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子育ては「待つ」だけで劇的に変わる 怒鳴らない育児法

  • 2023.6.12

2023年5月26日、伊藤徳馬さんの新著『子どもも自分もラクになる どならない「叱り方」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が発売された。伊藤さんが主催し、満足度98%を誇る子育て講座の内容を書籍化したもので、子どもの問題行動に怒鳴らずに対応する方法を練習することができる。

今回は、多数の対応法のなかから、子どもの反応を「待つ」ことに関する方法を紹介する。

「待つ」は、子どもを注意するときや催促するときに使うテクニック。特に、子どもが言うことを聞かない、反抗してきた、イラっとした、どう対応すればいいか困った、というときに役立つとされる。

やることは簡単で、とりあえずいったん指図するのをストップして、何も言わずに待つだけ。待っている間は無になっていてもいいし、「この後、どうやって話をしようかなあ」と考えてもいい。待つ時間は実際には数秒から数分になるが、この本の練習では「1から5までをゆっくり数える時間」を「待つ」としている。

この「待つ」ことには、いくつかお得な効果がある。まず、子どもに「気持ちを切り替える時間」を与えることができる。子どもは、親の言っていることが正しいとわかっていても、心や行動を切り替えるのに時間がかかってしまうことが多い。そんなときは、自発的に親のいう事を聞くまで待って、その行動を褒めた方がいいとされる。

また、親の側は、子どもへの対応を考える時間をつくることができる。子どもを叱るときは、結構速いテンポで会話を進めてしまい、途中で「別の言い方をした方が良かったかも...」と思っても、自身の勢いを止められずに突き進んでしまう場合がある。だが、子どもとの会話の中で、「堂々と会話をストップさせて無言で待つ」という行動が取れれば、親の対応にも余裕が生まれるという。

具体的に、どのように会話の中で子どもを「待つ」のか。本書には、実際の会話を踏まえた次のような会話例が載っている。

ママ「帰るよ」
太郎「(ママをチラッと見て、おもちゃに視線を戻す)」
ママ【待つ】(しょうがないなあ。1、2、3、4、5。さて、何て言おうかな)
ママ【気持ちに理解を示す(共感)】「まあ、まだおもちゃを見たいんだよね」
ママ【代わりの行動】「もう帰る時間だから帰るよ」
太郎「いやだ」
ママ【待つ】(1、2、3、4、5。帰ったらごはんは何をつくろうかなあ)
ママ【代わりの行動】「はい、じゃあ、そろそろ帰ろう、手をつなぐよ」
太郎「............。しょうがないなあ」(ママのところに来る)
ママ【ほめる】「おお、わかってくれてありがとう!」

大声を出したり、脅したり、叩いたりしなくても、「待つ」を有効に使うことで、「親の譲らない姿勢」を示すことはできる。「優しくする」か「厳しくする」の二元論になりがちな子育て論とは一線を画した、実用的な内容の1冊だ。

【目次】
はじめに
第1章 まずは基本から――5つの基本カード
1 代わりの行動を教える――「~してね」
2 一緒にやってみる――「一緒にやってみよう」
3 気持ちに理解を示す――「~だよね。わかるよ」「~なんだね」
4 環境をつくる――キョリ・メセン・シゲキ
5 ほめる――「~できたね」
6 基本カードの確認問題
第2章 カチンときてドッカーン!を減らせる――3つの逆転カード
1 待つ――「1、2、3、4、5」
2 落ち着く――「スーハー、スーハー」
3 聞く・考えさせる――「何があったの?」「次からはどうすればいい?」
第3章 楽しい総合練習!
1 逆転! 青カードでの対応
2 大逆転! 赤カードからの切り替え
第4章 自分の家の出来事に当てはめる練習

■伊藤徳馬さんプロフィール
いとう・とくま/民間企業を経て、2004年に茅ヶ崎市役所に入庁。2007年から子育て相談・児童虐待担当になり、2010年に子どもへの対応方法を練習する講座を事業化。その頃から「市町村の児童虐待対応」や「簡易なペアレンティングの講座展開」などのお題で講座・研修講師をするようになる。現在は、福祉の総合相談や計画を担当する部署に所属。プライベートの活動で、子育てを練習する講座「ちはっさく」を一般向けに実施したり、講座を実施する仲間を増やしたりしている。現在、神奈川県、埼玉県、千葉県、鳥取県の十数か所の自治体・民間団体が「ちはっさく」を事業化しており、今後も増加する予定。著書に『子どもも自分もラクになる どならない練習』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

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