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自分の「時給」は自分で決められる│住谷杏奈

  • 2023.6.7

実業家・住谷杏奈さんの生き方から学ぶ、不確かな時代をサバイブするためのヒントを紹介する連載。3回目となる今回は、お金にまつわるお話です。
>>>前回の記事:専業主婦になりたかった私が年間売上50億の実業家になるまで(後編)│住谷杏奈

これまでプロデュースした商品の総売上額は500億円以上!
「自分の時給を設定することで、ムダな時間の使い方をしなくなるもの」と語る住谷さん。稼ぐためのお金と時間との向き合い方、付き合い方を学びます。

あなたの時給はいくらですか?

いわゆるサラリーマンとして働いている人は、手取り月収がいくら、年収がいくらかで他人と比較したり、勝ち組、負け組みたいな見方をされる方もいると聞いたことがあります。不況の今、物価ばかり上がって給料はそこまで上がらない。しかも老後に2000万円は必要と言われても、そんなの無理だよって思う人もいますよね。とにかく生きていくためにはお金は不可欠なのですが、私はお金で悩むことは 時間のムダだと思っています。もちろん私もお金で悩んだことはあります。でも、その悩んでいる時間にもお金は発生していてムダにしているということを、まず伝えたいのです。

仕事以外の時間の価値、自分の時給を上げることはできます!! 

「時は金なり」ということわざがあるように、時間とお金は同じように貴重なもので、浪費せず有意義に使うことが大切と言われてきました。このもととなっているのが、英語の「Time is money.」という格言です。時間はお金そのものであり、時間を損失することは利益を損失すること、という意味なんだそうです。だから、自分が使う1時間の価値を設定すれば、圧倒的に時間の使い方が変わるし、自分の価値も自然と上がっていくものです。 

贅沢三昧とかではなく、心が豊かになれる上質な暮らしをしたい。でも自分は今の稼ぎで十分、と考えている人は、この先の話は聞く必要はありません。向上心があり、今よりステージアップした生活をしたいと考えている人には、とてもオススメの方法があります。
それは、私が昔からやっている「ドリーム時給」をイメージして生きていく!という方法。今回は、そのお話をしたいと思います!

給与明細に数字で表記されている総支給額や差し引き支給額は関係なく、自分が今の仕事ではなくても、将来、この先努力をして稼ぎたい数字を思い浮かべてみます。実際にがんばれば稼げそうだなと思う額のだいたい5倍くらいのイメージかな。漠然と月に1000万円稼ぎたいなぁとか夢のような数字を出してみます。そこで自分の「ドリーム時給」を算出できます!

例:
月収1000万円÷30日=1日333,333円
333,333円÷8時間(1日行動できるだいたいの時間)=41,666円

この金額が、あなたの「ドリーム時給」です!

全ての行動に時給が発生しているからムダにできない

私は日ごろから、 「私は時給100万円だ」と頭の中でイメージして行動するようにしています。文章にすると、なんだか滑稽ですね(笑)。例えば、仕事関係の方にプライベートでランチに誘われたとします。その方は人の悪口を言ったり、自分のことを実力以上に盛って話をしたりする巷によくいるタイプの人で、私とは気が合わない人。仕事につながる話は会社で行えばいいという考えなので、私はランチをお断りします。

なぜこんな話をしたかというと、私は、自分が1時間働けば100万円だと思い込んでいるので、楽しくない時間を過ごしたり、自分が向上したりしない時間は1時間あたり100万円の損失なのです。自分が実際に100万円支払っているわけではないから損失じゃないじゃん、と思われるかもしれませんが、そういうことではなく、だったら、その1時間で新しい企画を練ったり、熱心なスタッフと打ち合わせをしたり、さらには家でゴロゴロNetflixを見て心を癒した方がパフォーマンスは向上するから、お金につながると思っています。
100万円稼げる時間をムダにしたから、100万円の損失なのです。仮にランチをしながらの打合せだとしたら、絶対に時給100万円以上のものを得て帰るという気持ちで臨みます。
ただ、私は、仕事は仕事、オフはオフと、分けて考えたほうがいいと思っています。食事をしながら、飲みながらというのは、なあなあになりがちです。日中アポをとって会社で真剣に打ち合わせをした方が、お互いにいい結果が生まれることが多いという経験上のお話です。

