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なぜ”8500人のまち”に全国から人々が集まるのか。町民に話を聞いてみた【後編】北海道・東川町

  • 2023.6.2
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HBC旭川放送局のパーソナリティー・伊藤 綾です。道北・オホーツク・北空知・富良野エリアの旬な情報を発信しているラジオ「ろ~かるナビです北・東!」の取材をもとに、選りすぐりの情報をお届けします。

町民からみた「東川町」というまち

北海道の真ん中・大雪山連峰「旭岳」の麓に広がるまち、東川町。全国からの移住者も多く、人口が増え続けているまちとして、注目を集めています。

まちで暮らす人たちは、東川町のどんなところを魅力に感じているのでしょうか。東川町在住で、まちの魅力の発信活動に携わる人物お二人をゲストに迎え、お話いただきます。

後編となる今回のゲストは、コンテンツ制作会社「スノウバグズ」代表・初瀬川晃(はつせがわ あきら)さんです。(前編:畠田大詩さんインタビュー)

Sitakke
左「東川スタイル」、右「東川スタイルマガジンーMAKERS―」

東川町が注目を浴びはじめたきっかけのひとつに、2016年に発行された「東川スタイル」という一冊の本があります。慶應義塾大学・玉村雅敏教授と、同大学大学院・小島利明特任教授らによるこの本は、東川町の移住者にスポットをあてながら東川らしさとはなにかを追求するというもの。

そして2019年には、東川町の“先人たち”にスポットをあてた「東川スタイルマガジン」が発行されました。今回のゲスト・初瀬川晃さんは、「東川スタイル」に携わり、「東川スタイルマガジン」の執筆や編集など中心的な役割を担った人物です。

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初瀬川晃(はつせがわ あきら)さん

―初瀬川さん、よろしくお願いします!ご自身も、もともと移住者だったと聞きました。

はい、札幌から移住してきました。

―移住者である初瀬川さんが、その移住者がメインとなっている「東川スタイル」の書籍を手掛けたということで。初瀬川さんからみて、東川町というまちにはどんな印象がありますか?

やっぱり「変化が激しいまち」という印象は、みなさん受けるのかなとは思いました。

役場が積極的にいろんな事業に取り組んでいるので、変わっていくまちというか。留まることがないといいますか、すごく勢いがある町だなと。東川らしさというのは、なにか固定されたものではなくて、変化し続けていくことなのかなと、と個人的には感じています。

―もともと、初瀬川さんご自身が移住してきた理由というのは、そのあたりも大きな理由だったんですか?

そうですね。役場の人が理由の一つだったというのも過言ではなくて。もともと僕は、海外の日本を紹介する番組の撮影クルーとして東川に来たんです。その際、町の職員さんに、とても良くして頂いて。

東川に対する愛情っていうんですかね。その強さをひしひしと感じたというか。こういう人が作っているまちだったら、きっと良いまちなんだろうなというのが、最初の印象だったんですよね。

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東川町にある初瀬川さんの自宅兼オフィス&ブックカフェ

―実際住んでみて、その印象は変わりましたか?

やっぱり役場の人たちはすごかったんだっていうのは、住んでからもずっと思っていて。文句はないですね一つも。東川に住んで。

―ひとつも?

ひとつもないです。はい。

―えー!それはすごい!他の自治体と比べて、東川にはどんな魅力があると思いますか?

東川らしさのひとつは、「適疎(てきそ)」というコンセプトが表していると思います。ひとつの距離感っていうんですかね。東川に来る人って、人とある程度の距離を取りたいという欲求もあったりして。距離を取りつつも、コミュニティを大事にしていきたいというか。
そういう人が集まっているんですよね。そこに共感する人にとっては魅力なのかなって思いますね。

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地元サッカーチームのコーチも務めている初瀬川さん。ふだん練習場として使用している「ゆめ公園」にある人工芝サッカー場。

―前編)の取材では、役場に勤めていた畠田 大詩さんが、まちの「これから」について語り合う文化が、町民たちに息づいてるとお話されていました。初瀬川さんも、同じようなことは感じますか?

感じますね。まさに「東川スタイル」という名前にもあるとおり、町民それぞれがスタイルを持っていて、まちについてのしっかりとした想いがあるというのを感じます。

―そんな町民たちの想いもギュっとつまった「東川スタイルマガジン」。今後の構想は、どういったものでしょうか?

「東川スタイルマガジン」は、“マガジン”なので、定期的に出していこうというねらいで作っています。といいつ、まだ一冊しか出ていないんですが(笑)。

一冊目のコンセプトは、「MAKERS(メイカーズ)」。農業に携わる人、豆腐屋を営む人、クラフト作品を作る人、家具製造会社の経営をする人、建設会社の経営をする人…東川の風土に真摯に向き合いながらものづくりを追及してきた人たちにお話を聞きました。

Sitakke
「東川スタイルマガジン」取材で、地元の農家さんを訪ねた際のようす(2018年)

取材を通して感じたことは、彼らはそれぞれの「東川スタイル」を持ちながらも、自分に厳しく、人に寛容であるということが共通しているということ。生きるため、自分らしい仕事をするためには、手間をいとわないという、ものづくりへの姿勢が貫かれていたんです。

マガジンの次のテーマは、教育か、福祉かで考えていたのですが、別企画の取材の中でひとつ分かったことがあって。(前)松岡町長が、国際交流にどうしてこんなに力を入れていたのかなっていうのがずっと疑問だったんです。本人には聞いたことなかったんですけど、取材を進める中で、そのきっかけが分かったので、そのあたりをマガジンの方でも紹介したいなっていうふうに思っています。まあ、次の号は、2023年度中ぐらいには出せればいいなあ(笑)

―ぜひ、新しい書籍出版というときにはお話を伺わせてください。今日はありがとうございました!

ありがとうございました!

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忠別湖から見える旭岳。「夏の間は、ゴムボートを持ち込んで休日に浮かんでいます」と初瀬川さん。

***
写真:初瀬川さん提供
取材:伊藤 綾(HBC旭川放送局・パーソナリティー)
文・edit:ナベ子(Sitakke編集部)

※2023年3月にHBCラジオでOAした内容をもとに、5月時点の情報を追記しています。

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