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スタジオツアー東京がもっと楽しくなる!制作者ピエール・ボハナが語る、知られざる“杖”の制作秘話とは?

  • 2023.6.6

映画『ハリー・ポッター』や『ファンタスティック・ビースト』シリーズの制作の裏側を実際に体験できるワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッターが、遂に6月16日(金)開業する。それに合わせて、造形美術監督を務めたピエール・ボハナからのコメントが到着した。(フロントロウ編集部)

『ハリー・ポッター』で最も重要なアイテム“杖”の秘話をピエール・ボハナが語る

スタジオツアー東京では、映画『ハリー・ポッター』シリーズでもお馴染みのホグワーツ魔法魔術学校の大広間、ダイアゴン横丁、禁じられた森などのセットに実際に足を踏み入れ、衣装や小道具や魔法の生き物に出合いながら、映画制作の裏側を体験することができる。さらに、様々なインタラクティブな体験ができるエリアも。ホグワーツ特急の座席に座ったり、ホグワーツの廊下で動く肖像画になってみたり、また、観客としてクィディッチの試合を応援することもできる他、魔法使いの飲み物であるバタービールを楽しむこともできる映画ファンには堪らない施設。

まさに映画で観たあの“魔法ワールド”そのものがリアルかつ壮大なセットで再現されているが、それもそのはず。映画から長くこの魔法の世界を造り上げてきたピエール・ボハナが小道具制作ヘッドとして参加しているのだから。

ピエール・ボハナは、『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』全シリーズのほか、『ダークナイト』(08)、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)、『美女と野獣』(17)など多くの作品で小道具・模型・コスチュームなどの制作企画から運営までを責任者として任され、映画にとって重要な世界観そのものを造り上げてきたアーティスト。そんな彼が、『タイタニック』(97)でコンストラクション担当として参加したジョン・カーソップ、『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)から制作に関わり、その後『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)や『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(18)にも共同プロダクション・デザイナーとして参加したニール・ラモントら、誰よりも魔法ワールドを知り尽くしている一流スタッフたちとともに、スタジオツアー東京でも魔法の世界を手掛けた。

映画『ハリー・ポッターと賢者の石』でハリー・ポッターがホグワーツ魔法魔術学校に入学する際、ダイアゴン横丁で初めての魔法の杖を手に入れる。ハリーがダイアゴン横丁のオリバンダーの店で、自分にぴったりの杖が見つかるまで杖を手に取って試してみるシーンを覚えているファンは多いはず。魔法使い一人ひとりに個性があるように、杖にも使われている木などの材料などの違いから個性があり、さらに、杖は持ち主の性格や運命を反映すると言われており、魔法使いの人生において重要なアイテムとなっている。

画像: 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』より、ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』より、ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)

そんな魔法ワールドに欠かせない杖についてピエールは、「杖の面白いところは、杖が避雷針になることです。杖は魔法に焦点を当て、人々に魔法をもたらすものです。しかし、同時に、スタイルやセンスのポイントでもあるのです」と言う。「杖には、キャラクターに特化したものがあるので、とても人間的な部分があるのです。もし皆さんが杖を持っているとしたら、すでに持っているはずですが、それは“あなたの杖”です。その杖は魔法であるだけでなく、“あなた”についてのものであり、あなたが何を見るのが好きか、何が好きか、あなたの趣味と感情についてのものなのです」と、これまで映画に登場する魔法使いたち一人ひとりの人物像にフォーカスし、杖を1本1本デザインし造ってきた杖は、ただ魔法を出すアイテムではなくキャラクターや個性を表すものとしての役割も担っていると明かした。

また、ピエールは『ハリー・ポッター』シリーズの撮影秘話についても告白。「ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター役)は、幼いころはあまり意見がなかったと思います。しかし、ルシウス・マルフォイを演じるジェイソン・アイサックスのアイデアを取り入れています。彼は、ダンディで、ステッキに密かに隠すことのできる杖を望んでいました」。そう明かしたピエールは、「多くの俳優たちが杖に満足していましたが、俳優によっては、杖の種類を選んでもらうこともありました。ベラトリックス・レストレンジを演じるヘレナ・ボナム=カーターには、さまざまなアイデアで作られた杖の中から選んでもらいました。彼女はまっすぐ、巣のような、曲がったようなものを選び、その感触が気に入ったようでした」と、映画のセットにおいても杖はキャストたちと特別な関係にあったことに触れた。

画像: 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』より、ベラトリックス・レストレンジ(ヘレナ・ボナム=カーター)
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』より、ベラトリックス・レストレンジ(ヘレナ・ボナム=カーター)

「一方で、俳優の中には、たくさんのアイデアを持ってくる人もいました。アラスター・ムーディを演じたブレンデン・グリーソンもその一人で、杖に何を求めるかについて素晴らしいアイデアを持っていましたが、これは私の人生で最も危険なものでした。ダブリンの尖塔を模したもので、アルミかスチールの杖を作りました。とてもモダンな彫刻で、高さは300フィート(約91メートル)。先端に小さなスパイクが付いていて、とても鋭く尖っていますが、唯一曲がらないということで、鋼鉄を使いました。そして彼は一度だけ、撮影で使うことを許されたのですが、それ以来その姿を見ることはなかったです。誰も死ななくてよかったと思います(笑)」と、個性の強いキャラクターに溢れる『ハリー・ポッター』シリーズならではの、まさかの知られざる制作秘話も明かした。

画像: 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より、杖の1本を手にするアラスター・ムーディ(ブレンデン・グリーソン)
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』より、杖の1本を手にするアラスター・ムーディ(ブレンデン・グリーソン)

最後にピエールは、「すべての杖のデザインを見てみると、常にキャラクターに特化したもので、そのキャラクターを反映したデザインになっています。このような小道具は他にありません。そして、杖の素敵なところは、何度でも何度でも解釈し直すことができるところです。それは、その人自身のことなのです。だから、ここにいる全員が杖を持ったら、みんな違うものになるでしょうね」と括った。

スタジオツアー東京では、ぜひ制作陣&キャスト全員の想いが籠った杖のデザインも間近で堪能してほしい。魔法の世界を長年造り続けてきたピエール・ボハナが細部までこだわり抜いたセットの数々を、初めてみたとき心が躍った“魔法”が飛び出す瞬間を、胸を熱くさせた映画のシーンを思いだしながら、ぜひ一つ一つの展示物を細部まで味わってみよう。スタジオツアー東京はいよいよ6月16日(金)オープン。(フロントロウ編集部)

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