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「自分でやればタダ」なんて考えは今すぐ捨てたほうがいい│住谷杏奈

  • 2023.6.14

実業家・住谷杏奈さんの生き方から学ぶ、不確かな時代をサバイブするためのヒントを紹介する連載。
前回、成功を手にするための「Time is money.」な生き方を伝授してくれた住谷さん。
>>>前回の記事:自分の「時給」は自分で決められる│住谷杏奈

4回目も引き続き、稼ぐためのお金と時間との向き合い方について語っていただきます。

好きなことで稼ぐ必要はなし。稼いだお金で好きなことをすればいい

最近「好きなことをやって稼ごう」 みたいなフレーズをよく目にしますが、好きなことを仕事にして成功するなんて、宝くじに当たるよりも難しいことのように思います。そして、仮にそれが叶ったとしても、好きなことが仕事になった途端に好きなことではなくなってしまうのではないかと思うんですよ。
自分が得意なことで稼いで、その稼いだお金で好きなことを楽しんだほうが現実的なんじゃないかな、と思っています。

15年前にブログを始めたときは、文章を書くのが楽しかったし、写真を撮って載せること自体が楽しかったんです。そのブログを読んでくださる方からの声も嬉しかったし、街中でいつもブログ読んでます!と声をかけていただくのも、とても嬉しかったです。
そんな気持ちでしたが、前回お話しした「ブログバブル期」が訪れて、これが仕事なんだと思うようになると、楽しんでブログを書くというよりも、もっとアクセス数を伸ばさなくてはとか、もっとフォロワーを増やさなくてはとか、どんどん私生活を切り売りするようになり、義務化していくことが苦しくなってきてしまいました。
それからは仕事として完全に割り切り、依頼された商品紹介記事をどう書いたらもっと売れるかを真剣に考えて、自分のコンテンツをブランディングし始めました。そういうマーケティングが私にとって得意なことというか、できることだったから。
割り切って仕事としてブログを書き、武器となったブログで稼ぎ、そのお金で好きなことをやろうと思い立って始めたのが、2015年に代官山にオープンさせたママカフェでした。もちろん、全額自己資金で始めました!

内装もスケルトン(骨組みだけの状態)から自分の好きなように決め、オリジナルグッズを作り、メニューも自分が食べたいものを食材にこだわり原価無視で仕入れました。店内で使う食器も全てオリジナル。グラスには金箔で店名を入れ、1個3,000円くらいで作りました(笑)。そして、本来なら客席を増やして客数を入れないといけないのに、客席を減らして店内の3分の1をキッズスペースにしたんです。
まだうちの子どもたちも小さかったので、子どもが喜んでくれるようなキッズスペースをどうしても作りたかったからです。壁にはクライミングのウォールまで作りました(笑)。
メディアにもたくさん取り上げていただき、毎日予約で満席でしたが……もうおわかりですよね? 原価を無視しているので、どれだけお客様がいらしてくれても大赤字。

飲食店をやったことがなかったですし、自分がやりたいようにやりましたし、全てが無知だったので、案の定失敗しました。2年間1回も黒字月がなかったんじゃなかったかな。その間ずっとポケットマネーで赤字分を補填していたので、1億円の損失でした。
だけど、全く後悔していません。それは最初からビジネスという感覚ではなく、自分が稼いだお金で好きなことをやろうと思って始めたことだったからです。最後まで私についてきてくれたスタッフたちの再就職先も紹介し終え、私の夢のような2年間が幕を閉じました。そこでまた、リセットボタンをポチリ。

あのときの2年間があったからこそ経営者としてすごく成長できましたし、1億円分の大切な経験をさせてもらいました。得たものは、自分の責任をダイレクトに自分でとるという経験でした。他責にせずに、全てのことに自責の念を持つこと。誰も同じ立場で助けてはくれません。そこに学びがありました。

