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ティモンディ前田裕太「”暇”ってなんですか?」【僕のあまのじゃく#91】

  • 2023.6.11

僕のあまのじゃく#91

ティモンディ前田裕太さんの人気コラム【前田裕太の乙女心、受け止めます!】がリニューアル。

◁◁

ガラリと雰囲気を変えて、毎週変わるお題に沿って、前田さんに自由に言葉を紡いていただくフリースタイルエッセイ【僕のあまのじゃく】をお楽しみください♡

前田裕太(まえだ・ゆうた)
PROFILE:1992年8月25日、神奈川出身。グレープカンパニー所属のお笑い芸人ティモンディのツッコミ、ネタ作り担当。愛媛県の済美高校野球部に所属した同級生・高岸宏行が相方で、2015年1月に結成。2人の野球経験を活かした『ティモンディベースボールTV』の登録者数は23万超え。ar web連載『僕のあまのじゃく』では、フリースタイルエッセイを毎週お届け中。

テーマ:暇つぶし

暇という概念が分からない。

一般的には仕事や用事が終わって、特段やることがない時間のことを暇だというのだろうか。
肉体と精神を共に持て余してしまう状態を指すと考えてもいいだろう。
言葉の定義を調べてみると、働かなくてもいい自由につかえる時間のことを言うらしい。
自由につかえる時間と言えば聞こえはいいけれど、暇って良い意味で使うことは少ないだろう。

一人で完璧な人間なんて存在しない。
心の問題を自分で解決なんてできる訳もない。
暇だなあと心と身体を持て余してしまっている状態も、世の中には解決してくれる手段が沢山あることを知らない人間が多くいる。
絶対に、誰でも熱中できるようなものは世の中に転がっているのだ。
人生とは、その熱量を向けられるものと出会う旅ではないだろうか。

1時間あれば本屋に行って小説などを見繕えるし、もう少し余裕があれば映画も見れる。
お笑いライブを見に行ってみるのもいい。
ジムに行って身体の錬磨に励むこともできれば、自転車で周囲を徘徊しても良いだろう。
お笑いライブを見に行ってみるのもいいと思う。
カメラを手に心に留めておきたい風景を撮るのもいい。携帯の画素数が格段に向上している今日では、この手の趣味も容易だろう。
ティモンディのお笑いライブを見に行ってみるのもいいのではないだろうか。
衣食住と人が生きるのに必要な要素のうち、衣や食の質を向上させることも比較的手軽にできる暇つぶしになる。
ギターやピアノなど演奏技術の習得に努めてもいいし、ティモンディの出ているテレビを視聴するのもいい。
世の中には、いくらでも面白いと思っているものが転がっている。
あちこちに転がっているそれらを、手にとっていけば、熱中する何かに出会えるかも知れない。

私は生き物だから死ぬ。
そして、二度と生まれてこない。

だから、暇だと思って何もしていない時間ですら、意義があると思う。

暇も生きる上で必要な時間。
ジャンプをする時にしゃがまなければ高くへ飛べないように、いつか情熱を向けるものと出会えた時のために心のエネルギーを貯める時間だと捉えることもできよう。

電車に乗ると、手持ち無沙汰になる人が多いのだろう、暇潰しに携帯をいじっている人が多い。
乗車している人たちが何をして、その手持ち無沙汰な時間を過ごしているのかが気になってしまう私は、電車に乗ると車内にいる人を観察しているのだけれど、大体は携帯いじいじ。
アプリでゲームをしている人や、何かの記事を読んでいる人も多い。
寝ている人も多いのだけれど、大体は各自が時間を有効活用している。
ぼーっと車窓から見える景色に目を向ける人なんてほとんどいない。
時間の過ごし方に優劣なんてないけれど、隙間時間を利用して何かを詰め込んでいる人が多い気がする。

葛飾北斎が絵の中で余白を用いたように、余白があるから映えるものがある。
心もそういう面があると思う。
暇という余白があるからこそ、自分の心の中に何か大切なものを入れた時に、より映えて思えるし大切に思えるのではないだろうか。

人生を豊かにするのは、時間の中に何かを詰め込むんじゃなくて、暇や余白があってこそ。
暇は潰さずに大切に愛でていくのがいい。

ー完ー

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