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子どもの「なぜ?」は、すぐに科学の最先端まで行っちゃいます。柳田理科雄さんとだいすけお兄さんが対談【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・本誌編】

  • 2023.7.16

だいすけお兄さんが、パパやママの代わりにさまざまなジャンルの専門家からお話を聞く「だいすけお兄さんのパパシュギョー!」。kodomoe本誌で人気の連載を、webでもご紹介します。
kodomoe4月号のゲストは、マンガやアニメ、ゲームの世界を科学的な見地から検証する「空想科学読本」シリーズの作者、柳田理科雄さん。考察の根底に常にある「なぜだろう?」の大切さを、だいすけさんが直々に教わります。

子どもが科学好きになるために 親ができることはありますか?

子どもの「なぜ?」は、すぐに科学の最先端まで行っちゃいます。柳田理科雄さんとだいすけお兄さんが対談【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・本誌編】の画像1
「アンパンマン」の不思議を 科学で考察すると……?

「『ドラゴンボール』のかめはめ波を自分で撃つには?」「バタコさんがアンパンマンの顔を投げるスピードは時速144km!」など、真面目で愉快な考察の数々で科学を身近に感じさせてくれる、柳田理科雄さん。だいすけさんも早速一緒にかめはめ波修行(?)からの、対談スタートです。

だいすけお兄さん(以下だいすけ) 昔好きだったSFで少年がUFOで時空を旅する場面で、丸いUFOの先が尖って変形したんですよ。「えっ、なんで?」って不思議だったんですが、「空想科学読本」で「ウルトラマンがマッハ移動するなら、この形でないと危険」という図が、そのUFOと同じ形になっていて、「あっ、そういうことだったんだ!」って腑に落ちました。

柳田さん(以下柳田) それはとてもうれしいです。「なぜなんだろう?」ってワクワクを大事にしていると、いつか「そうだったのか」と謎が解ける。「空想科学読本」はその瞬間の役に立てばいいなあと思ってずっと書いているんです。

だいすけ まさにその経験者です、僕は。

柳田 それは多分、だいすけさんが「なぜだろう?」って思うことが当たり前のよい環境で育ったからではないでしょうか。子どもの頃、必ず「なんで?」「どうして?」という時期がありますよね。その子の世界観が形作られるときに、いろんなものが不思議に思えてくる。「なぜ?」と思えるのは人間だけ、動物やAIにはできないことなので、大事にしたいですよね。

だいすけ そうなんです。でも実際に親の側になると忙しくて、子どものなぜなぜ攻撃を全部受け止められないこともありますよね。

柳田 そう。たとえ「なぜ?」に答えても、次にまた「じゃあ、それはなぜ?」って。「風船はなぜ浮かぶの?」「空気より軽いものが入ってるからだよ」「なんで空気より軽いの?」って、もう化学、物理学の問題になって。さらにまた次の「なぜ?」を言われたら、ノーベル賞級の問いになっちゃう。子どもの「なぜ?」は、すぐ科学の最先端まで行っちゃうんです。

僕は子どもの「なぜ?」には、大人は正面から向かい合って答えるよりも、「本当、不思議だね」って、同じ方向を向いて「なぜ?」を成長させてあげる方がいいんじゃないかと思うんですね。

だいすけ なるほど、「なぜ?」を成長させてあげる。

柳田 はい、そうすると子どもたち自身が大きくなってから、「あっ、だからだったのか!」って思うときがいつか来るんですね。マンガ、アニメはもう謎の宝庫ですから、そこで感じたことを大切にするのがいいんじゃないかな。

だいすけ 確かに。僕も小さい頃疑問に思ったことって、直接解決してもらった記憶はあまりないですけど、多分親が同じ方向を向いてくれてたから、疑問が興味になっていったのかもしれないですね。大人に「よくそれに気づいたね」「なんでだろうねえ」って言われたら、子どもは疑問を持てた自分に喜びを覚えたり、それがプラスの方向に働きそうですよね。

正解を教えなくていい 「なぜ?」を親子で共有して

柳田 子どもは「なぜ?」とか「どうして?」と言っても、必ずしも「科学的な答えが知りたい」と思ってはいないかもしれないんですね。ただ一緒に、海の話や空の話をしたいだけかもしれない。「海はどうして青いの?」と聞かれたら、「海、本当に青いのかな?」って言いながら、海の動画や写真を探して一緒に見るとか、そういうのもいいんじゃないでしょうか。

海って、青だけじゃなくていろんな色をしてるんですね。浅い砂浜だと緑色だし、深海は真っ暗。「なんでこうなんだろうね」ってなぜなぜ大会をするだけでもいいんじゃないかという気がします。

だいすけ 確かに。答えの解決よりも、それを共有して楽しむことの方が、重要なのかもしれないですよね。

柳田 そう、「野球をしたい」って子どもが言うと、大人はどうしてもルールから説明したくなりますけれど、子どもにとってはきっとボールをポンッと投げてバットで打つだけでいい。空振りしたっていいんですよ。でも大人が「もっとしっかり脇を締めて」とか言い始めると、もう野球嫌いになる。普段の「なぜ?」も、それに近いんじゃないかと思うんですね。

だいすけ 子どもの「なぜ?」はすごく大切だけど、大人が肩肘張りすぎず、正面から答えを求めすぎずに、「なぜ?」の時間を一緒に大切にする。それがその子の一生の興味につながっていくんですね。

柳田 ええ。一人の人間の成長を考えると、家庭というのは種を蒔いたばかりの畑みたいなところですから。葉っぱや花がどうなるか、今は心配しなくていい、大人が土になって種の近くにいればいいのではないかと思うんですね。「ああしなさい」「これはいけない」という制限をなるべく減らせば、子どもは伸びやすい方に勝手に伸びていく、そんなふうに感じます。

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シュギョーのまとめ

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横山だいすけ
よこやまだいすけ/千葉県出身。NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」の歌のお兄さんを2017年3月まで最長9年務める。「子どもに良質の音楽を届けたい」という目標のもと、舞台、ラジオ、TVなど幅広く活躍。YouTubeチャンネル「横山だいすけチャンネル」も配信中。

Today’s Master

柳田理科雄さん
やなぎたりかお/1961年鹿児島県種子島生まれ。東京大学理科Ⅰ類を中退し学習塾を経営、そのかたわら著した『空想科学読本』が大ヒット。1999年に空想科学研究所を設立、現在は同研究所主任研究員、明治大学理工学部兼任講師。

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『ジュニア空想科学読本 25』
柳田理科雄/著 きっか/絵
KADOKAWA 770円

撮影/大森忠明 スタイリング/吉岡ちさと ヘアメイク/安藤千浪 編集協力/原陽子(kodomoe2023年4月号掲載)

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