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廃止と改悪の続出で株主優待に逆風が吹く中、お金の専門家が「これだけは」と厳選した優待2銘柄

  • 2023.6.14
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株主優待は投資家の楽しみの一つだが、最近は廃止や改悪をする企業が相次いでいる。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏さんは「株主優待に逆風が吹いているとも言えますが、そんな中で買っておきたい2銘柄を厳選しました」という――。

吉野家 新大久保駅前店
※写真はイメージです
株主優待に逆風。廃止や改悪などが相次ぐ

自社商品や買物券、お食事券などがもらえる株主優待銘柄は、個人投資家に根強い人気を誇ります。

しかし、突然の優待廃止や改悪も少なくなく、その場合には、大きなショックと、株価暴落による損失のWパンチを受けることになります。

とくに近年では、そんな優待廃止・改悪の傾向が強まっています。

そんな中、私の保有する優待銘柄も、ここ最近、次々と優待廃止・改悪となり、あらためて、株主優待投資についていろいろと考える機会となりました。

そして、そんな優待逆風の中でも、いや、逆風の中だからこそ、自信をもって持ち続けたい優待銘柄があることに気付きました。

そこで今回は、優待銘柄の「矛と盾」と言ってもよい、大本命の2銘柄を紹介したいと思います。

優待廃止銘柄は株価も下落する可能性大

昨年8月、「いきなり!ステーキ」で一世を風靡ふうびしたペッパーフードサービスが株主優待(年間2000円分の優待券)を廃止しました。

この突然の廃止は、店舗名をもじって「いきなり!優待廃止」とも揶揄され、格好のネタにもされました。

そして今年2月には、「香の川製麺」を運営するフレンドリーが優待(年間2000円分の優待券)を廃止。

こちらは昨年3月に優待を復活させたばかりだっただけに、「1回で終わりかよ」と、多くの投資家を失望させました。

※当記事においては、各社の優待内容は100株保有の場合。

私自身、いずれも楽しみに保有していた銘柄だったので、残念でした。

そして、いずれも優待廃止発表直後に株価は暴落し、その後も低迷、現在、株価は廃止前の半額にまで落ち込んでいます。

ただ、両社とも業績・財務状態は厳しく、不安定な経営状態ゆえに、ある程度は、優待廃止の覚悟はしておりました。

それよりも大きなショックだったのは、同じ外食優待でも、「吉野家」や「すかいらーく」の優待改悪でした。

人気の優待銘柄、吉野家、すかいらーくも改悪

牛丼でおなじみの「吉野家」、大手外食チェーン「すかいらーく」も、有名な優待銘柄です。

かつては、いずれも年間6000円分の優待券・カードと優待額は大きく(優待利回りも高く)、絶大な人気を誇っていました。

また、同じ外食企業でも、前述のペッパーフードサービスやフレンドリーと比べ、企業としての知名度・規模・体力は雲泥の差で、その安定感の違いは歴然です。長年続いている株主優待の実績も申し分なく、(私も含め)多くの投資家は、安心して保有していました。

それが、吉野家は2021年10月、すかいらーくは2020年9月に優待変更を発表し、いずれも年間4000円に減額(改悪)となったのでした。

優待廃止でないだけマシとはいえ、これは大きなショックだったわけです。

このように、優待銘柄として安定の人気・実績を誇る大手企業であっても改悪するくらいに、今、株主優待には逆風が吹いているのです。

企業が株主優待を廃止、改悪する理由とは

昨今、「株主間の不公平解消」「配当金への注力」などといった理由から、株主優待の廃止・改悪が相次いでいることは、以前の記事でも書いたとおりです。

実際、私の保有する優待銘柄も、ここまで挙げたペッパーフードサービス、フレンドリー、吉野家、すかいらーく以外にも、次々と廃止・改悪となっております。

たとえば、オリックスの優待廃止(2024年3月末で廃止予定)。

これは超人気優待だっただけに、優待投資家の間でも大きな衝撃が走りました。

3年以上継続保有でグレードアップする「カタログギフト」優待だったのですが、私はようやくグレードアップした矢先だったので、それも含めて非常にショックでした。

また、東京個別指導学院の優待(図書カード等から選択)は、優待利回りが高く、非常にお得だったのですが、こちらも今年から廃止となりました。

その優待廃止によるショックと損失もさることながら、その親会社であるベネッセホールディングスも保有しているので、そちらの優待は大丈夫なのか……と心配は尽きません。

優待逆風のいまこそ持つべき2銘柄

正直言って、これまでは優待廃止・改悪にもどこかのんびり構えていた私でしたが、ここ最近の、あまりにも度重なる保有銘柄の優待廃止・改悪に、「これは真剣に考えないと、ヤバいぞ」と危機感を持たざるを得ません。

また、FPとして、これまでさまざまな優待銘柄を(わりと軽々しく)紹介していたのですが、それについても、それは本当に勧められる銘柄なのかと、考え直すようになりました。

