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俳優・坂口健太郎さん「31歳になって最近子供っぽくなった気がする」 【いま彼】

  • 2023.6.5

レディたちが気になる「彼」の本音に迫る『#いま彼を知りたい』。今回は、俳優・坂口健太郎さんのインタビューをお届け。「人と話すときは僕がまず壁を飛び越えちゃう」。その言葉どおり、コロナ禍を経た現在の心境や自分の性格について誠実に率直に話してくれました。

自分みたいなヤツと友達になるのはちょっと無理(笑)

出典: 美人百花.com

――前回、坂口さんが美人百花に出てくれたのはコロナ禍直前の2020年春。当時も穏やかで落ち着いた印象だったが、今回はさらに澄み切って、その分本来の魅力が濃厚になった感じ。この3年でどんな心境の変化があったのだろう。

「僕はあまりネガティブになって心がギスギスすることはないタイプなんです。でも、ここ数年はコロナと闘っているのか人同士が争っているのかわからなくなる感じがあって。そういうことに自分は意外と疲れてしまう人なんだなって気がついたことは発見でした。それと同時に無理やり人との距離感を空けられたことで、握手を交わしたりとか、直接会うことは大事だなって改めて思えた。あと一時期は仕事柄、ひとりでごはんを外に食べに行くのも気にしていたけど、最近はちょっと普通にやろうって心境になってきて。『当たり前を当たり前にする』というか、そもそもみんなそこまで俺に興味ないよなって(笑)。もし『坂口だ』って言われたら『どうも、どうも』ってユルいノリでいればいいかなっていう。そしたらね、ちょっと楽になりました」

――いや、みんな興味ありありだと思いますが(笑)。ただ、坂口さんには人気俳優・坂口健太郎というパブリックな立ち位置から一本それ、自分の道をマイペースに歩いている感はある。だから、圧倒的な存在感があるのに相手を威圧しない。むしろ懐っこい雰囲気とほどよい距離感で場をほぐしてくれる。こんな人はなかなかいない。

「31歳になったんですけど、最近子供っぽくなった気がしていて。人にも子供みたいってよく言われるんです。多分、昔はもうちょっと坂口健太郎然としていなきゃいけないみたいな、虚勢を張っていたのかもしれない。でも今はこれまでより無邪気になった気がする。例えば初めましての人と話すときも壁を作らないようにして、僕がまず壁を飛び越えちゃう。その方が楽だなってわかってきたんです。学生のときとかは結構ピリピリしていて反抗期もしっかりあって。そのときに周りの人を傷つけてしまったことがあったからこそ今があるのかなって思います」

出典: 美人百花.com

――昨年は映画2作品、月9主演、さらに大きな話題となった大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とコントロールがきかなくなるほどの忙しさ。反抗期でなくともピリピリしそうですけど、自分らしさを保つ秘訣は?

「人に頼ります。頼ってばかりじゃダメだけど、リスペクトを持って人に頼るのはむしろ大事なことだと思うし、僕も誰かに頼ってほしい。助けてって言われたら、やっぱりやってあげたくなるじゃないですか。なのでみんながんばりすぎて壊れる前にもっと人に頼りなって思う。僕もちゃんと人を必要としますよ」

――ひと現場に1人「坂口健太郎」が欲しい(笑)。それだけで疲れもつらさも激減しそう。

「でも、僕、自分みたいなヤツとは友達になるのはちょっと無理です。自分は自分のことをわかっているけど、自分に似た人は何を考えているのかわかんないなってとこがあって。同族嫌悪じゃないけど、ちょっとイヤなんですよね(笑)」

『坂口くんって実は冷たい人だよね』って言われたことがある。図星だなって思いました

出典: 美人百花.com

「とっても不思議な世界観。観終わったあと、どう思うかの『どう』が何パターンもある作品ですよね」

――主演映画「サイド バイ サイド 隣にいる人」で坂口さんが演じたのは人の〝想い〟が見える青年・未山。ファンタジックな世界観なのににおいや体温、手触りはリアルに伝わってくる、確かに不思議な作品だ。

