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ガチの猫好き芸人・岩井勇気が選ぶ、『ハライチのターン!』ネコちゃんニュース傑作選10

  • 2023.6.10
ハライチ・岩井勇気

「猫を愛していない、商売にしようとしている人はすぐわかりますよ」

「猫の間で話題になったニュースを、人間の僕が代わりに伝えているだけなんです」

岩井さんは至って真面目だ。彼はコンビで担当するラジオ番組の中で、猫のためのニュースコーナーを持っている。番組の“調査猫”が世界各国の猫たちから収集・選定したホットニュースを、毎週欠かさず報道し続けているのだ。まずは岩井さんの記憶に残るトピックを伺った。

〈2021年1月28日放送回〉これまでなぜ猫がマタタビを好きかは謎でしたが、ついに解明されました。岩手大学などの研究チームによると、マタタビの葉に含まれる「ネペタラクトール」という成分が、嗅いだ猫に体をこすりつけたり転がったりする行動を起こさせるということです。この成分には蚊除けの効果があるとのこと。茂みに隠れて獲物を狙うネコ科動物が蚊から身を守るため、マタタビを利用するよう進化した可能性もあります。
〈2020年12月17日放送回〉世界で愛されるアニメ『トムとジェリー』の実写映画が公開されることがわかりました。この映画はアニメの世界からそのまま飛び出してきたトムとジェリーが、現実の世界で大暴れする内容。ジェリーがニューヨークの高級ホテルに引っ越すところからいつもの追いかけっこが始まり、ホテルで働く人間たちが巻き込まれていくそうです。

「(1)は猫界を震撼させた最新の研究結果です。猫がぶっとぶために使用していたマタタビに、まさか蚊除けの効果もあったとは。(2)はアニメ好きとしては実写化に反対したいところ。所詮2次元キャラの可愛さに3次元は敵わないんです。あ、でも猫だけは2次元よりも実物の方が絶対かわいいんだよな……」

どうやら岩井さんにとって、猫はこの世で2次元に対抗できる唯一の存在のようだ。

〈2020年11月19日放送回〉タイからのニュースです。チェンマイに住む男性の飼い猫が突然姿を消しましたが、3日もしないうちに飼い主の元へ帰ってきました。しかし、ある問題が発生しました。実はこの猫、魚屋さんに並んだサバに釘づけになり、店主から3匹ほどもらったそう。その代金の請求書が猫の首元にぶら下げられ、ツケを作って帰ってきました。無事に戻ってきたのはいいことですが、借金をしての帰宅とはいいご身分です。
〈2020年4月30日放送回〉アメリカ・インディアナ州のローカルニュースで、お天気キャスターのジェフさんが自宅からリモート出演の際に飼い猫のベティちゃんを抱っこして画面に登場。そのまま天気予報を伝えたところ、「ベティが可愛すぎる!」「最高の天気予報!」と、大きな話題を呼びました。人気者になったベティちゃんはそれからも番組に出演しており、天気予報に興味なさげに毛づくろいをしたりと愛らしい姿を見せているそうです。

「(3)はタイのニュース。ツケで魚を食べるなんて、粋な美食家みたい。(4)はアメリカから。これ、話題作りに猫を利用している可能性もありますよね。猫が数字を取れるという思惑は撲滅したいです」

猫のコンテンツ力は世界で通用する。その影響力を利用して人間が数字稼ぎをしようものなら、許すわけにはいかない。

〈2019年12月19日放送回〉カシオ計算機は、古くから福を招く縁起物として愛される招き猫をモチーフに、身に着けている首輪の赤、前掛けの緑、鈴の金のカラーを取り入れた耐衝撃ウォッチ《G−SHOCK》の「MANEKINEKO」を発表しました。点灯時に浮かび上がる招き猫のイラストなど、随所に猫や小判のモチーフをあしらうことで令和最初の新年の幕開けにふさわしい心躍る時計になっているとのことです。*現在は生産終了しています。
〈2020年8月6日放送回〉TBSラジオで2019年8月に放送された『猫のためのラジオ』の第2弾となる『猫様のためのラジオ』が放送されることが発表されました。パーソナリティは、前回に引き続きフリーアナウンサーの渡辺真理さんが務めます。今回は猫が好きな音を使ったオリジナルラジオドラマを制作したり、放送を聴いた猫の様子をTwitterに投稿してもらう企画などが予定されているそうです。*番組は2020年8月9日オンエア済み。
〈2020年7月30日放送回〉渋谷ヒカリエで『ねこがかわいいだけ展 ザ・ディスタンス!』の公式にゃんバサダーに、大の猫好きとして知られる『non-no』専属モデルで、お天気キャスターの貴島明日香さんが就任。「まさか今年、“にゃんバサダー”を務めさせていただくなんて思いもしませんでした!」と驚きと喜びを語った。〈2020年10月29日放送回〉『ねこがかわいいだけ展』がナンジャタウンでも開催。*現在展示は終了しています。