仕事の付き合い以外のことでもそうです。
苦手だなとかあまり楽しくないなあとか思う友人と遊ぶ時間でも言えることで、その時点でかなりの損失が生まれています。自分が心から楽しめる場所なら、そんなことは考えなくてもいいです。逆に、少しでも居心地が悪い場所なら、我慢する意味がありません。そこにいる時間でもっと心が満たされる有意義な時間に使わないと、その損失は決して小さくないものになります。

私も昔は八方美人だったので、よく友達の誕生日会ー!とか定期的な食事会ー!とかに顔を出していました。
でも、今考えるとそこまで仲良くもない人たちでした。誰かがいない所でその人の悪口を言ったり、私も実際陰口を言われていたり、そんな話をまた別の誰かから聞いたり……人生にそんなムダな時間ってありますか??
人の機嫌を取って顔色を伺って、自分の「時給」も損して。それってなんのプラスにもならないと、一切の付き合いを辞めたのが30歳くらいのときでした。それからは、本当に心から信頼できる数少ない友人とダラダラ他愛もない話をしたりするのが心地よく、広く浅くの関係より、せま~~~く深くの人間関係を好むようになりました。


「自分が時給100万円なんて思えない!」という人へ

私は、2009年からプロデュース業をはじめ、約14年間実績を積んできたので、次のステージアップに向けて恥ずかしげもなく「時給100万円」とイメージしていますが、自分にはまだ自信がない、何をして稼げばいいかわからないという人は、時給1万円でも3万円でもいいのです。公言するわけではなく、あくまで自分の頭の中でイメージするだけなので、金額の多寡が大事なわけではありません。
だけど、今頭の中で描いている5倍くらいの金額にしてくださいね。「ドリーム時給」なので! 夢のある金額を設定することで、ムダに過ごす時間がなくなり、キャリアアップのための勉強をしたり、新しいことを始めるための準備をしたりできるようになるもの。時間のムダ遣いをしないための金額設定と考えてみてください。
高級なお寿司をおごってあげるからという言葉につられて、苦手な上司と食事をすることも、自分の時給が4万円であればムダだと思って即答で断れるはず。理不尽な説教や昔の自慢話を聞きながら2時間も過ごすなんて、時給4万円のあなたにとっては8万円をドブに捨てるようなものなのですから。
自分で稼いで自分が食べたいものを自分で食べに行けばいいのです。

少し話はズレるけれど、私は昔から「自分のお金で食べられない(高級な)ごはんは一切口にするな」という考えなので、大学生の頃に高級料理につられてお金持ちたちとホイホイごはんに行く友人を、死んだ魚のような目で見ていました(笑)。上司でなくても、仕事につながりそうな人だから、人脈ができそうだからという下心でホイホイごはんに行く人も、時間のムダ遣いをしているなぁと思います。
自分が何者でもなければ、お金がある、地位がある人との食事、飲みの場ではどうしても立場が弱くなりますよね。仮にそこで仕事の話になったとしても、仕事とは関係のないムダな会話が半分以上を占めることでしょう。はい、それが損失です! だったら、無理に愛想笑いをして口角が痛くなるような飲みの場に使う2~3時間で、自分を向上させスキルアップをしたほうが、最終的によほど稼げる自分になると思いませんか?

人脈作りにかける時間とお金ほどムダなものはありません! 人脈を作る前に、自分のスキルを磨いて実績を作ることのほうが大切です。自分に実績があり、価値のある人間になれば、何もしなくても仕事のオファーは来るもの。人に媚を売らなくても、実績だけで評価されるのです。私も昔はいろいろな業界の人と会う機会を作っていたけれど、振り返ってみるとなんの役にも立っていなかったなって思うんです。自分が空っぽで何もなかったから。その状態で誰に会っても、舐められて終わるだけです。

 
タダ働きはしない。自分を安売りしない

誰かがお金を払ってくれるわけでもないし、自分が払うわけでもないけれど、自分が行動すること、労力にはお金が発生しているという意識があれば、ぞんざいな時間の使い方をしなくなります。完全なオフでも、その時間にだってお金が発生していると思えば思い切り楽しめるし、自分を十分に癒やしてあげることもできます。

