ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
おやつは手作りしない!がドイツ流
ドイツのママ友や子どもたちと公園に遊びにいくときは、おやつを持っていくのですが、それがとーっても気楽なんです。なぜって? 誰も手作りしてこないから(笑)。ドイツでは学校でもおやつの時間があって各自おやつを持っていくのが基本なのですが、それだって、まさか手作りマフィンだの、クッキーだの、スコーンだの焼いてくる人は、ほぼ皆無といっていいでしょう。
あるときうっかりマフィンを焼いて持たせてしまったのですが、そしたら「え! お前今日誕生日なの?!」と驚かれたという……。しかもそのあと「なんで誕生日じゃないのにケーキ食べてんの? ずるいじゃん」と軽く怒られたそうな。
そう。ドイツは何はなくてもケーキ!な国ではありますが、それは来客時、はたまた日曜日など家族が集合する日、はたまた誕生日や結婚式などお祝い事があるとき、のみ!が基本なのです。
つまりケーキを焼く、食べるのはハレの日だけなんですね。なので普段の学校のおやつや、お迎え帰りに寄り道する公園なんかにマフィンなんか焼いていこうもんなら、何事だ!と大騒ぎになるのです。
というわけで、ドイツの日常ってすごい楽! おやつに持たせるのはローストナッツ、旬の果物、野菜スティック。ポンセン系は米からアマランスなどの雑穀、とうもろこしポンセンなど多様にあって手軽にどこでも買えるのでとてもポピュラー。それにプレッツェルなどの甘くないパンもメジャー。日本のおむすび的にサンドイッチもよくあるおやつ。なーんにも作らなくていい。作らないのがいい。むしろ作ってはいけない!(笑) ケの日らしく何もするなと! それがドイツ流。
でもお陰で誕生日には単にマフィンがあればそれだけでもとっても喜んでくれる。普段作らないからこそ嬉しいという。楽して喜ばれるという一石二鳥感。
ハレとケがある台所っていいものですよ!