「(5)は企業が放送を聴いて現物を3個送ってきてくれて。でも、これでラジオで再度取り上げてほしいというお願いだとしたら広告費として安すぎませんか?ぜひ正式に番組のスポンサーになっていただきたい。(6)はこの番組もお世話になっているTBSラジオなのに僕が呼ばれていないし、(7)も僕にオファーがないのはおかしいです。僕はこの展示を観ているし(お母様と一緒に行ったらしい)、ナンジャタウンにも子供の頃から行っているんです」

そう、岩井さんは憤慨している。猫を扱う企画がある際は、ちゃんと番組に筋を通してもらいたい、と。

〈2019年2月14日放送回〉九州観光推進機構が、運営するフェイスブックのアカウントで、2018年に「いいね」の数が多かった投稿のランキングを発表しました。見事1位に輝いたのは、熊本県の南阿蘇村にある「免の石」で、「いいね」の数は2,319。もともとは崖の割れ目に巨大な石が挟まっていましたが、その石が熊本地震で落下。落ちてなくなった後の割れ目が猫に見えるシルエットになっていると紹介し、注目を浴びました。なお、現地を訪れるには案内人同行のトレッキングツアーへの申し込みが必須となります。
〈2017年1月26日放送回〉山口県の東南部にある周南市が、シティプロモーション推進事業として“しゅうニャン市”という愛称を広めるプロジェクトを本格始動。〈2019年4月25日放送回〉山口県周南市長選で、“しゅうニャン市”に関するプロジェクトの廃止を公約に掲げていた藤井律子さんが新たな市長に選ばれました。猫をイメージしたご当地プレートの交付などのPR活動を行ってきた同プロジェクトの廃止が決定したもようです。
〈2020年10月22日放送回〉南米ペルーの文化省が、2000年以上前に描かれたと思われる、「横たわっているように見える巨大な猫」の地上絵が見つかったと発表しました。全長約37mに及ぶ猫の地上絵は、観光施設のメンテナンス作業中に発見されました。ほとんど消えかけていたそうですが、保全作業を行い浮かび上がらせたそうです。地表の暗い色の岩を線状に取り除き、明るい色の岩を露出させることで描かれたものとみられています。

「(8)のように猫に見える場所は全国にいくつかあり、番組の聖地に認定しています。(9)はなんでも猫にあやかればいいわけではないという実例ですね。世間は猫の威を借りすぎです。(10)も猫人気に便乗したとしか思えない。猫に頼らないともはや観光客を呼び込めないのでしょう」

岩井さんの指摘は真っ当(⁉)だ。猫がブームとして消費されていく時流に警鐘を鳴らすのは、無類の愛猫家である彼が本当に猫のことを思っているからにほかならない。もちろん猫特集を制作する弊誌にも、その疑念の矛先は向けられる。

「この『BRUTUS』も、ちゃんと猫のために作っていますか?猫を利用して儲けようとしているだけなら、ネコちゃんニュースでしっかり断罪させてもらいますよ」

世間に媚びない「腐り芸」は猫の勇姿にも共通する

岩井さんの実家では溺愛している猫のモネちゃんが暮らしている。動物病院にあった里親募集のチラシがきっかけとなり、岩井家にやってきて早8年。今もモネちゃんのためにたびたび実家に帰るのだが、いまだに良好な関係は築けていないらしい。

「モネの順位付けでは、間違いなく家族の中で僕が最下位。いまだに僕だけ噛まれます。ボール遊びをしようとしてもちゃんと取ってくることなく、途中で捨ててくる。まるで“お前が取ってこい”と言われているようです。そういう従順ではない性格も好きなんですけどね」

テレビでは「腐り芸人」というポジションを築きつつある岩井さん。業界に媚びない姿勢は、どこかモネちゃんに通ずるものがありそうだ。

「自分で腐っているという感覚はないです。ただ自分に正直に、正論を言っているだけで。世間の評判よりも自分の価値観を大事にしたいんです。自由気ままで好き勝手しているという点では、たしかに僕は猫に似ているのかもしれません。逆に相方の澤部(佑)は完全に犬っぽいですね。アイツは人の価値観だけで出来上がっている人間なので(笑)」

業界内にもファンが多く独自のお笑いを貫く岩井さんと、世間への対応力が高く万人に愛される澤部さん。ハライチはまさに猫と犬とが組んだコンビのようだ。

「僕は猫が大好きだけど、まだ猫のことを理解できていない。だって飼い猫すら懐かせられないんですから(笑)。でも僕も熱狂的なファンの人は苦手なので、モネの気持ちはなんとなくわかるんです。やっぱり似た者同士なんでしょうね」

岩井さんの愛猫・モネちゃん
iPhoneはモネちゃんの写真でいっぱい。「猫仕事でほかの猫と接している時は心の中でモネに“仕事だから……”と懺悔しています。貞操観念が薄いと思われたくないので」
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