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「金縛り」ってそもそもなに? 原因と予防策も併せて解説!

  • 2023.6.7
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物心ついた頃から金縛りに悩まされているシャーロット・ルイス(31)は、その体験を「とても怖くて、私を疲弊させるもの」だと説明する。「落ちる感覚を感じた後に、体が麻痺して動かなくなります。本当に恐ろしいです。水中に引きずり込まれ、窒息死しそうな感覚に陥り、胸には圧迫感があります」

残念ながら、金縛りは7〜50%の人口が生涯に一度は経験すると言われている。だけど、世間ではあまり取り上げられない現象なだけに、適切な治療や診断を受けることなく、金縛りの原因や影響への対処に苦しんでいる人が大半なのだそう。今回は金縛りが起きる原因と5つの予防策を、イギリス版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

金縛りとは?

「金縛りは通常、身体の筋肉が完全に弛緩している睡眠からの覚醒時に起きる現象です」と説明するのは「スリープドクター」として有名なマイケル・ブレウス博士。

「この“睡眠麻痺”は、目を覚ました後にも夢を見るフェーズのレム睡眠が続くときに出現します。意識ははっきりとありますが、レム睡眠中に起きる特有の眼球の動きや呼吸パターン、心拍数、筋肉麻痺が数秒から数分にかけて続きます」とブレウス博士。

金縛りが起きるとどうなるの?

金縛りが起きている最中は、肺、心臓、目を除き、体が麻痺して完全に動かなくなる。「呼吸と周りを見渡すことはできますが、それ以外はほとんどできません」とブレウス博士。「恐ろしいですね。この現象は最大90秒続きます」

シャーロットはこのときの感覚を「体は眠っているのに脳だけが起きている」と説明する。「金縛りに合っていても物音は聞こえます。前にラジオを付けたまま寝たことがありますが、ラジオは聞こえているのに、体は動かせませんでした」

幻覚を見ることもある。「とくに恐ろしかった体験は今でも忘れられません。壁側を向いて横向きに寝ていると、誰かがドアノブを回し、私の寝室に入ってきたんです。荒い息を吐きながらベッドの側に立っていて、私は叫ぶことも体を動かすこともできず、なにもかもがリアルでした。何度経験しても、怖いものは怖いです」

「金縛りから解放されるには、膨大なエネルギーと努力が必要だと感じます。たまに体は動かなくても、手足の指を小刻みに動かすことができるんです。これが、金縛りから抜け出すうえで役立つことがあります。やっと抜け出せたときには、思いっきり息継ぎをするような感覚で、大きな安堵感に包まれます」

金縛りの原因とは?

「大半の人の金縛りの原因は、睡眠不足にあると専門家は考えています」とブレウス博士。睡眠が不十分な人や睡眠時間がバラバラな人(シフト勤務者など)ほど金縛りを経験する可能性は高くなる。これにはシャーロットも納得。夜遅くまで脳が活発に動いているときほど金縛りに合いやすかったと話している。

精神状態や睡眠障害の影響も大きい。ブレウス博士いわく、不安や心的外傷後ストレス障害、双極性障害を抱えている人や、ナルコレプシー、概日リズム睡眠障害、閉塞性睡眠時無呼吸などの睡眠障害を患う人も、金縛りに合う可能性が高いそう。

「特定の物質にも関連しています」とブレウス博士は付け加えた。「アルコールやアンフェタミン、抗うつ薬など、レム睡眠を減らす作用を持つ物質や薬剤を服用している場合は、それを突然中止した場合にレム睡眠が急に増加するため、金縛りを引き起こしやすくなります」

金縛りはどれくらい続くもの?

シャーロットは、とくに10代の頃が一番頻繁に金縛りに合っていた。「初めはなにが起きているのかわかりませんでした。眠りに就くのが怖くなり、その結果不眠症にもなりました」

「このことを母に打ち明けられたときは、母も金縛りに悩まされているので、自分だけに起きていることではないと知りほっとしましたね」

金縛りは予防できる?

『メディカルニュース』誌によると、ほとんどの人が一生に一度は金縛りを経験する。とはいえ、一度も経験しない人もいれば、人生の様々なフェーズで金縛りの引き金になるエピソードを持つ人もいるという。

金縛りの治療に有効だと考えられる薬剤はいくつかある一方で、薬物療法の有益性に関する証拠は限られているのが現状だとブレウス博士は説明する。

幸いにも、金縛りを防ぐ別の方法がある。まずは、睡眠を改善することから始めていこう。ブレウス博士による専門的なアドバイスは以下の通り。

就寝時間を守る

週末を含め、1週間毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きるようにしよう。

カフェインに気をつける

寝る前はカフェインの摂取量を減らすこと。眠りに就きにくくなるどころか、睡眠の質にも悪影響を及ぼしてしまうから。

夕食は早めに食べる

寝る前は食べ過ぎないように。就寝時におなかが空いたときは、軽めのスナックに留めておこう。

就寝前はリラックスして過ごす

就寝前に寛いで過ごす時間を設けておくと、ゆっくり落ち着いて寝る準備ができる。温かいお風呂に入ったり、読書したり、静かで心地よい音楽を聴きながらゆったりと過ごして。

トークセラピーを試してみる

金縛りに合いやすい人は、金縛りに関する恐怖や不安を軽減してくれる専門家に相談することで救われるかもしれない。根底にある精神状態に対処しながら、思考や行動だけでなく、睡眠習慣の改善にも焦点を当てた体系的なセラピーを提供してくれるから。

シャーロットは、自分にとって効果のある金縛りに対処する方法を学ぶことが重要だったと話している。「今は、金縛りの予防策として寝る前に思考し続ける脳をできる限り落ち着かせるようにしています。大抵は読書に集中して心配事や不安から気を紛らわせたり、YouTubeやHeadspace、ASMRを活用してガイド付き瞑想を聞きながら、思考を静かにさせています」 ※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。Text: AMELIA BELL Translation : Yukie Kawabata

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