すなわちFPとして、そして優待投資家として、あらためて、株主優待の意義についてなど、いろいろと考えるのでした。

そしてたどり着いたのが、大手総合スーパーのイオンと、大手百貨店の高島屋の2銘柄。

優待逆風の中でも、いや、逆風の中だからこそ、今、持つべき優待銘柄の大本命として、自信をもって紹介できる、数少ない銘柄でもあります。

もちろん、私自身、この2銘柄については、自信をもって持ち続けています。

イオンと高島屋、株主優待の共通点とは

イオンの優待は、オーナーズカード。

半年ごとに、イオンでの買上金額(上限100万円)の3%キャッシュバックを受けることができ、これは毎月20日・30日のお客様感謝デー(5%割引)とも併用できます。

普段からイオンで食料・日用品等を買っている私は、この優待には、かなりお世話になっています。

イオン札幌店
※写真はイメージです

半年ごとのキャッシュバックは1万円を優に超えることもあり、イオンのサービスカウンターにて手渡しで受け取る現金は、密かな楽しみとなっています。

高島屋の優待は、株主様ご優待カード。

会計時のカード提示で、高島屋での買物(半年ごとに上限30万円)が10%引きとなります。

高級品を買うことなどめったにないですが、デパ地下で総菜やスイーツはちょくちょく買っており、また、書籍も10%引きとなるので、本を買うことが多い私は、積み重ねれば、高島屋では、けっこうな額を使っています。

結果、多い時だと、月に3万円程度は使っているので、年間で2万~3万円もの割引を受けている計算です。

そんなイオンと高島屋の優待ですが、その共通点は、いずれも「割引優待(※)」であることです。

※キャッシュバックも割引の一種と解釈

優待で買物券や食事券を配る企業の株価は危うい

ところで、株式投資とは、その企業を「応援」することでもあります。

そして、株主優待とは、そんな応援してくれた人の気持ちに応える、企業の心意気のようなもの。

ちょっと青臭い表現ですが、企業と株主、そんなお互いの信頼で成り立つような関係こそ、一つの理想と言えるでしょう。

しかし、その株主優待が、買物券や食事券のような、いわゆるタダ券の類の場合、応援というよりも、「タダでお得だから」「うまく利用してやろう」と、優待目的のみの株主が一定数いることも事実です。

それも一つの楽しみ方ですから、それが悪いこととは言いませんし、私自身、保有銘柄によっては、優待目的のみだったりもします。

ただ、そのような(企業自体に関心はなく、優待目的のみの)株主が多いと、株価は脆いものです。

また、そのような(一見、魅力的なタダ券の類の)優待は企業の負担が大きく、廃止・改悪のリスクも大きいのです。

株主にも企業にもメリットのある理想的な優待

その点、割引優待であれば、その優待を活用するには、お金を出して商品を買うこと(飲食をすること)になるので、企業の売り上げにしっかり貢献します。

つまり、「買って応援」ですね。

しかも、割引優待の効果で、株主は「多くのもの」「高いもの」を買ってくれる可能性も高く、それは企業にとっては大きなプラスです。

当然、割引優待をたくさん活用するほど、その割引額も大きくなり、株主もうれしいわけです。

これこそ、株主優待を通じた、企業と株主との、一つの理想の関係ではないでしょうか。

そして、そのような割引優待であれば、(企業にとって大きなメリットがあることから)廃止・改悪リスクも少なく、安心して持てるはずです。

一般には、(いくらかは出費が伴う)割引優待は不人気ですが、実は、大いに注目すべきなのです。

イオンは「守り」、高島屋は「攻め」の投資

そんな割引優待ですが、もちろん、イオンや高島屋以外にも実施している企業はたくさんあります。

ただ、安心して持ち続けるには、株主優待だけでなく、その企業の将来性も大きなポイントなわけで、とくにこの2銘柄を選んだのは、その将来性もしっかり評価してのことです。

イオンは、国内首位級の大手総合スーパー。

景気の良しあしに関係なく、一定量の食料・日用品等は買わないと生きていけないので、スーパーはわれわれの暮らしに欠かせません。なので、全国展開するイオンは、もはや生活インフラといっても過言ではなく、いわゆる、景気に左右されない手堅いディフェンシブ銘柄としても有名です。

その意味では、「守り」の銘柄とも言えるでしょう。

それに対し、大手百貨店である高島屋は、「攻め」の銘柄と言えます。

なぜなら、高級品を多く扱う百貨店は、基本的には、景気が良くなれば売り上げは上がり、業績も向上するからです。また、コロナも落ち着き、インバウンド消費再来の兆しの中、その恩恵を大いに受ける銘柄でもあります。

株主優待を得つつ、しっかり守って攻める2銘柄、すなわちイオンと高島屋は、優待銘柄の「矛と盾」とも言えるでしょう。

優待のフル活用で投資資金は5年で回収できる

ちなみに現在の株価(100株単位)は、イオンは約28万円、高島屋は約20万円。

これは、割引優待をフル活用すれば(上限いっぱいまで買物をすれば)、イオンは5年、高島屋は3年程度で、元が取れてしまう計算なのです。

また、いずれの優待も、買物の割引だけではありません。

イオンでは、イオンイーハート(飲食店運営)やイオンシネマやなどで割引金額・優待料金となる特典もあり、高島屋では、高島屋各店で開催される有料催事(美術展など)に3名まで無料で入場できるという特典もあります。

そして、いずれも優待だけでなく、配当金もあります(イオンは年間3600円、高島屋は年間2800円/いずれも24年2月期予想)。

イオンや高島屋を普段からよく利用している人であれば、株主にならない理由はないのでは、と思うほどに、おススメしています。

藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。

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