私が投資を始めた理由

それからというもの、まとまったお金ができたら好きなことに投入していたので、当時の私に貯金はありませんでした。自分が元気なうちに好きなことをしたいという気持ちから、稼いだお金を全額残さず使う人間でした。 

ですが、コロナが始まってからくらいかな?このままじゃダメだ、何が起こるかわからない世の中になってきたからこそ、家族のためにも将来の不安がないように何か対策を練らなくては、と思い始めました。うまくいっているときでも、一度立ち止まって自分を俯瞰で見ることが大事。私はこういう仕事をしているので、ちょっとした発言で炎上してすべてを失う可能性だってゼロではありません。
そのときのことも視野に入れて、保険で始めてみたのが投資。今ではハマってしまい、様々な投資を実践して楽しさを知りはじめました。 例え急に収入がなくなっても生活できるくらいのお金を回していきたいからです。投資のお話は話すと長くなるので、またの機会に……。

ただひとつ言えるのは、投資を始めてからというもの、私は、いわゆる「情弱」にはならないように気をつけています。今は、いろんな情報を自分で調べられる時代だからこそ、知らなかったでは済まされないこともあるので、情報をしっかり理解し、情報を得たらすぐに行動に移す意識も必要です。しかも、間違った情報が紛れていることもあるから、何が正しくて何が間違っているか、それをちゃんと見極められる目を持つことも大事です!

何者でもないなら、期限を決めてお金を貯めること

お金は心に余裕ができる道具です。お金があれば選択肢が増えるから、その分可能性も広がります。だから、本気でやりたいことがあるのに資金が足りないからどうしようと悩んでいるなら、まずは期限を決めて資金を貯めることです。稼ぐ手段は何でもいいと思うのですが、ダラダラ続けるのではなく、1~2年と期限を決めて要領よく目標額を稼ぐこと。
最近は漠然と将来お金持ちになりたいと思っている人が多いけれど、それでは夢は絶対につかめないし、成功はしません。がむしゃらに苦しんでがんばった時間にヒントや手掛かりが隠されていることもあるし、今までの自分では選ばなかった環境に身を置くことで、今までは見えなかった世界が見えてくるかもしれません。

まずは期限を決めて資金を貯めると言いましたが、ここで注意点があります。まだ何者でもない時期は、関わる人によって今後の人生が左右されます。自分をしっかり持って、人に流されず、毎日自分の目標だけを考えて仕事をするのです。
例えば、夜の繁華街などでのアルバイトは、普通の生活をしていたら出会えない地位の方と出会える機会が増えます。それを人脈作りになると勘違いする人もいるのですが、地位がある人、著名な人は、娯楽としてそのお店にきているわけで、どんなにその世界で仲良くなったとしても、人脈にはカウントされません。
その人たちと同じステージにいるという錯覚になり、勘違いした脳になることがいちばん怖いのです。 夜の街では見たこともない男女が、昼は芸能関係をやっていると自信満々に言いがちです。そういう人のようにならないためにも、まずは、自分は何ができる人間なのかを確固たるものにしましょう!


月収100万円になれば景色が変わってくる

「投資」と「消費」という言葉があります。私はそれを、それぞれ「生きているお金」「死んだお金」と呼んでいます。株や不動産投資は生きているお金。どんどんお金を生み出してくれます。別荘を買うとか、高級外車やブランド物を買うのは、死んだお金。そこから新たにお金は生まれないけれど、自分の欲だけは満たしてくれます。
ただ、一方的に「死んだお金」が悪いという単純な話ではありません。私は、どちらのお金もバランスよく使っています。余裕がなければ趣味に使えないし、ほしい物も買えない、投資もできない。節約も大事ですが、欲があるからこそ稼ごうという気力に繋がります。
逆に、「こんなにたくさんの税金を納めるのは憂鬱だなあ」「税金を払うために仕事をしているみたいだなあ」と、ネガティブな気持ちになった時期も過去にありましたが、納税は国民の義務で、絶対に納めなくてはいけません。それなら、そんなことも気にならないくらいもっともっと稼ぐにはどうしたらいいか、とネガティブな気持ちをポジティブなエネルギーに変換していくことが大事だなと気づきました。