「僕自身、自分が出ているからストーリーはわかっているけど、果たしてこの映画を観たあとの感想として、何が正解なのか自問自答するときもあったんです。ただ、この映画はそれぐらい余白をとても大きく取っている作品。伊藤(ちひろ)監督もあえて説明せず観客に委ねているところがあるので、観た人が感じたことがすべてなのかなと。観終わったあと『これってどんな感情なんだろう』ってそれぞれが考える余地があって。挑戦的だけど面白いし、それってすごく豊かなことだと思うんですよ」

――「豊かさ」を生み出しているのはやはり未山というキャラクターの奥深さ。彼はその不思議な力で関わった人を癒していくのだが、それは坂口さんにも通じるところがある。

「多分、僕も〝想い〟に気づく方だと思います。未山みたいに誰かの想いを引っ張ってきちゃうことはないけど、以前、知り合いの人に『健太郎は空気を読んでる人の空気も読めちゃうよね』って言われて、なるほどなと。僕は集団で話しているときの『この人はもうちょっと言いたいことがありそう』感とかを意外と感じてしまう。そこでフォローすることもあるし、わかるがゆえに大変な立ち位置を担わなきゃいけないときもあって。結局『面倒だけどやるか』って思ったりするんですよね(笑)」

出典: 美人百花.com

――そんなふうに受け入れ、許してくれるところも未山っぽい。監督にも「ふたりはすごく似ている」と言われたそう。

「『坂口くんも断れない人じゃん』って。自分では結構断っているつもりなんですけど、『本質的な部分では断り切れないあなたがいる』って言われました。未山も誰かの〝してほしい〟を具現化した姿というか。彼は自分から誰かに何かしてほしいと言うことはほぼなくて、みんなの〝してほしい〟を実現してくれる存在。僕はそこまでじゃないけど、周りの願いを受け入れてしまう未山の気持ちはちょっとわかります」

――でも、願いを受け入れてくれる人は優しすぎて時に相手を切なくさせる。坂口さんも「受け入れることがイコール優しいことなのか、優しくないことなのかわからない」と言う。

「昔、僕をよく知っている演出家さんに『坂口くんって実は冷たい人だよね』って言われたことがあって。図星だなって思ったんです。僕は他者に対してある種の諦めがある。期待しすぎないとこがあって、もっと言うと何でもいいっちゃいいところがあるんです。でも、そこを突き詰められると、それでいいのかな?ってぐらつく自分もいて。多分、僕はどこまでもグレーな人なんだと思います」

そう言って浮かべた〝菩薩の微笑み〟が焼き付いて離れない。その笑顔はまぶしく目に沁みて、ちょっと切なくなった。

Profile

坂口健太郎(さかぐちけんたろう)

1991年7月11日生まれ。2014年俳優デビュー。 2018年に「シグナル 長期未解決事件捜査班」で連続ドラマ初主演を果たす。昨年は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の北条泰時役などが話題に。今年は日テレ系にて、2クール連続のテレビドラマ主演が決定している。

Information

「サイド バイ サイド 隣にいる人」

(C)2023『サイド バイ サイド』製作委員会 出典: 美人百花.com

そこにいない〝誰かの想い〟が見える不思議な青年・未山。彼は自然豊かな村で看護師の母娘と穏やかに暮らしているがある日、異質な強い〝想い〟を感じ始める。その主は未山の過去の事件につながる意外な相手だった。

出演:坂口健太郎、齋藤飛鳥、浅香航大、磯村アメリ/市川実日子 他

配給:ハピネットファントム・スタジオ

TOHO シネマズ 日比谷他、全国公開中

掲載:美人百花2023年5月号「#いま彼を知りたい」

撮影/川﨑一貴(MOUSTACHE) スタイリング/壽村太一 ヘアメイク/廣瀬瑠美 取材・文/若松正子 再構成/美人百花.com編集部

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