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専門家が指南! ペットロスの乗り越え方

  • 2023.6.1

英国ペットフード製造業者協会(PFMA)の調査によると、2022年時点でイギリス世帯の62%が何らかのペットを所有しており、動物好きな国民であることは紛れもない事実。

この事実(動物を失っている人が常に存在する事実)にもかかわらず、私たちはペットロスの悲しみについて、自分の気持ちを話すことをためらう傾向がある。

2019年のある調査では、飼い主がペットの死を受け入れるのにかかった時間は、3カ月から12カ月が25%、12カ月から19カ月が50%、2年から6年が25%だった。

明らかに、多くの人たちが非常につらい思いをしている。そこで今回は、喪失の悲しみを専門とするリアンナ・チャンプに、ペットロスの乗り換え方について最善のアドバイスを伺った。イギリス版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

※40年以上の経験を積み、実践的なガイド『How to Grieve like a Champ』を著書に持つリアンナは、ペットを含め、あらゆる種の“ロス”に対処する専門家である。

自分に「悲しむ許可」を与える

私たちにできるもっとも重要なことの1つは、自分の気持ちに素直になり、それが正当なことだと認識すること。悲しみは悲しみでしかないと話すリアンナが言うには、親族よりも、ペットを亡くしたときのほうが、悲しみや苦痛の度合いが大きいと感じる人もいる。「ペットを亡くし、非常にショックで悲しんでいる自分の気持ちに許可をして、あなたとペットとの関係性の深さを理解することです」

ペットを飼っていない人は、それほど共感を示さないかもしれないが、だからといって喪失による痛みが浅いわけではない。「悲しみの度合いを決めるのは、失ったものが人間か動物かではなく、悲しみに暮れる人と亡くなった人間、また動物との関係の深さで決まるものです」とリアンナ。

自分の気持ちを話すことをためらわないで

ペットを飼うことの喜びについては何時間でも語れるのに、亡くなってしまったときは?

リアンナによると、人間を亡くしたときは、助けを求めたり適切に対処するための時間を与えられることが多いが、動物を亡くしたときは違う。「私たちは、人間と同じように悲しむ社会的な許可がないと無意識に感じているのです」とリアンナ。

ペットを亡くした悲しみによりオープンでいられるためには、日頃からペットのことを話したり、周りと共有し合うこと。そうすれば、ペットがあなたにとってどれほど大きな存在なのかを理解してくれるサポートネットワークが築ける。ペットを亡くしたときは、周りからすでにある程度の理解を得られるようになる。

ペットを失うことは、精神的幸福に影響することを認識する

ペットを飼うことの身体的、精神的な健康上のメリットは、世間的によく知られている。例えば、犬と毎日新鮮な空気と太陽光を浴びて散歩できることや、猫を撫でることで得られる癒やしによってストレスが解消されるなど。昨年実施された調査によれば、特に5年以上ペットを飼っていると、高齢者の認知機能の低下を遅らせられる可能性が示された。

また、ペットが与えてくれる愛情には「無条件の愛」の要素があり、リアンナいわく、これが見落とされ過ぎているという。人間同士の複雑な関係とは違って、ペットとの関係に対立や妥協は存在しない。

「人は、ペットとの関係から得られる無条件の愛と癒やしを大切にします。ペットは、人間のようなドラマに巻き込むことがありませんから」とリアンナ。この“ドラマ”がもたらすウェルビーイングの影響は大きい。2020年の研究では、問題を抱えた人間関係が、うつ病や不安障害のリスクを倍増させることがわかっている。

これらの理由からも、ペットを亡くすことが親族を亡くすよりもつらいと言う人がいたなら、どうかそれを信じてあげてほしい。結局のところ、ペットの飼い主の多くは、人間関係で同じ種の関係を築けていない場合も多く、ペットを亡くした悲しみが、死に対するもっとも強い感情を示す可能性があるとリアンナは説明している。

子供の前でも、ペットロスに対して正直でいる

リアンナいわく、ペットの死について子供たちと話す際は、できる限り正直でいること。「これは、死がいかに自然であり、予期された人生の一部であることを子供に教育するうえで、ペットを失うことが前向きに作用しうるからです」とリアンナ。

子供たちを守ろうと、子供の前で自分の感情を隠そうとしないで。「あなたのむき出しの感情が、動揺していたり自分の気持ちを共感してほしいと望んでいる子供たちに慰めを与え、謙虚さを示せるのです」

さらにリアンナは、幼い子供たちが死にきちんと向き合えるように、理解しやすい言葉を使う重要性を説いている。「複雑な概念であることを考えると、死のプロセスがいかに自然なことであるかを子供に教えるには、あなたの正直さと明確な語彙が必要になります」

「虹の橋を渡った」「空に旅立った」などの混乱を招くような婉曲表現は避けて。ペットに何が起きたのかを正確に説明し、彼らが望むサポートを与えられる心構えでいること。

急いで新しいペットを迎え入れない

リアンナによると、悲しみを紛らわす手っ取り早い解決策として、ペットが亡くなったあとすぐに新しいペットを飼う傾向にある。でも、これが必ずしも役に立つとは限らない。「新しいペットを飼うことは、亡くなったペットの悲しみを受け止め、ペットロスを健全に乗り越えることを妨げます」とリアンナ。悲しむ時間を自分に与えなければ、次のペットとの絆も生まれにくくなる。

子供にとっては? 新しいペットを迎え入れることは一般的に取られる行動でもありますが、新しいペットとの入れ替えは、子供が死を理解するうえで悪影響になるとか。「何が、どうして起きたのか、子供にきちんと説明せずにペットを入れ替えるのは、子供とペットとの関係性や親和性を軽視することになります」とリアンナ。「『月曜日に新しいペットを買いに行けばいい』と子供に伝えては、子供がオープンかつ健全にペットロスを乗り越えられません」

ここからは、ペットを失った子供や家族の心の傷に対処するための3つの方法をご紹介。

ペットを亡くした悲しみに対処する3つの方法

1.追悼する適切な方法を見つける

亡くなったペットの生涯を祝うために、火葬や埋葬をしたり、記念樹を植える方法がある。ペットの人生の終わりを記念しお祝いすることは、死別を乗り越えるプロセスにおいて、本当に重要で特別な一部分。

2.思い出を祝福したりシェアする

亡くなったペットの写真を家に飾り、それを誰かと共有することで、亡くなった後もペットの存在を感じられる。子供たちに、ペットとの思い出ボックスやスクラップブックを作らせてみるのもいい。ペットロスをみんなで乗り越えられる。

3.動物保護区でボランティアをする

ペットを失った家族がすぐに別のペットと絆を結ぶことは難しい。新しいペットを迎え入れる代わりに、ボランティア活動をして他の動物に触れ合ってみよう。他の動物に囲まれて慰められることは、少しずつペットロスを乗り越えるのに役に立つから。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: MEGAN HOTSON Translation: Yukie Kawabata

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