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科学が証明! 植物由来の代替食品が人間と地球の味方である理由

  • 2023.6.14
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気候危機に対してどれほど早急に対応する必要があるのかという疑問があるとすれば、最近の熱波はイギリスで観測史上初の最高気温(ヒースローで40.2°C)を記録し、火災が住宅や農地を襲ったことも、私たちへの恐ろしい行動喚起となった。

ある研究によると、2100年の地球の平均気温は現在よりも1.1〜5.4°C上昇する可能性がある。これは、人間活動によって発生する温室効果ガスが地球に熱を閉じ込めるためであり、世界中の生息地や人々(特にもっとも脆弱な人々)に計り知れない影響を及ぼす恐れがあるという。

気候変動に取り組むためには、できるだけ多くの人の助けが必要であることは間違いない。そして、企業(特に、エネルギー企業)が気候変動を逆転させるうえで果たすべき最大の役割を有していることは否定できないけれど、地球への個人的な影響を減らすためにできることはたくさんある。二酸化炭素排出量を削減する1つの方法は? なにを食べ、その食料はどこから来ているものなのか気に留めること。

概して言えば、植物(プラント)ベースの食事は地球への害が少ない(常にそうとは言えないケースもある)。食糧生産は気候変動の主な原因であり、生産される温室効果ガスの60%は畜産から発生している。興味深いことに、新たな研究では、肉や乳製品に代わる植物由来の代替品(代替肉や代替ミルク)は、動物性食品よりも環境と人間のウェルビーイングの両方に優れていることが示唆されている。

『Future Foods』誌に掲載されたこのレビューでは、植物由来食品の環境と健康への影響に加え、それに対応する消費者行動に関する43件の研究が調査された。結果は上述した通り。主にヴィーガンのホールフードで構成される食事がもっとも理想的だが、植物由来の代替品は、動物性食品の風味や食感を模倣する傾向にあるため、肉や乳製品の需要を減らすうえでより効果的な対策を提供できることがわかった。植物由来の代替品を摂取する人の90%は肉食者かフレキシタリアン(柔軟なベジタリアン)であることから、肉や乳製品を食べているかのような感覚を再現することが重要だという。

でも、植物性食品を栽培するには、動物性食品を生産するのと同様の資源が必要になるのでは? その答えはNo。このレビューによると、牛肉のハンバーガーに比べて植物由来のハンバーガーは、温室効果ガスの排出量が最大98%少ないことがわかっている。なぜなら、動物性食品を生産するには、より多くの農地とより多くの水が必要であり、より多くの汚染を生み出すから。実際に、ドイツの牛肉の消費量のわずか5%をエンドウマメのタンパク質に置き換えるだけで、年間800万トンもの二酸化炭素排出量を削減できることが研究者によって明らかにされている。

「植物性食品は、消費者が求める3つの重要要素である味、価格、利便性をアピールすることで、動物性食品からの需要を引き離すことができるとみています」と話すのは、この報告書の著者であり、バース大学のクリス・ブライアント医師。また、プラントベース食への切り替えによって恩恵を受けられるのは、地球だけじゃない。「このレビューは、温室効果ガスの排出、水利用、土地利用の点で、動物性食品よりもはるかに持続可能であるうえ、植物性の代替食品には広範囲にわたる健康上の利点があるという確かな証拠を示しています」

植物由来の代替肉が健康に与える影響について調査した結果、イギリスの栄養プロファイルモデルに基づき、「健康に劣る(less healthy)」と分類されているものは、植物由来の代替肉が14%に対し、従来の肉製品は40%であることを研究者たちは発見した。これは、食品生産者が植物由来の食品に栄養価を高める成分を加えられるからだと考えられている。とはいえ、栄養学的に言えば、植物由来の代替食品が動物性食品を完全に取って代わることができるようになるのはまだ先のこと。

「植物性食品の生産者はここ数年で信じられないほどの進歩を遂げてきましたが、味や食感、調理法を改善できる余地は多大にあります」とブライアント医師。「栄養特性を改善するために、ビタミン含有量を増やすなどして、材料や製造工程にさらなる革新をもたらすことができる可能性もあるとみています」

では、週末はステーキの代わりにビヨンドバーガーを食べるべき? まずは、食生活を変える際に心に留めておくべきことがたくさんある。例えば、健康状態や、食品の入手しやすさ、価格の手頃さ、実用性など。地球にとってより持続可能な方法で食事をしようと思うのであれば、まずは週に1日、植物ベースの食事(植物由来の代替食品、または純粋なホールフード)を食べることから始めて、様子をみていくといい。目的は、地球への影響を最小限に抑えるために最善を尽くすことであるけれど、気候変動の取り組みにおいて私たちにできることは、人それぞれが大きく異なることも忘れてはならない。 ※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。Text: ABBI HENDERSON Translation : Yukie Kawabata

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