こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。

みなさんは『廃用性症候群(はいようせいしょうこうぐん)』 という言葉をご存じでしょうか。

介護保険上の特定疾病の一つで、 身体を使わないことによって起こるさまざまな機能低下 を指す言葉です。

家族の中に高齢者がいると、急激に体調を崩されることを恐れて、まわりの者は日常生活でついつい必要以上の介助をしてしまう傾向があります。

その結果、身体能力が低下してしまうことを廃用性症候群といい、代表的な症状として筋肉がやせおとろえる『廃用性筋委縮』 などがあります。

廃用性症候群は寝たきりの原因にもなる ため、今以上に悪化するのを防ぐ必要があるといいます。では、どんな注意が必要なのでしょうか。

●一日中ベッドの上での生活であったとしても、ベッドで座っているようにしましょう

筆者にも80歳を過ぎた母親がおり、ほぼ一日中ベッドの上で生活しておりますが、ベッドの上で“寝っぱなし”でいないように意識して心がけてはいるようです。

おかげさまで頭がしっかりしており、ニュース系のテレビ番組が好きで、足を床につけてベッドに座りながら見ています。母のかかりつけのドクターにこの話をしたところ、

『ベッドでテレビを見るにしても、寝ながらではなく体を起こした状態でいることは、自然と腹筋や背筋がつく ことにつながり、とても良いことです。

また、この姿勢でテレビを見ることは体が自然と少し前かがみ気味になるため、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の予防 につながります。

座っているだけである程度の運動になるため、食欲も湧いてきます』(40代男性/都内老人クリニック院長・医師)

とおっしゃっていました。

●高齢者は2週間の床上安静で下肢の筋肉が2割委縮。兆候が表れたら意識して体を動かす

ドクターはまた、こんなこともおっしゃいました。

『高齢者の廃用性症候群は放置すると“気がついたら歩けなくなっていた”といったような例も、けっして珍しくありません。

ちょっとした体調不良で2週間床上で安静にしていたら下肢の筋肉は2割委縮する ともいわれています』(40代男性/前出医師)

筆者の母親にしても60代のころに発症した関節リウマチによって関節が変形し随分苦しんできました。

しかし、80歳を過ぎた今では関節リウマチが問題だというよりはむしろ、骨と皮だけになった腕や脚に象徴されるように、廃用性筋委縮によるところの筋肉量の絶対的不足の方が、全身的な健康という意味で言うなら問題であるように思います。

この点についてドクターは、以下のようにコメントしています。

『廃用性症候群は兆候が表れたら意識して体を動かし、それ以上に悪化するのを防ぐ必要があります。大袈裟な運動などではなく、体を起こしていることだけでもいいのです』(40代男性/前出医師)

●廃用性筋委縮だけではない廃用性症候群の症状の数々

廃用性症候群には廃用性筋委縮だけではなく、さまざまな症状があります。例を挙げるならば、

・廃用性骨委縮(骨粗鬆症)

・括約筋障害(便秘・尿便失禁)

・起立性低血圧(立ちくらみ)

・誤嚥性肺炎

・逆流性食道炎

・褥瘡(じょくそう=床ずれのこと)

・関節拘縮(関節の動きが悪くなること)

・心機能低下

・圧迫性末梢神経障害

・尿路結石、尿路感染症

・血栓塞栓(そくせん=血管に血のかたまりがつまること)現象

・うつ状態

・せん妄

・見当識障害

などがあります。身体機能の低下のみならず精神機能の低下をきたす場合もあるので、寝たきりだけでなく認知症へと進行する可能性も想定され、注意が必要です。

●廃用性症候群の悪化を防ぐ対策

ここまでみてきたことから、廃用性症候群の悪化を防ぐには2つのことを励行するのが大変重要ではないかと考えます。それは、以下の通りです。

(1)寝た状態を継続しない。どんなに小さなことでもいいから、とにかく体を動かす

(2)(周囲の人が)“声かけ”する。精神的合併症を引き起こすのを防ぐ

という2つのことです。

このうち(1)を実行するためには高齢者本人の意識と気の持ち方がとても大切になってきますが、(2)の場合は高齢者の周囲にいる人がその意識を持つことが大事です。

人との関わりが薄れると身体機能の低下にもまして精神機能の低下が懸念されます。

周りにいる人は折に触れて声をかけ、本人が体を起こしてテレビを見たり新聞や雑誌を読んだりする気になるように、さりげなくもって行くのがいいのではないでしょうか。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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