もちろん私も、はじめから今の収入があったわけではありません。手取り15万をクリアしたら、次は30万、50万、80万、100万と、少しずつステップアップしてきました。そして、100万稼げるようになったら次は300万、その次は500万、1000万と、どんどん自分の中での目標を高くしていったのです。
常に現状に満足せずに自分を奮い立たせる、そして、失敗したらリセットボタンを押す。失敗で経験した知識を鎧にし、また1から戦いに出かけるのです。人生その繰り返しですね。

私の温度感では、手取り15万円の時代から80万円になるときが一番苦労しました。試行錯誤して自分の武器を模索していた時代です。そのミッションを乗り越えたら、その先は頭の使い方次第。本当に自分の武器を知りブランディングできるようになると、トントン拍子に物ごとが進む気がします。

ケチになるな。お金は使わなければ入ってこない

お金と時間の使いどころを間違えている人ってけっこう多い気がします。働く女性の場合、仕事、家事、育児、全部を両立するのは難しいというけれど、少なくても家事は外注できます。日本では家事をプロに外注するという選択肢をいけないことのように考えている人が多い気がします。自分でやればお金がかからずタダで済む掃除や洗濯 を、わざわざ人に頼んでお金を払うなんてもったいない、それこそが主婦の仕事だ!と思っている方もまだまだ多いのではないでしょうか。
でも、例えば1時間1,500円の家事代行を3時間頼んで掃除や洗濯をしてもらえば、その時間を仕事にあてられるし、部屋は自分で掃除するよりもピカピカ になります。1時間1,500円でも高い、そう思いましたか? そんなときに思い出してください! そう、自分のドリーム時給!(笑) 4,500円で家事代行を3時間頼んだ方が、 断然お得です。
同じことが、交通費にもいえます。タクシー移動を贅沢という人も多いですが、車内で電話打ち合わせができたり、メールを返したり、資料に目を通したり。移動時間も仕事ができると効率がよく、ムダどころか逆に利益を生むことになります。

最近、こんなことがありました。私が経営している『東京美髪研究所』で、美容師のスタッフが使っているワゴンのひとつが壊れてしまいました。  そのスタッフはいつもお店全体の売上のことを考えてくれる優秀なスタッフなのですが、ワゴンは自分が壊してしまったので、時間が空いたら自分で直そうと考えていたそうです。そのため、一時的にガムテープを貼って営業していたのですが、 繁忙期だったということもあり、1週間くらいそのままの状態でした。
私は、そのスタッフの節約したいという気持ちはとてもありがたいけれど、目先で考えずに広い視点で物事を考えるように、と注意しました。新しいワゴンを買えば2~3万円で済みますが、そのお金をもったいないと言ってガムテープを貼って補強したワゴンで営業をするのは、高いお金を支払って来てくださっているお客様がいるサロンには不釣り合いです。
せっかく優雅な気分に浸りに来てくださっているお客様がガッカリして次から来店されなくなるかもしれないし、テープがはがれて壊れたところを万が一お客様が触ったら、ケガをさせてしまうかもしれない。そのスタッフだって使いにくくて、営業のパフォーマンスが下がってしまうかもしれない。目先の損失を考えた結果それ以上の損失が出てしまうかも、という想定をできる人になってほしいのです。

とにかく、「自分でやればタダなのに」という考えはなるべく捨てましょう。


PROFILE
住谷杏奈(すみたに・あんな)
【写真】

1983年2月1日生まれ。2006年にお笑いタレント・レイザーラモンHGさんと結婚し、2008年に男児、2011年に女児を出産。夫のケガを機に商品開発をはじめ、実業家としての才能も開花。美容の知識を活かしたプロデュース商品で次々とヒットを生み出す。現在は、実業家、タレントとして活動。

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