稼いでいる人、成功している人は、時間の使い方が上手。それって、やっぱり「Time is money.」の考えがベースにあるんだなと思います。時間とお金をムダにしないし、労力に対する正当な対価を得る、という考えをしっかりと持っているから。
たまにSNSで、「ちょっとイラスト書いてよ、友だちでしょ」とタダで絵を描いてと頼まれた、というイラストレーターの話題が上りますよね。私も、同じようなことがありました。仕事で1回しか会ったことのない人から突然連絡があり、「杏奈さん、ちょっとお茶しませんか?」と言われ、行くと延々と仕事の相談をされたことがあります。相談だけではなく、ここの会社の誰々を紹介してくれなど、具体的なお願いまでありました。
仲のいい友達なら仕事抜きで友達としてのアドバイスはもちろん喜んでやりますが、私はコンサル業もやっているので、普段は正式に企業からお金をいただいて業務のアドバイスをしています。それを、知人だからといって世間話の延長みたいに考えている人がいるんです。そこで、よく思われたい、嫌われたくないという気持ちで、「いいですよ~」と安請け合いしてしまうと、自分で自分の価値を下げてしまうことになります。タダでノウハウを聞き出せる人と思われている時点で、私もまだまだダメだなと気がつけました。

得意なことだから、好きなことだから友人価格で、という風潮が日本にはあるけれど、それに対してNOと言える人にならないとダメです。起業をしたいと考えているなら、尚更です。まだ何も実績がないと無料でもいいとか、自分を安く見積もってしまいがちですが、労力に対する正当な対価はいただかないと、いつまでたっても時給、価値は上がりません!

もったいない精神が損をするときもある

私は事務所所属でグラビアアイドルをやっているときは全く売れなくて、イベントをやっても30人集まればいい方、というレベルのB級いやZ級アイドルでした。それが、事務所を辞めて主婦ブログをやったら注目されるようになって、それまで同じ土俵に上がれなかった元アイドルのママたちと肩を並べて雑誌やイベントに出演できるようになり、大きな仕事が舞い込むようにもなりました。

そのとき考えていたのが、自分の価値を上げること。商品の宣伝をすることで収入を得ていたのですが、最初はいただいた依頼はなんでも受けていたんですけど、そうするうちに自分も大変だし、どんどん消費されていって飽きられるって思ったんですよ。当時のことを「ブログバブル期」って呼んでるんですけど、バブルはいつかはじけちゃうものだから、長続きしないなっていうのも見えていた。だから、目先のお金よりも長い目で見て取捨選択するようになったんです。
例えば、ひとつの仕事をお断りすると、「では、この金額ではどうですか?」とギャランティがプラスされた提案を受けることがあります。そこで、私の価値が一段階上がるわけです。それでも難しいですとさらにお断りすると、「どんな商品ならいいですか?」と、また条件を提示できるチャンスをいただける。そうやって、自分の価値を上げていく術を身につけてきました。

私ってすごいでしょ?と言いたいわけではなく、この仕事を逃したらもったいないと思って目先のお金にがっつくのはやめたほうがいいということです。特に表に出る仕事は、むやみやたらに出るとどんどん消費されて、飽きられていくから。広告のお仕事はギャランティがいいので飛びつきたくなるけれど、「1年に1社しかやりません!」みたいなブランディングをすると、出演すると決めた広告主の会社の方は、「数ある中で弊社を選んでくれてありがとうございます」となって、私に対する評価、価値が上がる。断られた会社は、「来年はぜひに……」と、より高い金額を提示してくれる。
1年間で得られる収入は限られてしまうので損をしているように感じるけれど、3年、5年と長い目で見てトータルで考えると、どんどん自分の価値が上がって得られるものも大きくなっていくと思うんです。

当時、ブログランキングは上位だったけれど、私は決して人気者ではありませんでした。だけど、人気があるようにセルフプロデュースをしていたんです。「この仕事を受けないなんて、もったいない!」という考えを捨てたことで、自分の市場価値を高めることができました。

まだ何者でもない人は、自分の武器を見つけ、まずは実績をひとつでも残せるようになること。自分なりの時給を設定して行動すること。それが充実した時間の使い方につながり、お金を生むようになるのです。


PROFILE
住谷杏奈(すみたに・あんな)
【写真】

1983年2月1日生まれ。2006年にお笑いタレント・レイザーラモンHGさんと結婚し、2008年に男児、2011年に女児を出産。夫のケガを機に商品開発をはじめ、実業家としての才能も開花。美容の知識を活かしたプロデュース商品で次々とヒットを生み出す。現在は、実業家、タレントとして活動。

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